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ドイツ語の俳人たち:Sabine Balzer(2)

■7月9日、火曜日、

今日も暑かった。朝から病院。順調に回復軌道に乗っているので、担当医が喜んでいる。待ち時間に酒見賢一の短編「ピュタゴラスの旅」を読む。なかなか、詩的でよい物語だった。ピュタゴラスの数学が自他の魂の救済のための手段だったという仮説?は面白かった。帰宅して昼寝してから、サイバーの翻訳に入る。



サイバーに行き詰まると、バルツァーの俳句を考えていて、日本語バージョンができあがった。今日の俳句は、動詞がなく、難しかった。


sanft, fast lau Wind
selbst am Abend noch ganz spät
Schwalben am Himmel



風はやわらかく、なま暖かいくらい
夜もこんなに更けたのに
燕がまだ空に


■月明かりでもあるのだろうか。空を燕が行くのは見えないはずだから。
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ドイツ語の俳人たち:Sabine Balzer(1)

旧暦7月9日、火曜日

以前、俳人の五十嵐さんが紹介していたペリカンの万年筆、「ペリカーノ・ジュニア」がいたく気に入ってしまい、このごろ、よく使っている、ロイヤルブルーで書いているのだが、近いうち、ブラック専用にもう一本、買おうかなと考えている。ドイツで文字を習いたての子供のための筆記具だが、実に書きやすく、しかも1500円そこそこなのである。



ドイツ語のリハビリを本格的に始めないと、まずい。かなり文法さえ忘れかけてきた。そう思って、ドイツ語で書かれた俳句を日本語に翻訳してみようと思い立った。いったい、ドイツ人の感性というのは、俳句にどう現れるのか、ということも大変興味深い。

日本語の古典的な俳句をドイツ語に翻訳したテキストは、洋書店に行けば、入手できるが、オリジナルのドイツ語俳句の本というのは、見たことがない。そこで、ウェブで探したところ、ドイツ俳句協会があることがわかった。そこで、ここのホームページに紹介されている俳人の作品を上から順に日本語に翻訳していくことにした。

トップバッターは、女性俳人のSabine Balzerである。サビーネ・バルツァーは、1964年8月、ザールラント州生まれ。18歳で故郷を出て、ボンに移り、現在もボン在住。夫と娘さんが一人。余暇は自然に親しみ、写真を撮るのが好きだという。静かな時間に詩や俳句を書いているそうである。さすがに、ドイツ語の俳人でプロはまだいないのだろう。幸せな家庭の奥さんのようである。


am See herrscht Stille
ganz knapp über dem Wasser
gleiten Libellen



湖畔は静寂そのもの
水の上すれすれに
蜻蛉が滑るように飛んでいく


■表記にピリオドがないので、はっきりしないのだが、一行目で切れていると思う。これで、ワンセンテンスが完結している。静かで透明な湖面が想像される。蜻蛉は複数形で、一匹ではない。蜻蛉の群れが湖面にしずかに映っている。三行詩であるが、「切れ」の意識はあるように思う。

※ドイツ語のウムラウトは、Firefoxなら、文字化けしません。
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