途中下車してときどき嵐

ブログ人から引っ越してきました。

NHKドラマ「女子的生活」を観て思ったこと、思い出したこと

2018年04月09日 13時51分50秒 | 日本ドラマ感想
最後に【追記】

適当に録画予約を入れていた中にこの「女子的生活」があった。
内容も確かめないで、あっ!町田啓太くん出てるんだ!彼が以前出ていたNHKドラマが面白かったので観てみよう、と思ったのだろう。
その程度、特に期待していなかった。
1話、まさに“女子のような”語りと部屋、生活が映し出される。
#(ハッシュタグ)のついた女子的ワードが次々流れる。
今どき女子のお話なんだなと思ったが、そこにいるのは女装した志尊淳、じゃなくて“みき”。
その“みき”は普通にファッション関係の仕事をして、女性たちに混じって、女子トークをしている。
周りの人は皆、“みき”を女子として扱っている。
なんだ?これは。
“みき”を女装した人ではなく“女子”とみなして綴られる物語なのか!?
その高校時代の同級生、後藤(町田啓太)が現われた時点で、『あっ!“みき”は生物学的には男性だったのか。いわゆる、性同一性障害の人のお話なのね』と思った。
が、1話の終盤で、生物学的女子と2人でベッドへ・・・
う~~~ん、よう解らん。
その時点でちゃんと調べていれば良かったけれど・・・
2話、“みき”をディスる同級生ミニーさん(男)が現われ、化粧をしてもらってる。う~~~ん、よう、解らん、どこを目指しているんだ?このドラマ。
普通ならリタイヤだったが、暇だったから~
3話で、家族と“みき”が描かれて、あっ!そういうことか。
ウジウジしていた男子の“幹生”が心のままに女子の“みき”になり、凜として生きている。
その時点で、舞台が兵庫県だと知った。
なんだ、良いドラマ!面白そうじゃん!と思ったが、次が最終回だった。
最終話はもう、私的にドハマリ。
セレブのお嬢、マナミさんと“みき”のやり取りでは大笑い。
このマナミ役の女優さん、土村芳さんは「恋がヘタでも生きてます」でもほわぁ~としたド天然役を演じて印象に残っていたんだけど、今回も天然なお嬢役で良い味を出していた。
この人はちゃんと“みき”のことを女子として扱っているのね。
ところが、マナミの婚約者は“みき”とその友達である後藤に嫌みを言う。
“みき”はそれを聞き流す。
が、後藤は、“みき”は理想の自分に向かって努力している偉いやつで、どこに出しても恥ずかしくない友達だ!とキッパリという。
『おお~~~!!!後藤、きみはこのセリフを言うために今までのほほ~~んとしていたのか!カッコいいやつじゃん』
と思っていたら、“みき”が突然逃げ出してしまう。
青春している後藤が恥ずかしいって。
言いがかりや嫌みは頑張る活力にできたけれど、後藤のむき出しの思いやりに触れて、自分がどう反応して良いのか解らなかったんだろうなと。
今までの“みき”の孤独な戦いが想像できた。(涙、涙、涙・・・・)
最後に、神戸の埠頭を颯爽と歩く“みき”が綺麗だったわぁ~~
志尊淳くん、回を重ねるごとに女子になっていて、最後のワンカットは素晴らしく美しい。

観終わって、わぁ!これはけっこうすごいドラマだったぞ!
で、ちょこっと調べてみた。
「トランスジェンダー」というワードがこのドラマで使われていた。
私はなんとなく「性同一性障害」のことだと思っていたが、ちゃんと調べたら、少し違うものだと解った。
そこで1話の男子が女装して、女子とベッドの描写の意味を知った。
それから「LGBT」というワードの意味を知った。
少し知ったが、でも、これ生きていくのに必要?
周りにそう言う人が居なきゃ考えもしないことだし、そこで差別など思いもよらない。
でも、知ったら、後藤くんやマナミさん、会社の同僚のような人でありたいと思う。
知らなくても、何事にも、そういう人であることが出来ればそれが良い。

ところで、私は数年前に不思議な出会いをした。
東京から新幹線に乗った私の隣に人が座った。
本を読んでいた私は雰囲気で隣には女性が座ったのだと思っていた。
私が車内販売のコーヒーを買い求め、受け取ったあと、「コーヒーください」との声が、隣でした。
(んっ???男の声だ!)
(えっ!?隣は女の子のはずなのに!)
なぜか動揺して、何もなかったことにしようと思った。
のに、隣から声がした。
(えっ!?私に何か言ったの!?)
「コーヒーの匂いが良い匂いだったので、つられて買っちゃいました」って。
(あっ、私に発せられた言葉ね)
だから、私、思わず「隣には女の子が座ってると思ってた!」と言ってしまった。
「僕、よく言われるんです」って。
ここまでは普通の会話。
それに続いたのは「僕、性同一性障害だったんです。(過去形で話したような・・・)」
思いもよらない言葉で一瞬頭がホワイトアウト。
(えっ!私、何かしゃべった方がいいかな?!)
(聞くべき?)
(話したいから言ったのよね~)
で、気を取り直して
「えっと、XXですか?XYですか?」と聞いてみたらXYだって。
たぶん彼は話がしたいのだろうから、私は聞けば良いのねと腹をくくって、いろいろいろいろ話しをした。
今は、自分は中間に居ると、そう思ってからは気持ちが楽になりましたって。
「じゃ、以前は、僕はどちらでもないと思って一人ぼっちだと思っていたのが、今はどちらでもあると、どっちにもいっぱい友達がいるって感じなんだね」って私が言ったら、そうだって。
それから、今、ちゃんと付き合っている女の子がいるんですって言ってた。
今思い返したら彼から苦労話は聞かなかったような気がする。
「もう過去の話になりました」と言っていたから“みき”のようになりたい自分を目指し、それに到達したのかも。
妹の結婚式のために家に帰るだと言った。
それがドラマ「女子的生活」の舞台になったところだった。
昔の日記を読み返したら、
お肌つやつやで年齢より若く見えた。
雰囲気が栗原類くんみたい。
私が膝の上の本にこぼしたコーヒーを拭いてくれた。
「さよなら」って腰のあたりで手を振ってた。
しぐさが優しくて可愛い。
って、もう顔も覚えていないけれど、そんな事を書いていた。
最後に「じゃあ、おたがいに良い人生をおくろうね、バイバイ」で別れた。
幸せな人生をおくっているかしら。
アカウントを教えないで別れたこと、ちょっと後悔しているけど、辛い自分を乗り越えた人だからきっと大丈夫だよね。
「女子的生活」を観ながら思っていた。
あっという間に終わってしまったドラマで、周りに観ていた人がいない。
感想を言いあえないので書いてみた。


追記
このドラマを観て、原作を読んで、知り合いにも勧めて感想を話し合った。
それを通じてひとつ、私の不思議だったことが何となく解ったような気がした。
新幹線での出逢い、隣の席の男性に話しかけられ、唐突に「僕、性同一性障害だったんです」と言われたことがどうしても私には理解不能だった。
少しの会話があった後に言われたのならまだ解るけれど、そうではなかったから。
もちろん私に【この人は悪い人ではありません】とシールが貼ってあったわけでもない。
そして彼も、新幹線で隣り合わせた人に“いつも”身の上話をする人にはみえなかった。

ドラマ「女子的生活」3話、突然、仕事で自分の実家の近くに行かなければならなくなったみきちゃんの様子、あっけらカーンと日々を送っているようにみえたみきちゃんの厳しい顔。
実家に帰るのではなくても緊張感が漂っている。
妹さんの結婚式で帰る彼、結婚式と言えば、親族や知人が集まる場所。
彼の言った、「過去の話」という一言ですっかり過去の話にしてしまっていたけれど・・・
「過去の話」であってもそこにまた向き合わなければいけない状況だったのではないのか。
ちょうど向き合っている瞬間だったのかもしれない。
それ故の緊張。
平常心ではない彼の気持ちがあの唐突な告白に繋がったのではないかと、何となくそう思えた。
正解は“彼”しか出せないけれど、何となくこれが答えだろうと自分が納得できた。
普通ならいつか忘れてしまうだろうドラマだが、このドラマだけはもう忘れられないと思う


読書感想 女子的生活

関連

女子的生活ロケ地巡り

志尊淳の"女装"姿も話題『女子的生活』がギャラクシー賞月間賞

【性的少数者を演じ、裏側で「すごく悩んだ」 志尊淳さん】というニュース

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 読書感想「雪の香り」塩田武士 | トップ | 俳優キム・ジェウク、演劇「... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本ドラマ感想」カテゴリの最新記事