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琉球と沖縄:沖縄の文学(1)

■旧暦8月6日、日曜日、強風

昨日、帰宅した。呆然としている。沖縄に圧倒されて、ただ、呆然。今も、窓の外は、エメラルドグリーンの海があるような気がするし、出会った人々の声が聞こえてくる気がする。水道水は、若干粘り気のある島の水のような気がしてくるし、空には雲の峰よりもスケールの巨大な立ち雲があるような気がしてくる(写真)。

今日は、そういうわけで、一日、ぼーっとすごす。滞在中に那覇の書店に注文していた琉球の歴史関連の本が3冊、早速届いた。少し、琉球・沖縄関連の資料も集まってきたので、徐々に紹介していきたいと思っている。



沖縄の牧志公設市場の中に、色とりどりの魚やこんぶ、島らっきょうなどの中に埋もれるようにして、日本一小さな古本屋がある。その古本屋で買った、『高校生のための副読本 沖縄の文学/近代・現代』は、沖縄の詩や俳句、短歌や散文が、バランスよく紹介されている。その中から、まず俳句を紹介してみたい。


烈風に敗戦ニュース乗せてくる
芋の葉を喰って生きよと蝉鳴けり
朝の冷水を飲むユウナの花が暗い
みんな出てゆく一人淋しい冬の太陽
かすかな音立てて焚火燃え終わる私も寝よう


比嘉 時君洞(1884-1960)那覇市生まれ。沖縄における自由律俳句の草分けとして活躍。始めは伝統俳句を作っていたが、大正末期より昭和初期にかけて新傾向俳句を学び、自由律俳句を作り「石くびり句会」立ち上げた。その後、第二次大戦の戦争経験を経て、戦後の心身の飢えを吐露した作品を残した(『同書』解説から)。

■自由律だが、季節感を大事にしているような印象を受けた。いつの作品か、判然としないが、心身の飢えは確かに感じられる。今の牧志公設市場の圧倒的な豊かさを目の当たりにし、雄大な自然を体感すると、沖縄で詠まれたのではないようにも感じられてくる。戦争中や戦後の沖縄の状況を具体的に知りたいように思った。
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