goo

芭蕉の俳句(144)

旧暦7月2日、火曜日、

午前中、一仕事終えて、昼寝。友達の夢を見た。みんな若くてがりがりに痩せていた。午後からサイバーに入る。サイバーに行き詰まると、ベッドに寝転んで放哉を読んでいる。放哉は、その晩年に、自分の死期の近いことを悟ったが、医者にもかからず、放っておいた。ある種の自殺である。放哉の軌跡は、ある意味で、自分を内なる極限に追い詰めていくプロセスである。そのとき見えてくるものを文学にしている。内なる極限とは「死」であり、放哉の一行詩の余白には死や無がある。

咳をしても一人
   放哉




庵にかけむとて句空が書かせける兼好の絵に
秋の色糠味噌壺もなかりけり
  (柞原)


■元禄4年作。糠味噌壺は、今で言う、砂糖や塩を入れる容器のように、どの家庭にもある必需品という意味合いだろう。そういうものさえない。それが清清しい秋の気配と響きあっていて、惹かれた。兼好の生き方を称えたものであり、芭蕉自らの価値観でもあるだろう。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )