西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
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ジョルジュ・サンドの食卓から 10

2012年11月12日 | サンド研究


OVNIに掲載されている「ジョルジュ・サンドの食卓から 」より。
毎回、美味しい逸話がサンドの作品とともに登場します。美しい影絵も添えられて。一読をお勧めします。

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ジョルジュ・サンドの食卓から 10

『ナノン』(1871年)は、サンドが67歳の時に書いた小説。主人公は、農村でつつましい暮らしを送る12歳の孤児ナノン。

当時の農民は貧しく、パンを食べることができるのは週末だけ。平日に食卓に上がるのは、栗、そしてそば粉のお粥(かゆ)だった。聡明(そうめい)なナノンは後に一財産を築くことになるが、その初めのきっかけになるのは、大伯父が節約したお金で買ってきた羊のロゼット。この一匹のやせた羊を育てることで、ナノンは親切な隣人や、16歳の少年エミリアンとの親交を深めていく。

物語は、革命後の恐怖政治の中、貴族であるエミリアンが罪人のらく印を押されて投獄されるところから勢いを増していく。勇敢にもその脱獄を助けたナノンは、彼と共に人里離れた森の中で暮らすことに。エミリアン家に昔から使える使用人、老デュモンも一緒に、3人はキャンプ生活を始めることになる。

ナノンとエミリアンには、昔ふたりで夢中で読んだ「ロビンソン・クルーソー」を...
「私たちのまわりにはジビエがあふれていた。私たちはあらゆる罠(わな)をかけたものだ。輪をつくってみたり、落とし穴を掘ったり、首輪を細工したり」。

そうやって、彼らは毎日のように野ウサギやヤマウズラなどをつかまえ、川ではカワハゼなどの魚を釣る。最後には、デュモンが見つけてきた山羊を育てて、ミルクを飲み、健康な食生活を享受するまでに!

http://www.ovninavi.com/730sand

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野鳥を捕って生活の糧にする場面は、サンドが子供の頃、近所の農家の子ども達と一緒に野鳥を捕獲し、それを町に持っていって売ったというエピソードを想い起こさせます。サンドは売上金を数えて仲間に平等に分け、彼らからそのことを感謝されたと記しています。

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