西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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ルソー・コレクション 孤独 (白水iクラシックス)

2012年11月05日 | サンド研究
ルソー・コレクション 孤独 (白水iクラシックス)
ジャン=ジャック ルソー (著), 川出 良枝 (編集), 佐々木 康之 (翻訳)

内容紹介
「この地上では、すべてが絶えざる流転のうちにある。そこではなにひとつとして一定不変の固定した形を持ち続けるものはない。外的な事物に結びついた愛着も、そうした事物同様、必然的に移り行き変化する。……だから、この世で得られるのは、せいぜいすぐに消え去る喜びでしかない。永続する幸福などといったものを、この世で味わう人がいるとは思えない。」(『孤独な散歩者の夢想』より)

日々の生活で感じられる喜怒哀楽は、つい十年前、あるいは二十年前に比べて赤裸々になっていないでしょうか? 社会はかつての包容力を失い、砂粒のような個々人に物心両面で重い負担が圧し掛かります。

ジャン=ジャック・ルソー生誕三百年を記念したルソー・コレクションの最終巻は、生きていくことの喜びと哀しみをテーマにしました。
迫害のなかで「地上に一人きりになってしまった」ルソーは、もはや人間や社会の変革に希望を託すことはありません。湖の岸辺に腰を下ろして、寄せては返す波の絶え間ない単調なリズムに、自身の存在=運命を感じ、また幸福を見出す……
こうした自己の存在のほかいかなる幸福も感じない徹底的な自己充足の境地は、「絆」の素晴しさが自明視される今日、新たな意味を持って迫ってきます。『孤独な散歩者の夢想』『マルゼルブ租税法院院長への四通の手紙』を収録。

著者について
ジャン=ジャック・ルソー Jean-Jacques Rousseau 1712-78
ジュネーヴで時計職人の子として生まれる。38歳のときにフランスのアカデミー懸賞論文『学問芸術論』で当選して時代の寵児に。『人間不平等起源論』や『社会契約論』に象徴されるように、人類史の起源を措定して文明社会をトータルに批判。フランス革命にも大きな影響を与えた。

出版社: 白水社 (2012/9/26)
言語 日本語
ISBN-10: 456009604X
ISBN-13: 978-4560096048
発売日: 2012/9/26

選・解説:川出 良枝(かわで よしえ)
東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。放送大学教養学部、東京都立大学法学部を経て、現在、東京大学大学院法学政治学研究科教授。専門は政治思想史・政治理論。『貴族の徳、商業の精神──モンテスキューと専制批判の系譜』(東京大学出版会)で渋沢・クローデル賞。主な著書に『西洋政治思想史──視座と論点』(共著、岩波書店)がある。

訳者:佐々木 康之(ささき やすゆき)
1935年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。現在、立命館大学名誉教授。専門は十八世紀フランス文学。主な編著書に『クラウン仏和辞典』がある。
コメント
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