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詩的断章「55」







55



知らなくていいことを知りすぎたな
こどもたちは完璧に隠れている
物の陰に ビニールハウスに 豚小屋に
知らない幸福がいつまでも続くように
わたしは
消えていこう

知らなくていいことを知りすぎた
渋柿も完熟すれば甘くなって食べられる
たとえば 
そんなことを知りたかった
花水木の真赤な実はいつまでも
渋い だから小鳥はぜったいに食べに来ない
たとえば
そんなことを知りたかった

知らなくていいことを知りすぎたよ
20歳のころ
世界を知りたいと
疼くように強く思った
いまもそうだろうか
55歳の誕生日を前にして自問してみる
不幸になることがわかっていて?

知らなくていいことを知りすぎた
歪んだ地球儀
穴のあいた冬の青空
55歳 知らなくていいことは
もはやなにもない
なにも




初出「浜風文庫」







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一日一句(1328)







小春日のパンツを畳む卓の上






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一日一句(1327)







小春日や何忘れしを忘れたり






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一日一句(1326)




第174回 金曜官邸前抗議行動







たれか呼ぶ欅は冬の西日かな


on m'appele

marroniers dans
soleil couchant de décembre






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一日一句(1325)







小春日の心はここにあらずかな






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一日一句(1324)







鵯の聲の奥なり風の音






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一日一句(1323)







鯛焼でねぎらふ己がひと仕事






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一日一句(1322)







冬銀河綾瀬の店で軍手買ひ






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一日一句(1321)







東京も燃えてゐるなり冬銀河






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公開講座『ルカーチの存在論』25周年第6講







11月21日(土)に行われた、公開講座『ルカーチの存在論』25周年第6講の写真と、前半の内容について、コメントがアップされました。ご覧ください。ここから>>>





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