モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

華やかな黄金と赤

2024-06-28 18:40:48 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、秦野さんの油彩作品です。ビリヤード台に腰掛けキューを持つ女性。ファッション雑誌からピックアップされて描かれました。キャンバスボードに描かれているので、油絵のような印象も感じます。まるで黄金にも見える黄色の背景に、赤い洋服が映えて鮮やかに見えてきます。黄金と女性の組み合わせは、どこかクリムトを思わせる華やかさですね。

単調な黄色で塗り潰すのではなく、筆の跡を残したり、右下に人物の影を入れています。これにより、一層人物の存在感が増していっているのでしょう。
構図を見てみると、少し左に寄せて描かれていますが、紙のど真ん中に顔が来る様にしてしまうと、動きのないつまらない構図になってしまいます。また女性の顔が右を向いているので、右側に空間の余裕ができる様左側に寄せて描かれているのでしょう。
服のシワやその下にある身体までよく意識して描かれていますね。流石の描写力です。服の素材やポーズによって、シワのでき方は変わってきます。人物を描いても何だか薄っぺらくなってしまうという方は、服のシワ・その下にある身体を意識して描いてみると良いでしょう。

秦野さんは青を活かした風景が印象的でしたが、こうした情熱的な雰囲気の作品も素敵ですね。この女性が内に秘める闘争心が静かに漏れ出しているかの様です。目には見えない心の内や温度を感じさせる1枚だと思います。

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流石というしかない

2023-11-25 23:17:23 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル

今回は、秦野さんの作品をご紹介します。

青を基調に、入道雲が印象的な作品。道端に立って空を見上げた1枚の写真を元に描かれたアクリル画です。まるで見ているこちらが少年の頃に戻ったような、どこか懐かしい感覚をも与えてくれます。

暑い盛りの昼を過ぎて、日差しも少し陰ってきた午後4時頃でしょうか。
アブラゼミと、ヒグラシの声が同時に聞こえてくるような、その場の音さえも聞こえてきそうな絵ですね。
敢えて明瞭にしすぎず、どこかぼんやり描いているからこそ、見ている者が自身を絵の中に投影させ、色々な想像を膨らませることができるのでしょう。

逆光の雲の隙間、日差しを受けた真っ白な入道雲を起点に、視点は右手のアンテナから連なる建物の奥へ。標識のポールを伝いながらバス停のサインを舐めて、駐車禁止の丸い標識に。そこから上方の空へ向かい、最後には雲の様をゆっくり鑑賞する。

見ている側の目の動きまでもちゃんと意図されていて、1枚の絵を思う存分楽しませてくれるのです。

実に素晴らしい作品。流石の秦野さんというしかありません。

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印象を描く

2023-06-27 12:42:53 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル・キャンバス

佐藤です。本日は水曜大人クラスより、秦野さんのアクリル作品をご紹介します。
私は水曜大人クラスを担当したことがないのですが、いつも小学生クラスが終わった後に大人クラスの準備もしています。なので、秦野さんのこの作品は準備の時にいつもお見かけしていました。
そして作品を拝見する度に、「どことなく印象派のような雰囲気を感じる作品だなぁ」と思っていました。しかし印象派の技法といえば、筆のストロークを残すタッチや、絵の具を混ぜ合わせずにキャンバスに置く筆触分割が代表的。それに対して秦野さんの作品は緻密に陰影を描き込まれていますので、なぜ自分がそのように感じるのか、うまく言語化出来なかったのですが……。今回ブログでご紹介しようとアレコレ考えた結果、「光や空気のうつろいを感じるからだ!」と(勝手に)腑に落ちました。

そもそも、なぜ印象派の画家たちは従来の絵画のルールに反して混色を避けたり、あえて粗い筆致を残すような技法を産み出したのか。それは風景をそのまま写実的に描くのではなく、ある風景をみた時に個人の目に映った視覚世界と、それによってもたらされた印象・感覚を描き表すことに重きを置いたからだと言います。
また印象派の特徴の一つに戸外制作が挙げられますが、それによって印象派の作品からは、光や空間の遷移を感じることが出来るんですね。

この作品では、はっきりと光をモチーフとして描いているわけではありません。むしろ手前にある家や木はかなり陰っており、画面全体では暗い色の方が多く使われていると思います。しかし、その家々の奥に広がる空には柔らかく日がさしており、逆光で手前側が暗く描かれている分、いっそう空の明るさが強調されていますね。
アトリエで描かれた作品ですので、もちろん戸外制作ではないと思いますが、屋根の奥からわずかに見える日の光によって、刻々と変化していく世界の一瞬を切り取った という印象を強く感じます。
作品を見ていると、冬のキリリと澄んだ空気感や、うつろいゆく光、そして秦野さんがこの風景を絵に描きたいと思われた気持ちまでもを鑑賞者が一緒になって感じられるような気がします。
技法こそ異なれど、それは印象派の画家たちが目指した絵画表現にとても近いのではないでしょうか。

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見下ろして見えてくるもの

2022-11-17 23:31:33 | 大人 デッサン


秦野 鉛筆

マユカです。今回は秦野さんの作品をご紹介します!

繊細な描写が目を惹くこちらのデッサン。布や鏡の直線を視線誘導に使い、構成されています。モチーフを上から見下ろしている構図になっていますが、これは実際に高い椅子に座って描かれました。元の形の先入観が邪魔をしてしまうため、形をとるのが難しい構図も自然な視点で表現されています。見下ろすことで、モチーフの一つである鏡を、布のように下に敷いても活かすことができ、立てかけて使った時とは違う表情を見せてくれています。

以前秦野さんが描いていらっしゃった水彩画は、優しく自然な光を感じる暖かな作品でしたが、今回のデッサンでも同じく優しい光を感じることができます。画面を構成しているメインモチーフはもちろんのこと、背景の布やモチーフの下に敷かれた鏡等、空間を構成する物の隅から隅まで丁寧な筆運びで描かれ、全体にしっかりと手を入れつつも主役である骸骨、ビン、植物の三つは特に細かく描きこまれているため、まるで写真のようなピントのつき方をしています。骸骨の石膏は、石膏特有の粉っぽさすら感じさせるほどのマットな質感の描きこみが素晴らしいですね。輪郭線をあまり描かずに、骨の入り組んでいる目元を表現しているためか、とても自然な雰囲気です。
ドライフラワーも、これは花でしょうか。穂の先の方にはぎっしりと詰まった花弁、よく見るとこの1枚1枚ですらしっかりと描かれています。ここまで描きこんでくると、線のようになってしまい、立体感が消えてきてしまうことが多いのですが、さすがは秦野さん。むしろしっかりと丸く、コロッとした印象の植物に仕上がっています。

デッサンを描く視点が変わると、普段とはまた違った表情が見えてきます。こういった見下ろす構図は「俯瞰(フカン)」というのですが、臨場感が生まれたり、空間を広く見せたりといった効果があります。その分描く難易度は上がってしまうのですが、挑戦してみる価値はありますので、皆さんも是非見下ろすような構図で作品を作ってみてくださいね。

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状況設定までしっかり

2022-06-18 16:56:50 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル

岩田です。今回は秦野さんの作品をご紹介します。

こちらはアクリル絵の具で描いた作品。同じモチーフが置いてあるので、モチーフ棚の前、端っこで描いたことが分かると思います。
描いた時間は夜。今見ている状況と同じです。秦野さん、描ける人なので、今回は突っ込んでコメントしますね。

モチーフの瓶、羽箒は良く描けています。特に瓶の底のガラスの厚み、良く描けています。
だけど引きで全体を見ると、色が浅いかなという感じがします。羽箒が差してある瓶の口なんかも非常に綺麗。ただ状況設定はやはり物足りない。
背景の壁までの距離がおよそ40cm。しかし作品を見てみるとその距離が感じられない。何故かというと実際の状況と比べると壁、立てかけてあるパネルが明るすぎます。
でもわざわざモチーフを端っこに置いて描いているということは、その設定も大事にしている筈。主役のモチーフに意識がいきすぎて、周りの空間のことまで考えられていないかもしれません。

隅々まで丁寧に質感を出したり、きっちり描きましょうと言うのではなく、端的に言えば暗いところはしっかり明度を落としましょうということ。ある意味モチーフ以上に気を使わないと、敢えてこの場所で描きましたという意味、その佇まいまでは伝わって来ないのです。
更に言うと、モチーフが置かれている台上の色も、もっと良く練って欲しい。瓶がここまで描けるのであればそこまで期待したい。

またこうして突っ込んだ話もしていきます!

秦野さんのYouTube紹介はこちら

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鮮やかな日常

2022-03-14 21:49:10 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル/キャンバスボード

卒業式が迫っています、一平です!本日は水曜クラスの秦野さんの作品をご紹介します。

通勤中の朝方の一枚だそうです。朝の白んだ光の雰囲気がとても美しいですね。奥のビル群が本当に良い脇役として絵の中で活きています。手前のトラックや積まれているコンテナの色彩が美しく見えているのはこの奥のビル群のおかげと言っても過言ではありません!そして鮮やかな部分、こちらの凄いところはトラック、標識、コンテナ、照らされた地面など普通の人が描いたらゴチャゴチャとして何が何だかわからなくなってしまいそうなものですが、秦野さんの絵は全くそんな事がなくどこに何があるのか、これが明確なのです。

ここまで色彩が強いのにも関わらず何故こんなにも見やすいのかビビッドなものの中の暗い色、明るい色の調整が素晴らしいからでしょう!ただベタっと塗るような質感ではなく下地の色味も感じる塗り方も絵の風合いに合っています。このような質感を出すための塗り方は普段デザインの課題などで使われる事が多いアクリル絵具では中々難しそうですが見事に描き切っておられます!よく見てみると白いガードレールの中に青やオレンジが使われていたり、後ろのビル群にもただ青い影ではなく赤や黄色が使われていたりと固有色だけ使うのではない描き方が絵の中の色彩により一層深みを与えています。僕らが普段見えているありふれた景色も秦野さんの視界を介せばこんなにも美しく優しい世界になるのですね…。

いつもどこか懐かしく暖かい風景を描く秦野さんですが、秦野さんのもう一つの表現方法は、シルクスクリーンという版画。全く違う世界観をお持ちです。アトリエの洗面所の壁(プチ画廊コーナー)にも、小原先生が購入した『そよ風と黒猫のシルクスクリーン作品』が飾られています。
今日から銀座でグループ展を開催されていらっしゃいますので、ぜひ皆様ご高覧ください!(ちなみに、下記DMの中では、オレンジの大地と青空の作品です。このアクリル画を描いた方と別人のよう!)

HANGA exhibition 2022

日時 3.14(月)〜3月19(土) 12:00~19:00  最終日16:00まで
場所 ゆう画廊 銀座3-8-17 ホウユウビル5・6階(松屋うら2本目通り) 銀座A12出口(松屋横通り)より徒歩3分

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ひんやりと温かな

2021-11-24 23:30:13 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル

出来るだけ長く布団にいたくて毎日遅刻ギリギリの時間で登校してます、ナツメです!

水曜夜間クラスの秦野さんの作品をご紹介します!2005年の11月に入会とのことで、アトリエ歴丸16年!私が2歳の時から描かれているんですね!(秦野さんの過去の作品はこちら
一平先輩が1カ月お休みしている為、私が水曜夜間クラスを引き継いでいますが、『穏やかで超絶上手いミオスのベテラン』と一平先輩からの日誌に評されているような方ですので、それは上手くなって当り前ですよね。(そもそも元々お上手です!入会して半年後の作品はこちら

今回は明朝の港の風景!写真では見辛いのですが、船の上の方のアンテナみたいな細ーいところ(名称が分からなくてすみません)のような幅1mmにも満たない細部まで丁寧に描かれていて、細部への気配りが質へと繋がっています。暗さの割合やピントの合わせ具合、まだ日が登っていない明け方の暗さや少し冷たくて静かな港の様子など空気感の表現がとても気持ちいいですね!

私はデザイン科なので受験生時代にアクリル絵具を使って平面構成を制作していました。パキっと分割した色面や高い彩度でムラなく綺麗に塗られた画面に親しみがあったため、1番はじめに秦野さんの作品を見た時にパステル画ですか?と尋ねてしまった覚えがあります。確かにそんな温もりを感じるのですが、もしパステルを使った場合は画面の上で色が混ざっていくため海の光の反射や雲など、暗い色の隣の鮮やかな色はここまで綺麗に描写できなかったのではないかと思います!先程と言ってることが逆にも聞こえますが、アクリルならではの画面に仕上がっていて、画材の扱い方も流石ですね。

水曜クラスでも、ふむふむ、こうやって完成していくのかとこちらが経過に学んでいます。最早何を言っても今更なのでは!?とドキドキしながら書いているのですが、私は秦野さんがこの絵にどんなタイトルをつけるのか気になるので、是非今度教えて下さい!

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お休みのお知らせ

2021-06-28 10:47:29 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル

小原です。土曜に続けて秦野さんのご紹介。「アクリルは乾きが早く、上から重ねられるので手っ取り早く楽でいろいろ試せますが、絵が乱暴になりそうですね。」とおっしゃる秦野さんですが、画力が高く、元々のお人柄が真面目で誠実、丁寧な仕事をされる方なので、むしろその乱暴さがスパイスとなっています。思いがけないアクシデントのような下塗りも利用できる実力と相まって、インパクトがあってもエキセントリックには見えない説得力のある絵が誕生します。我々講師も唸る事しかできません。

明日6月29日(火)~7月3日(土)まで、小学校受験クラス・小学校受験プライベートレッスン以外の授業はお休みです。お間違えの無いようお願い申し上げます。
尚それに伴い、ブログも1週間お休みさせて頂きます。

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日常に少しのエッセンスを加えて

2021-06-26 22:47:23 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル・キャンバスボード

岩田です。今回は、水曜クラスに在籍の秦野さんの作品をご紹介します。

秦野さんは透明水彩やアクリルといった水彩絵の具を中心に描かれています。以前と比べても色使いに思い切りが出てきたように感じられます。
透明水彩を一貫してやっていて、その後アクリルも積極的に描かれるようになりましたが、それぞれの絵の具の特性を消化し、活かしながら作品を積み重ねているのです。

上に挙げた作品は、近所の小高い山を描いたもの。右手の下塗りの段階でコバルトブルーを置いていますが、最後までその色を大胆に活かして仕上げているのです。

こちらは冬の風景を描いた作品。空をモスグリーンに塗っていますが上の作品と同様、違和感がないどころかどこかおしゃれな感じさえします。この絵もご近所の風景を描いたものですが、まるでスカンジナビアの風景ではないかと錯覚を起こしていましそうな仕上がりです。

時に大胆に色で遊びながら、決して奇をてらうことなく、そこかしこにあるであろう日常の風景に少しだけエッセンスを加えて一枚の作品に昇華させていく。
そんな秦野さんのライフワークともいえる作品達に共感を憶えます。

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色の魔法

2020-10-20 22:41:37 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル  /  キャンバスボード

髪が暖かい事を実感しています、一平です!本日は水曜夜間大人クラスの秦野さんのアクリル画をご紹介します。

長閑な公園の風景です。青系の絵具をここまで沢山使っているのにもかかわらず、葉っぱがしっかりと緑に感じられますね。全体的にブルー系の色味で涼しげなトーンがとても素敵です。公園なのに人がいない、という事が公園という見慣れた風景の中で良い違和感になっていて絵の魅力の1つになっています。手前の木の葉っぱ部分の量感や、奥に続いていく木々の明暗の諧調の差が絶妙な色味のバランスで保たれています。

秦野さんの絵を見ていると、デッサンの重要さをいつも思い起こされます。絵を描かれる時ご自分で写真を撮ってくる事が多い秦野さん。今回もそうでしたが、持ってこられた写真はなんの変哲も無い普通の公園の道と緑の葉っぱが沢山生えた大きな木の写真でした。ですが明度は変えず、色味を変える事でとても魅力的な絵を作り上げました。絵を描いている方なら分かると思いますが、模写はある程度のレベルまで行けば「この色とこの色を混ぜればこの写真の色になりそう、じゃあこれを塗って」とプロセスをなんとなく想像できると思います。ところが色味を変えるというのは1から色のバランスを考え直さなければいけないのでとても難しいのです。デッサンで色があるものを白黒の紙と鉛筆だけで表現するのが難しいのと同じですね。ですがそれをマスターすれば、寒そうな部屋をまるでストーブがあるような暖かい空間にする事も可能です。それほど「色」は絵から受ける印象を操作しているのです。秦野さんはその点、絵の印象を自在に変えてしまいます。まるで魔法ですね

みなさんも秦野さんの魔法に酔いしれましょう!

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勉強会【花の描き方】

2019-05-25 23:32:48 | 大人 油絵・アクリル


秦野 アクリル

伊藤先生が庭で育てたバラを見て、一回の授業2時間弱で仕上げました。キャンバス地の温かい生成り色をあえて消さずに、ペインティングナイフで荒っぽく塗ったジェッソの冷たい白さをプラスして背景としています。大胆にざっくり描いた花びらなのに、ベルベットな質感まで出されていて感動です。バラの量感を出す為の影は、花の重さ・塊を表現する為に光の位置に注意しながら描かれています。濃密な描き込みと極端に手数を減らした部分の調和が完璧!「こういう絵がサラッと描けるようになりたくてアトリエ入ったのよ!」というクラスメイトの声が聞かれました。

オバラです。本日、社会人 / 学生対象の勉強会が行われました。毎年岩田先生主催のこの講座は大盛況で、今年は「隅っこでも立ち見でもいいので参加させて下さい!」とまで言われました。
『心のままに筆を動かす』とよく聞きますが、残念ながらそれは最低限の技術や知識なくしては不可能です。
幼稚園児対象の小学校受験クラスでも、「子どもには無限の想像力がありますが、空想の世界を表現する技術や方法が未発達ではうまく絵を描く事はできません。そこで私達は表現の基礎を教える事で子どもの想像力と小学校受験で必要な巧緻性を十分に引き出したいと思っています。」と、うたっています。
そんな基本の技術を、今回は【花】のみを活かすことに焦点を当てましたので、参加者の多くの方が理解できたのではないかと思います。あとは向上あるのみ!ですね。

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秦野さんの世界

2019-04-06 17:44:29 | 大人 水彩

秦野 左ーアクリル / 右ー透明水彩

岩田俊彦です。
今回は、水曜夜のクラスに通われている秦野さんの作品2点をご紹介致します。いつもどこか優しく温もりを感じさせるその画面は秦野さんならではの特徴ではないかと私は思っているのですが、今回の作品もとても丁寧に描かれ、美しいものとなりました。

アクリル絵の具と透明水彩ということで、それぞれの描画材の持つ特徴は違いますがそれらをご自身なりに見極め、絵にしているのが見て取れます。
右手は透明水彩、今まで幾度となく使用してきた描画材だけにその扱いも洗練されています。濃淡を上手く使い、画面内に強弱を付けると共に、にじみを上手く使って構成をされています。絵具、水、筆、紙そして秦野さん自身が混然一体となり、一枚の絵を構築しています。
いつまでも見ていたくなる一枚です。

左手の作品は、アーチ状に続く天井が魅力的に描かれています。アクリルということで、やや厚塗りをして壁面や床の抵抗感を演出し、透明水彩とは又違った絵肌でアプローチしています。これからは、アクリル絵の具の特徴を更に会得し、透明水彩とは全く違った印象の作品を描かれるのも面白いかもしれません。

今回は、46人の作家、全ての出品作品が0号サイズ(長編18cm)の展覧会に、秦野さんが参加されます。今回の出品作品は版画です。(アトリエの洗面所に秦野さんのシルクスクリーンが飾ってあります。)

APRIL 2019 ー0の世界ー 展
日時:2019年4月8日(月)〜4月13日(土) 12:00 - 19:00(最終日16時まで)
場所:ゆう画廊 銀座3丁目8-17 ホウユウビル 5・6階(松屋うら2本目通り) 03-3561-1376

PS.一平先生が展覧会のDMを頂いてつぶやいたセリフ…「秦野さんはこんなに上手いのに、いつも足りない部分、改善すべき点を厳しくチェックし、どうすれば完成度が高くなるか冷静に自問自答している。多摩美の俺の友達は遊ぶことに一生懸命で、情熱の使い道を間違えてる。爪の垢を煎じて飲ませたい!」とのことです。

是非ご高覧下さい。

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日常の美しさを

2018-06-23 17:43:37 | 大人 水彩

                                                  秦野 水彩

岩田です。本日、作品をご紹介させて頂くのは水曜夜に通っていらっしゃる秦野さん。
向かって右の作品は新作ですが今月は土曜日に通われていらっしゃったので、私も途中経過を拝見させて頂いてました。

川沿いの向こう岸に立ち並ぶ家々。私の住んでいる鎌倉市にもありそうな日常の風景です。秦野さん、こうした本当に何気ない住宅街といったどこにでもあるようなシーンを切り取って、美しい一枚に仕上げていきます。
広葉樹が茂る小高い山、電気を送り日々の暮らしを支える送電鉄塔、決して清流とはいえぬ川、傍らに佇むススキ。秦野さんの作品を見ると日頃目にしても足を止めることなどないようなものたちであっても愛を持って描いているのだと感じます。

左の猫の絵、マルちゃんというビールにCMに出ているネコがモチーフ。段ボール箱の中にすっぽり入ってしまった猫を愛らしく描いています。こちらも日常にあるようなシーンを実に魅力的に描いています。

秦野さんの描く作品からは、「日常こそ尊く美しいんだよ。」そんな言葉が聞こえてきそうです。

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青とオレンジの魅力

2018-01-19 00:21:08 | 大人 水彩

秦野 左上 アクリル / 他 透明水彩

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、アトリエ・ミオスで最も水彩画がお上手とまことしやかにささやかれていらっしゃる、水曜夜間クラス秦野さんの作品です。ここに紹介しなければ講師作品と見紛う完成度です!左上はイギリス郊外のアパートメント、左下はクロアチアの朝市、どちらも小原先生の旅行の写真を見て描かれました。右の2枚はモチーフ棚にあるので、皆さんもご存知のアイテムではないでしょうか?

左上イギリス郊外のアパートメント こちらはアクリルで制作されているので、他の水彩作品とはまた違い、絵の具がもったりと乗せられた少し重ためな雰囲気ですね。それでも、地面のオレンジとアパートの屋根の青の組み合わせは秦野さんらしさが伺えます。干された真っ白な洗濯物からは住んでいる人の生活感が感じられ、今にも中から人が出てきそうです。建物や地面は暗めの色が使われていますが、クリーム色の空が作品の印象を柔らかくしてくれています。

左下のクロアチアの朝市 お店に落ちるパラソルの影からは、朝市らしいさわやかな空気感が伝わってきます。使われている色一つ一つがどれも魅力的です。光背後は細かく描写、というよりも色を重ねて表現されていますが、それでも沢山のお店が並び賑わっている様子が伺えるのが秦野さんの技術の高さが伺えます。オレンジをつまみ食いしたいる店主や、肘を脚に置いている女性など、人物のちょっとしさ仕草がまた良いですね。

右上のランプとホオズキ 鮮やかなオレンジのホオズキが見ていて心地よいですね。ホオズキの繊維やシワも見逃さず描写されていて、触れたらクシャッとしてしまいそうな脆い質感もよく伝わってきます。主に鉛筆デッサンのモチーフとして長い事ミオスで活躍している錆びかけのランプですが、水彩で描かれるとまた違った一面があるんだなあと奏野さんの作品を拝見して思いました。錆びた色となると、濁った色や暗く重たい色合いになってしまいそうですが、影になる部分に青を使う事で鮮やかに仕上げつつ、ホオズキのオレンジと補色の関係でお互いを引き立てあってます!素晴らしいですね。

 右下のマスク アトリエのモチーフ棚の中でも特に怪しい雰囲気を放っているヴェネチアンマスクですが、こちらの作品では秦野さんのお人柄が現れているのでしょうか、なんだか暖かく優しそうな印象になっています。秦野さんの作品はどれもオレンジと青の対比が上手く使われています。マスクの淵の装飾や、羽の根元飾りなど細かい部分もしっかりと追われています。羽の先やマスクの紐の描き過ぎずサラッと仕上げている辺りもお上手ですね。

 私は個人的に、クロアチアの朝市の作品が好きです。パラソルのピンクと手前の水色の組み合わせがとても可愛らしく、なにより一目見てここに行ってみたい!と思いました。

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見事なデッサン4点

2017-09-09 19:27:05 | 大人 デッサン

左上から 白仁田 / 秦野  右下から 殿山 / 大西

今日も元気です。岩田です!
今回はデッサン特集です。4人の方々のデッサンを並べました。皆気合い入っていますよ。

左上はランチャというイタリアの車をモチーフにした白仁田さんの作品。こちらは砂埃をどうやって鉛筆で表現しようかということでお選びになった写真を模写しました。
根っからの車好きとうことで車体のロゴまでびっちり丁寧に再現しましたが何といってもこの砂埃。PC上の画像で客観的に見ると更に凄い。リアルだなー!地面も自然な空間が出ていてとても良いですね。

その右、アトリエにあるバリ島?の彫刻。描いた方は秦野さんです。秦野さんの透明水彩、とても微妙なトーンでいつ見ても美しいですがデッサンもやはり水彩同様、ハーフトーンの中の色数が豊富でとても美しい。 
このモチーフ、木の模様が結構目立って描きづらかったと思うのですがしっかり立体として表現されています。台に置かれた感じもとても自然であります。

下段左は殿山さん。どんなモチーフに対しても妥協せず、しっかり描き切る方ですが今回の牛骨もやはりデッサン力を感じさせてくれます。
全体的に白色に近いモチーフ故、描いているとどんどん黒くなってモチーフの色味をキープするのが難しいのですが最終的に出来上がった作品はモチーフの色をちゃんと感じさせてくれますね。又、何とも言えぬ骨の硬質感も見事に表現されているのです。

右手は大西さんのデッサン。今回は特に質感の違いをテーマにモチーフを構成しましたが手前に置かれた手のモデルは質感もさることながら、可動部分まで良く観察されています。特に立てかけてある羽根ぼうきは描く上で、ほぼ白に近い色の中で微妙なトーンを作っていかなければいけないモチーフですがその柔らかさまでも見事に表現されています。
羽ぼうきから後ろに置かれた金属のモチーフまで、台上の空間も綺麗ですね。

次回作も期待します!

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