雪奈 中2 岩絵具・金泥/パネルに和紙
2月が短かった分3月はとても長かった気がしています、ホノカです。
今回のブログでは、学生クラスから雪奈の日本画のご紹介です。静謐な面持ちの鹿が佇む景色に、ちらりと桜が覗く上品な雰囲気の作品ですね。
完成した作品からは想像できませんが、なんと彼女も日本画の画材に非常に苦労していた1人です。明暗の表現や鹿表面の質感など、細かい色味の調節が必要になる部分において、日本画で使われる岩絵具は混色が出来ないこともあり、自身の思い通りに描くのは難しくなっています。そのため、途中の段階では描き込みをどう行うかとても悩んでいましたが、顔彩や透明水彩などの画材で細かく描くことで、顔のアップという難しいモチーフですが描き切っています。
また、下塗りとして緑系の色を使っていますが、背景にはそれが少し透けて見え、鹿にも青みのある色を入れることで春の夜に感じる冷たい空気感が表れています。そして桜は少し淡い光が反射しているように描かれていることもあり、月で照らされている様な印象も受けますね。月は直接絵に描かれている訳ではありませんが、その存在を感じるのは色選びや塗り方の妙ではないでしょうか。そして構図という点で言うと、右側にスペースが空いていることでこの絵の外にも大きな空間の広がりがあり、そこには桜が咲いているのではと見る側に思わせてくれますね。そう考えるとこの鹿は季節の移ろいを感じて、桜に近づくために首を伸ばしているようにも見えてきませんか?
岩絵具という苦難を乗り越え、作品を完成させたことで雪奈のスキルも大いに上がっているはず!これからも色々な画材にチャレンジしてみてください!