西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
本ブログ記事の無断転載および無断引用をお断りします。
 

ユゴー: 『ノートルダム・ド・パリ」

2014年02月28日 | 十九世紀の文学
ヴィクトル・ユゴーのロマン主義文学を代表する作品の一つです。
邦題は『ノートルダムのせむし男』

ノートルダム大聖堂の助祭長フロロに拾われ育てられた醜いカジモド
大聖堂の鐘をつき男となる

聖職者フロロ、エスメラルダへの欲情に苦しむ
不実な若き衛兵フェビュスと恋に落ちているエスメラルダ
フロロ、カジモドにエスメラルダを誘拐させようとする
失敗し捕らえられ広場でさらし者に、人々の罵声を浴びるカジモド

ただ一人エスメラルダは彼をかばう
エスメラルダに恋してしまうカジモド

嫉妬心からフェビュスを刺殺したフロロ
その罪をエスメラルダに着せる
魔女裁判によりエスメラルダに処刑の審判
カジモド、エスメラルダをノートルダム大聖堂にかくまう

フロロ、大聖堂のエスメラルダを発見
助命を口実にエスメラルダに愛人となるよう迫る
フェビュスに恋するエスメラルダ、これを拒絶

エスメラルダ、兵士に捕らえられ処刑される
これを大聖堂の塔の上から眺めるフロロ
カジモド、フロロを塔から突き落とす

数年後、白い服を着たエスメラルダの白骨に寄り添う異様な骨格の男の白骨が
二つを引きはなそうとすると白骨は粉々に砕けて散る

『ノートルダム・ド・パリ」
http://www.dailymotion.com/video/x2qjt_notre-dame-de-paris-belle_music
http://www.dailymotion.com/video/x2qjt_notre-dame-de-paris-belle_music

バレー:エスメラルダ
http://www.youtube.com/watch?v=r3rLvMZPonU

http://www.youtube.com/watch?v=50lAMbJUXfc
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翻訳とは・・・

2014年02月27日 | 翻訳 traduction


言語をほどき紡ぎなおす者たち───海外文学界の第一線で活躍する翻訳家9名の仕事場を訪ねて
vol.3 <和田忠彦/鴻巣友季子/沼野充義>

文芸翻訳家たちに訊いた“翻訳”という営為の魅力

連載:映画『ドストエフスキーと愛に生きる』連動企画

第一回の柴田元幸さん(アメリカ文学研究者・翻訳者)、きむふなさん(日本・韓国文学翻訳家)、野崎歓さん(フランス文学者・翻訳家)、第二回の野谷文昭さん(東京大学名誉教授・ラテンアメリカ文学翻訳家)、松永美穂さん(早稲田大学教授・ドイツ文学翻訳家)、飯塚容さん(中央大学教授・中国文学翻訳家)に続き、今回は和田忠彦さん(東京外国語大学教授・イタリア文学翻訳家)、鴻巣友季子さん(翻訳家・エッセイスト)、沼野充義さん(東京大学教授・スラヴ文学者)が登場する。


「翻訳」という営為の魅力はなにか
・ある人が自ら何かを書くとなったときに、気がついたら私が訳した小説や詩の影響をこうむっていた、ということを発見する、あるいはそれがテクストを通してこちらに伝わってくることが、翻訳をする際の、ある種の自分のやりがいです。

・よく「役者と訳者」と言われるように、何通りもの他者の言葉を生きていけることです。原文という浮き輪が無ければ潜れない深海にまで行けるし、時には空を飛ぶこともできる、そんな心持ちを経験できるのが、翻訳者の醍醐味だと思います。

・最先端の科学のような難しい学問と比べて、小説を読むくらいどうってことない、と人は思いがちですが、文学の言葉の表現というのは、人間のつくり出した中で最高度に複雑なものです。その上、言語を越えて別の緻密な世界に入っていく翻訳という行為は、ワクワクするような冒険なのです。外国文学の秘宝を発掘するためには、やはり自分で翻訳をやらなければならない。自分が納得して理解できたと感じられるには、翻訳するしかないのです。つまり翻訳家は、自分が作品を一番楽しみたいと思っている、とてもわがままな人間なのです。

http://www.webdice.jp/dice/detail/4113/

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シンポジウム「翻訳とジェンダー:越境する文学の時代に」

2014年02月26日 | シンポジウム
シンポジウム「翻訳とジェンダー:越境する文学の時代に」を2月22日に開催
本会メンバー武田将明(東大大学院准教授)が司会をつとめるシンポジウムが2014年2月22日に東大駒場キャンパスで開催されます。詳細は以下をご覧ください。
 
シンポジウム「翻訳とジェンダー:越境する文学の時代に」

 本シンポジウムでは、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』、J.M.クッツェー『恥辱』などの訳者として知られる翻訳家の鴻巣友季子さんと、ロン・カリー・ジュニア『神は死んだ』、テア・オブレヒト『タイガーズ・ワイフ』などの翻訳を手がけておられる同志社大学准教授の藤井光さんのお二人をお招きして、「翻訳とジェンダー」をめぐる問題について話しあいます。
 世界規模で人々の移動が進む中で、境界線をまたぎながら書く作家たちの活躍が近年目立っています。彼らの作品ではジェンダーの問題はいかにして描かれているのでしょうか。翻訳の最前線で活躍しておられるお二人に翻訳の現場をご紹介いただきながら、文学研究と翻訳実践とを繋ぐための新たな枠組みを構築します。

【講演者プロフィール】

鴻巣友季子:翻訳家、文芸評論家、エッセイストとして活躍。英語圏の文学を中心に多くの翻訳を行っている。訳書に、エミリー・ブロンテ『嵐が丘』(新潮文庫)、ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』(河出書房新社)、J.M.クッツェー『恥辱』(ハヤカワepi文庫)『遅い男』(早川書房)など。エッセイ集に、『明治大正 翻訳ワンダーランド』(新潮新書)、『全身翻訳家』(筑摩文庫)、『翻訳教室 はじめの一歩』(ちくまプリマー新書)、『本の森 翻訳の泉』(作品社)などがある。

藤井光:同志社大学准教授。現代アメリカ文学を中心に話題作を数多く翻訳。訳書に、デニス・ジョンソン『煙の樹』(白水社エクス・リブリス)、サルバドール・プラセンシア『紙の民』(白水社)、ダニエル・アラルコン『ロスト・シティ・レディオ』(新潮クレスト・ブックス)、テア・オブレヒト『タイガーズ・ワイフ』(新潮クレスト・ブックス)、ロン・カリー・ジュニア『神は死んだ』(白水社エクス・リブリス)など。現在、ロレンス・ダレル『アヴィニョン五重奏(全5巻)』(河出書房新社)の刊行が続いている。

・日時:2014年2月22月(土)14:00-17:00(13:30開場)
・場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階・コラボレーションルーム1

【基調講演】
鴻巣友季子「創作と翻訳におけるジェンダー」
藤井 光 「男が男を反復するとき:越境作家とマスキュリニティの問題」

【司会】
武田将明(東京大学大学院総合文化研究科准教授)

・主催:東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻(卓越資金)
・使用言語 日本語|入場無料|事前登録不要
・問い合わせ:sirotanfun [at] gmail.com([at]を@に変えてください)
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国際G.サンド・シンポジウム2014

2014年02月25日 | サンド研究

国際G.サンド・シンポジウムが、10月16日から18日までプエルトリコにて開催されます。
発表を募集しています。奮ってご参加下さい。

APPEL À COMMUNICATIONS
Titre de la Session: Fuite et évasion dans l’œuvre de George Sand

Dans le cadre du 40ième colloque de la NCFS qui se tiendra au Condado Plaza Hilton, San Juan, Porto Rico du 16 au 18 octobre 2014 je vous invite à soumettre une proposition de communication sur les thèmes de la fuite ou l’évasion dans l’œuvre de George Sand.

Parmi les thèmes possibles à aborder…

Évasion vers l’inconnu ou la recherche de soi
Évasion vers la plénitude ou l’aventure de tous les dangers
L’imaginaire de la fuite
Désirs d’ailleurs
L’exil volontaire
Renoncement et abandon du quotidien
La fuite des repères
La fuite du sens
La fuite du temps
L’évasion du réel
Points de fuite
Désertion
Ivresse de la fuite
L’évasion intime et les fuites groupées
Rejet et recentrement
Les dynamiques de la fuite et de l’évasion
Fuite vers la ville ou dans la nature
La fuite dans la rêverie

Contact : Les propositions de communication (de 250 à 300 mots) pourront être en anglais ou en français, et devront nous parvenir en pièce jointe dans un document Word, double interligne, Times New Roman 12 au plus tard le 1er mars 2014 à l'adresse électronique ci-dessous. Les communications ne devront pas dépasser 20 minutes.
ghillebaert@yahoo.com
Françoise Ghillebaert
Departamento de Lenguas Extranjeras
Universidad de Puerto Rico
Recinto Río Piedras
San Juan, PR 00931

Site internet du colloque: http://www.uprm.edu/cms/index.php/page/1882


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ポリーヌ・ヴィアルドを聴く

2014年02月24日 | サンド・ビオグラフィ
豪雪、大雪と苦難の二月もようやく終わりに近づき、暖かい春の訪れが待たれる今日この頃ですが、お元気にてお過ごしのことと存じます。

高岡さんのご著書『摩擦する「母」と「女」の物語―フランス近代小説にみる「女」と「男らしさ」のセクシュアリティ』が出版され、さらにこの春5月末にはMartine Reid さんが坂本さんの科研費による招聘で来日されることになり、関西、関東の大学や日仏会館(東京恵比寿)にて講演会が開催されます。
サンド生誕二百十周年目の2014年は、日本のサンド研究にとって画期的な年となりそうです。

さて、サンドやショパンとも親しくオペラ歌手であり作曲家でもあったポリーヌ・ヴィアルドに関する講演とコンサートが日仏会館(東京・恵比寿)にて,3月8日に開催されます。
P.ヴィアルドのほかルイーズ・ファランクという19世紀の二人のフランス女性が作曲した、大変珍しい楽曲の数々を生演奏で聴くことができます。
お忙しいことと存じますが、ご興味がおありの方、とりわけ関東在住の皆様方、どうぞ奮ってご参加下さいますようご案内申し上げます。

https://sites.google.com/site/farrencviardot/ 

国際女性デーにフランス女性作曲家を聴く
Pour la journée internationale des femmes
Deux compositrices françaises
        
ルイーズファランクとポリーヌ・ヴィヤルド
Louise Farrenc et Pauline Viardot


主催:日仏女性研究学会
共催:日仏会館フランス事務所
知られざる女性作曲家&小林緑カンパニー
後援:日仏音楽協会
独立行政法人国立女性教育会館

お問い合わせ・お申し込みは、フランス事務所(tel 03-5421-7641)までお願いいたします。


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マルグリット・デュラス生誕100周年記念講演会 ・シンポジウム 

2014年02月23日 | サンド研究
[ 講演会 ]
マルグリット・デュラス:不在を基に書く
使用言語:フランス語 (通訳付き)
[facebook][twitter]
申し込み
日時: 2014年02月28日(金) 18:30 - 20:30
場所: 東京恵比寿日仏会館:601号室
講演者: ベルナール・アラゼ (パリ第三大学、国際デュラス協会副会長)

[シンポジウム] 
2014年3月1日(土)10時~18時/立教大学池袋キャンパス太刀川記念ホール 
10:00-10:10 /開会の辞
10:10-10:50 /基調講演「マルグリット・デュラスの世界―『愛人』を中心として」清水徹(明治学院大学)

【第一部】 
11:00-12:30 /デュラスの映像作品 司会:小倉和子(立教大学)
杉原賢彦(映画批評家)「テクスト⇋映像、あるいは、デュラス⇋ストローブ= ユイレ デュラスによる〈声〉から〈映画〉へ」
岡村民夫(法政大学)「日本映画におけるマルグリット・デュラスの影響― 吉田喜重から青山真治まで」
小沼純一(早稲田大学)「“マルグリット・デュラス”をめぐる何点か」

【第二部】 
13:45-15:00 /デュラスの今日性 司会:澤田直(立教大学) 
関未玲(立教大学)「マルグリット・デュラスの連作に見られる反復的・消去的美学」
Yann Mével(東北大学)「マルグリット・デュラスの遺産」
小川美登里(筑波大学)「ヒロシマ/フクシマ、「世界の亡骸について書くこと」」

【第三部】
15:15-16:40 /デュラスの多面性(ラウンド・テーブル) 司会:関未玲
小林康夫(東京大学)、宇野邦一(立教大学)、澤田直
17:00-18:00 /特別記念講演「伝説の世界に刻まれること」 Bernard Alazet(パリ第三大学)
18:00 /閉会の辞 

ベルナール・アラゼ:パリ第3 大学准教授。マルグリット・デュラス研究第一人者の一人で、数々のシンポジウムや共著を手掛ける。元国際デュラス協会副会長。著書に『消去を書く』など。プレイヤード叢書のデュラス全集で執筆を担当。
清水 徹:明治学院大学名誉教授。ヌーヴォー・ロマンの作家をはじめ、多数の翻訳を通じて、現代フランス文学を広く紹介。著書に『ヴァレリーの肖像』(筑摩書房)、『書物につ
いて』(岩波書店、読売文学賞)、訳書にデュラス『愛人』(河出書房新社)など。
小林 康夫:東京大学大学院教授。著書に『存在のカタストロフィー』(未来社)、『知のオデュッセイア』(東京大学出版会)、訳書にデュラス『緑の眼』、「死の病い」など。
小沼 純一:早稲田大学教授、音楽批評家、詩人。著書に『武満徹 音・ことば・イメージ』(青土社)、訳書にデュラスの『廊下で座っているおとこ』など。
杉原 賢彦:映画批評家。フィルム・アート社「シネ・レッスン」等で映画批評を多数掲載。『二十四時間の情事』のDVD 解説も手掛ける。慶応義塾大学等で映画に関する講義を担当。
岡村 民夫:法政大学教授。著書に『イーハトーブ温泉学』(みすず書房、宮沢賢治奨励賞)、訳書に『デュラス、映画を語る』(みすず書房)など。
小川 美登里:筑波大学准教授。パリ第八大学およびパリ第三大学客員教授(2005-2013)。著書に『マルグリット・デュラスの文学作品における音楽』( パリ、ラルマッタン社) など。
ヤン・メヴェル:東北大学准教授 。国際ベケット学会、デュラス学会の開催共同責任者を務める。著書に『サミュエル・ベケットにおけるメランコリーの想像界』(ロドピ社)など。
宇野 邦一:立教大学現代心理学部教授。著書に『意味の果てへの旅』(青土社)、『吉本隆明煉獄の作法』(みすず書房)、訳書にドゥルーズ『襞』(河出書房新社)など。
小倉 和子:立教大学異文化コミュニケーション学部教授。著書に『フランス現代史の風景―イヴ・ボヌフォワを読む』(立教大学出版会)、訳書にラフェリエール『帰還の謎』など。
澤田 直:立教大学文学部教授。著書に『新・サルトル講義』(平凡社)、『ジャン=リュック・ナンシー』(白水社)、訳書にジャン= ポール・サルトルの『言葉』(人文書院)など。
関 未玲:立教大学教育講師。博士論文『マルグリット・デュラスにおけるエクリチュールの差異化』(パリ第3大学)がある。
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女性作家をパンテオン廟へ:サンドも!

2014年02月22日 | サンド研究
http://evene.lefigaro.fr/celebre/actualite/de-sophie-berthelot-a-germaine-tillion-histoire-des-femmes-au-p-2588129.php
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『百科全書』の「会読」2014/03/14

2014年02月21日 | 文学一般 海外

幅広い業績と活動で知られる思想史家アン・トムソン教授を迎えて、以下の要領で講演会を開催します。
期日:2014年3月14日(金)15時より
場所:慶應義塾大学(東京・三田)研究室棟1階B会議室
演題:Bodies of thought / Ame des Lumières

使用言語:講演は英語、質疑は英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語で可
アン・トムソン教授は、現在フィレンツェのヨーロッパ大学研究所とパリ第8大学に籍を置き、18世紀のとりわけ英国とフランスの思想史、知的ネットワークなどを中心テーマとして活躍されています。詳しい情報は次のHPで確認して下さい。

Ann Thomson, Professor of European Intellectual History 
講演は英語で行われますので、とりわけ英国思想史・文学史がご専門の方々の積極的な参加・発言を期待いたします。講演後には懇親会も予定しています。
2014/03/29
月例研究会
13時より『百科全書』の「会読」(項目未定)
15時より研究発表(発表者未定)
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『摩擦する「母」と「女」の物語―フランス近代小説にみる「女」と「男らしさ」のセクシュアリティ』

2014年02月20日 | サンド研究


『摩擦する「母」と「女」の物語―フランス近代小説にみる「女」と「男らしさ」のセクシュアリティ』

「女」「母」「ホモソーシャル」をテーマとする画期的な研究書が出版されました。
高岡先生のこれまでのご研究の集大成ともいえる貴重な書で、サンドの作品分析についても多くのページが割かれています。大学の講義でも使用できる優れた研究書です。
そこでは、女、母、男、それぞれの類型に沿い、新たなジェンダーの視点から、19世紀のフランス文学作品が縦横無尽なほどにあらゆる角度から問題が提示され解明されています。バルザック、スタンダール、フロベールといった男性作家の小説とサンド作品にあらわれる男性性の問題や母と息子の主題に対し、著者はこれまでのステレオタイプの見方を遙かに凌駕する斬新な切り口でアプローチし、それぞれの創作に登場する主人公たちをめぐる男らしさを論理的に説明してゆきます。
常に客体であることを求められ身体の自立性を剥奪された女が子供を産むことや性関係を拒否する根底には、女性のセクシュアリティをめぐる主体性や尊厳の問題が原因として潜んでいることが、サンドの初期作品を通し鋭く指摘されている点も注目に値するでしょう。
『アンディアナ』『ヴァランティーヌ』『アンドレ』『ポーリーヌ』『アントワーヌ氏の罪』『シモン』『ジャック』『捨て子フランソワ』『モープラ』『マドモワゼル・メルケム』と目眩くほど数々のサンドの創作が取り上げられていることにも瞠目します。
サンド研究、19世紀文学、ジェンダー研究に関心のある方にとって必携の書です。是非、お読みになってみて下さいますようお薦めいたします。



内容
「子ども」たちはごまんと登場する。だが、その「子ども」たちは、彼らが書かれるために存在するのではなく、「女」が「母」になる瞬間として描かれるのだと。本書が注目するのは、それゆえ、「母」になる「女」がその過程で経なければならない「身体」の経験、そして「セクシュアリティ」の問題である。

単行本: 265ページ
出版社: 晃洋書房 (2014/01)
ISBN-10: 477102488X
ISBN-13: 978-4771024885
発売日: 2014/01
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『香夜』 高樹のぶ子

2014年02月19日 | サンド研究
高樹のぶ子という作家は、サンドに興味をもっているようである。
サンドの『書簡集』について、サンドの言葉「巧みな表明は感動からのみ生じ、感動は確信からのみ生じます。熱烈に信じていないようなものに人はけっして感動しないものです」を引用し、高樹は「自分を信じ切った女性だからこそ、書簡集を作品として残せたのである」と記している。 
                                  毎日新聞(2013/10/27 )の書評より

最新作:『香夜』 
死ぬ前に、決着をつけないといけない相手がいる。たとえ相手が生者ではなくても思いを遂げようとする。それが、この物語の主人公・流奈(るな)。
愛してしまったために、流奈の心と体を傷つけた男との再会。家族の期待を背負いながらすべてを捨てた姉との旅路。人生につまずいた不器用な息子と孫が見せる希望。6歳で死んだ、幼なじみの少女と自分の娘への悔恨の念。連なる四つの幻想譚(たん)。
「決心を実行するときが来た」。最後、病院を抜け出した流奈には、思いがけぬ道行きが待っていた。
「命を運ぶのが、運命」。長年、生と性を描いてきた著者による、不思議な鎮魂の物語だ。
    ◇
集英社・1575円


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