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POEMS FOR 3.11 FIRST ANNIVERSARY


■2月29日、水曜日、、北風強し

(写真)河津桜

3月11日のメモリアルデイに、スイスの詩人、ロミー・リーさんが、自作の詩を送ってくれたので紹介したい。

ECHO¹S VOICES

ROMIE LIE

1

flurries

this river of winter
frozen

the living carpet of
birds moving

to the east
by the tips of
their wings

silence
unbroken

only you are
forgiven



2 MIGRATING

those birds
white to the bodies

rembembering their nests
against the drop of eons

feathers only
for the infinite
journey between
birth and death

a memory that never
looses itself

as does the being of
green



3

plum-brown skies
cracked open

winterweed through
glittering ice

shafts of lights
lacerating skins

wonders roll away
with retreating waters

it might become
the year of the deer



4 FLEETING VISIONS

forgotten the ages of
ape

how consoling
the sun on your face

say the words
of springs

turn to the greenery

go further

hear the stories
of trees and

do not forget
the holiness
of birds

24.12.11



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スイスの詩人たち:Romie Lie(6)


■旧暦5月15日、木曜日、満月、

(写真)植田

夜はパソコンをやらないことにして、時間がゆっくり流れるようになった。ウェブは、情報収集には、大きな力を発揮するが、きりがなく、逆に、ウェブに振りまわされることも多い。適度な距離が必要だと思う。

さよなら原発1000万人アクション:署名も可能。





DETAILANSICHT

Romie Lie


1

traum ohne
wind

kein himmel
in der sprache

weint der mensch


2

wörter
strohhalmstelzen
brechen unterm
gewicht

von hand
zu mund
kein atem

kein


3

7 mal 7
fach
gehäutet

keine zelle
über
der andern

wer bin ich

im blühen*
der dinge
ihrem schrei




märz mitte 11

japan 11.3.11

*sunt lacrimae rerum et mentem mortalia tangunt, vergil, aeneis, 1,462

tränen sind in allen dingen, und alles, was dem tod geweiht ist, berührt unser herz




近景

           ロミー・リー


風のない夢

その言語には空がない

男がすすり泣いている



言葉
麦藁
自らの重みで砕ける

手から口まで
息がない

ない



七の七倍
壁が
むきだしになる

部屋の上に
部屋がない

わたしはだれ

花の中
物の中に
その泣き声を聞く※


※あらゆる物には涙があり、死すべき者には、そのすべてが琴線に触れる。ウェルギウス『アエネーイス』

二〇一一年三月中旬

二〇一一年三月十一日、日本


ロミー・リー(Romie Lie) 一九五四年、スイス、エメンタール地方のラングナウ生まれ。詩人・作家。フランス語圏に生まれ、現在、ドイツ語圏のベルン在住。おもに、ドイツ語で詩作している。訳者は、たまたま、ベルン大聖堂近くの小さな書店で、ロミーの詩集を入手し、その簡潔な俳句のような表現に惹かれてきた。作品をきっかけに、メールで交流を始めたが、そんな最中に、3・11が起きた。ロミーは、英語とドイツ語でいくつも、日本のことを歌った詩を送ってきてくれた。これは、その中の一篇である。遠くスイスで、3・11をこれだけ重く受け止めていることに感銘をおぼえる。



Sound and Vision








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スイスの詩人たち:Romie Lie(5)

■旧暦12月12日、土曜日、

(写真)in Basel

浦和、大宮へでかける。氷川神社へ久しぶりに参拝。鴉が一月の空を舞っていた。池には、氷。氷川団子を買って帰宅。




HANAMI




2


unter dem lichtlaub
die alten weisen summen
kirschblüten auf der zunge
leicht salzig nach tränen


rote fische am westlichen himmel (2006)



光の木の葉の下
老人たちがささやく
口に含んだ桜の花は
かすかに涙の味がする


「西の空の赤い魚」(2006年)より





■「summen」は、著者に確認したところ、murmur(ささやく)の意味。辞書には載っていない、貴重な情報である。著者自身による英訳も踏まえて、翻訳し直した。














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スイスの詩人たち:Romie Lie(4)

■旧暦12月11日、金曜日、

(写真)Basler Muenster


「深蒸茶」が、ファミリーブームである。家人が、テレビを観て、早速買ってきた。飲んでみると、色が濃いのに、苦くなく、ほんのり甘い。お茶の個人史を振り返ってみると、高校生までは、煎茶党であって、珈琲など飲んだことがなかった。飲んでも、ネスカフェのインスタントである。日曜日の朝食は、パンと珈琲のときもあり、そのときのインスタント珈琲の美味さは記憶に残っている。珈琲党になったのは、大学からで、これには、喫茶店文化との関わりが深い。今でも、喫茶店は、よく行くが、当時の喫茶店は、クラシックやジャズ専門の喫茶店が、まだ、かなり残っており、ライブも行われていた。ここで初めて聴いた曲も多かった。当時80年代初頭は、まだ、紅茶を専門に出す喫茶店は、めづらしかった。紅茶は、スイーツとの相性がいいので、女の子にとくに好まれていた。男はやはり珈琲だったのである。しかもブラック。珈琲と煙草の相性も良かった。豆から買ってミルで挽いてサイフォンで淹れる、という形が、学生にも浸透し始めたのが、80年代半ばくらいだったように思う。コンビニで豆が売られ、ミルやサイフォンも安く入手できるようになったことが大きい。珈琲党は、なんと、30年間も続く。20代、30代、40代である。ブルマンは、特別なときにしか飲まなかったが、それほど、美味いとは思わなかった。最終的に、キリマンジェロに落ち着いて、卒業。1年前から、紅茶党に転換。アッサム+レモン、(アイス)アールグレイをよく飲んでいた。フレイバーティーも、ショップあるいはメーカーを選べば、かなりレベルが高いものもあることを発見。最近では、LUPICIAが美味いと思った。そして、ここ二日、「深蒸茶」の登場。ほんのり甘く、健康にもいいと聞く。単に、個人的なお茶の好みの変化と言っても、それが、喫茶店文化や健康志向など、時代背景や社会との関わりを無視しては、ありえないことがわかる。

※そう言えば、サイフォンで珈琲飲んでいた友だちはいなかった。ドリップ方式が普及したことが、珈琲党増加につながったのだろう。安いし、後片付けも手軽。




HANAMI



1


bei sonnenaufgang
den pfad entlang vom
laublicht empfangen
fingerspitzen aneinander
sich neigen und
neigen am fusse
des heiligen berges yoshino


rote fische am westlichen himmel (2006)






花見



1


日の出の

木漏れ日に迎えられ
両手の指先を重ねて
何度も伸ばす
聖なる吉野山のふもとで


「西の空の赤い魚」(2006年)より


■遠くスイスまで、花見が世界化しているのを見るのは楽しい。









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スイスの詩人たち:Romie Lie(3)


■旧暦12月7日、月曜日、、成人の日、猛烈に寒い

(写真)バーゼル駅

昨日は、梓会新聞社学芸文化賞受賞の藤巻さんの内輪の祝賀会へ行く。出版社の経営は、困難を極めるのに、すでに創業30年を超えた。ウェブでは有名な梵さんとも初めて会った。気さくでシャイな、いいおじさんだった。マイク・モラスキー教授(通称マイクさん)にも、久しぶりに会って、植民地問題について、有意義な話をした気がするのだが、すべて、忘れてしまったw。落語と絵画に詳しい上野さんには、ジャクソン・ポロック関連の宿題を渡した。だいぶ、予定を遅れているのだが、ポロックの原稿を読み返してみて、非常に面白いので、やはり、時間を取って、なんとか仕事として、貫徹したいと思うようになっている。



スイス、ベルン在住の詩人、Romie Lieさんと、メールのやり取りが続いて、以前に書いた俳句を思わせる短詩をいくつか送ってきてくれたので、紹介していきたい。


RUF




als die liebe kam
rief ich das meer


als das meer kam
rief ich die liebe





『rote fische am westlichen himmel』(2006)より



呼び声





愛がきた
そのときわたしは海を呼んだ

海がきた
そのときわたしは愛を呼んだ




『西の空の赤い魚』(2006)


■短いドイツ語で、簡潔に表現されている。海と愛の取合せは、ありそうでないのではないだろうか。愛が命に宿り命を去る。それは海のありように似ている。






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スイスの詩人たち:Romie Lie(2)

■旧暦11月24日、水曜日、

(写真)the Rhein

朝から、仕事に入る。久しぶりにフランス語を聴く。最終目標は、マエストロのエッセイ、小説の翻訳なので、道のりはまだ遠い。叔母の調子を見てくる。今日はいい。日によりけり。





FEBRUAR



sturzgeburt des frühlings
bienen schmetterlinge
zu früh geweckt
die gefährdeten im
dünnen gesagt der amseln
die ausgesetzten
im scharfen schnee



2月



春の早産
蜜蜂と蝶の
早すぎた目覚め
くろうたどりの歌声の中で
危険にさらされ
激しい雪に
さられている


■早春の情景が歌われていて、欧州の詩なのに、人間が出てこない。やはり、どこか、俳句的である。








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スイスの詩人たち:Romie Lie(1)


■旧暦11月21日、日曜日、

(写真)Basler Muenster

朝、叔母のモニターと食事の用意。介護の度数が変わったので、ぼくと従弟で、食事の準備を週に何回かシェアしているのである。身体の不自由な独居老人は、ささいなことで、気持ちが乱れる。昨日、行きつけの病院で、医師と話していて、ケアハウスは、悪いとは限らないという話を聴いて、だいぶ、気分が楽になった。当人が、施設を嫌がっているので、今は、具体的に検討していないが、認知症の進行具合などを見ながら、判断することになるだろう。

午後、仕事部屋、風呂、トイレの掃除。部屋の本や雑誌のたぐいを何とかしたいが、収納スペースがもともとないので、困ったものである。夕方、いつもの喫茶店で、資料を読む。

『怠け数学者の記』読了。後半の「プリンストンだより」が日記風で一番面白かった。小平さんは、自分に正直で、随所に、一流の数学者だと思わせる記述がある。面白いのは、数学的実在があると信じていることで、新しい定理は「発見された」と考える。小平さんをプリンストンへ呼んだ、ヘルマン・ワイルが数学は人間の創造的活動の産物だと考えている点も、対照的で興味深い。アインシュタインやゲーデル、朝永振一郎や湯川秀樹など、そうそうたる物理学者、数学者の人間的な日常も描かれていて楽しかった。



AUFWIND

sehnsucht
in der schwebe

ragt
aus der liebe
und

ist nicht
von mir



上昇気流


空に
郷愁が

愛から
立ち上る
だが


わたしの
郷愁ではない


詩集『AUFWIND』(2009)より

Romie Lieは1954年スイス、エメンタール生まれの女性詩人。フランス語を母語として育つ。ドイツ語は学校で習得。小説も10年書いている。看護師の専門教育を受ける。1990年から、さまざまな機関で創作ワークショップを指導。ベルン近郊のヴォーレン在住。ラジオ用の詩の創作やアンソロジーへの参加、文学雑誌への寄稿を行っている。

ベルン大聖堂近くの小さな書店で、店員のおばちゃんに探してもらった詩集の一冊。パラパラ見て、俳句の影響を感じて入手した。甘ったるい詩句のようにも感じられるが、ist nicht von mirと否定で終わっている。シンプルに書かれたドイツ語も繰り返し読むと、魅力的。



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