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琉球と沖縄:沖縄の文学(3)

■旧暦8月8日、火曜日、

今日は、朝から、仕事に入る。心はまだ島にあるが、気分的にすっきりしたせいか、仕事が進む。午後から、カイロに行く。

沖縄の屋根瓦は首里城に代表されるように赤い(写真)。この赤の由来には諸説ある。昔は板葺きの屋根だったものを、防水加工するために動物の血を塗っていたことから、瓦も赤くするようになったという説。琉球王国の国王は、中華帝国の皇帝から、国王に指名されるという形で就任していた。そのため、琉球のバックには強大な中国が控えていた。その中国で、赤は、高貴な色だったところから、中国文明の影響を受けた琉球でも赤い瓦を用いるようになったという説。でも、ぼくが、琉球焼きのプロ陶芸家に聴いたところでは、秘密はその素材の土にあるようだ。沖縄の島は、珊瑚の堆積からなっており、沖縄で取れる土を使って焼き物を焼くと、赤くなる。これが、ベースになって、中国の価値観と結びつき、いっそう赤くしたのではないだろうか。琉球焼きは、確かに赤いけれど、首里城などの屋根瓦ほど鮮烈な赤ではないからだ。




大蛍海のほてりをほぐし飛ぶ
破れ芭蕉星ふるわして巻葉解く
義足のきしみ夜半も曳きずりきりぎりす
枯れ音を一途に抱き冬の蜘蛛
製糖期の日がどつしりと村つつむ


遠藤石村(1907~1977)糸満市生まれ。写実的ロマンチシズムを提唱し、有季定型の立場から後進の育成と沖縄の俳句界の発展に尽くした(出典『同書』)。

■ぼくは、帰ってきて思ったのだが、沖縄は、広島・長崎、北海道とともに、現代日本の歌枕になるべき土地だと。石村の句は、すんなり季節感が響いてきた。沖縄は、12月まで泳げるというが、そこには、微妙な季節の変化があるに違いないし、そうした微妙な変化こそ、俳句で詠むべき対象なんだと思う。
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