晴れ時々スターウォッチング

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まぼろしの「アンドロメダ座 流星群」 観望記録(12/3)

2023年12月08日 | ☆星見隊
12月3日未明にアンドロメダ座 流星群の観望に行ってきました~。

 アンドロメダ座群は19世紀後半に母天体である3D/ビエラ周期彗星の崩壊にともない複数回にわたって流星雨レベルの出現が見られたのですがその後は目立った活動がないため今ではまぼろしの流星群と言われています。

 こちらはその時の様子を表した1877年発行のアンティーク図版です。
 
 アンドロメダ座 流星群はとてもゆっくり流れる特徴があるそうですが、この図版はその様子が分かるように描かれていますね。

 その後沈黙を続けているこの群が12月3日04時00分(JST)に1649年のダストトレイルと接近する予報が出ているが、はたして伝説と化した流星雨は再び姿を現すのだろうか? 

 …と、期待に胸を膨らませて観望場所に到着したのはダストトレイル接近予報時刻の1時間前、空は晴れていますが月齢20の月明かりは予想以上に明るく、山並み家並みが肉眼ではっきり見えます。

 アンドロメダ座群はほとんどが暗い流星だという情報もあるのでこの明るさでは眼視はムリでカメラにも写らないのでは…と不安がよぎりましたがとりあえず試し撮りです。

03時10分頃の空の様子

2023.12.3 03h10m33s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f24mm ISO1600 15sec f3.2

 う~む、空が明るいですね~。露出は若干絞ってf5.6にして、シャッタースピードは15秒で連続撮影を開始することにしましょう。さあ、あとはチェアーに座ってお気楽観望です。

03時20分頃の様子

2023.12.3 03h21m56s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f24mm ISO1600 15sec f5.6

 ふむ、しずかな夜です。流れ星が空を横切る気配がまったくありません。いや、ひょっとしたら流れているけど見えないだけかもしれません。もう少し待ちましょう…。

03時30分頃の様子

2023.12.3 03h32m36s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f24mm ISO1600 15sec f5.6

 あらら、雲です。撮影を始めて20分を過ぎた頃から西空の雲が押し寄せてきました。雲はみるみる空を覆い、3時40分には北の空は雲で覆われて星が見えているのは東の空だけになってしまいました。

2023.12.3 03h37m56s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f24mm ISO1600 15sec f5.6

 まもなく東の空も雲に覆われることは間違いないことですが、一縷の望みを託してカメラを東の空に向けて連続撮影の再スタートです。

03時38分頃の東の空の様子

2023.12.3 03h38m28s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f24mm ISO1600 15sec f5.6

 ところが、あっというまに東の空も雲に覆われたため撮影は5コマほどで終了です。トホホ… なんと終わってみれば撮影をしていた時間はわずかに30分間だけでした。

 かくしてダストトレイル接近時刻の04時を待たずして観望会は強制終了となり、流星を眼視で確認することはまったくできませんでした。後は自宅に帰って撮影画像の確認です。

 で、自宅で連続撮影した画像を一コマずつくまなく探したのですが北の空で流星が写っている画像は1枚もナシ。東の空もあるわけないよな~と思いながら見ていると、

 ラストショットに流れ星らしき光跡が写っていました。はて?これは流れ星でしょうか。時間的に人工衛星ということも考えられるので東の空で撮影したほかの画像を調べてみると…

2023.12.3 03h40m36s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f24mm ISO1600 15sec f5.6

 なんと同じような光跡がたくさん写っています。しかも、東の空で撮影した5コマの全てに、それもほぼ同じ場所で… なんじゃ、こりゃ~、え?、これが… 今話題のスターリンク衛星フレア!?


こちらは東の空で撮影した5コマを比較明合成した画像です。ご覧のようにほぼ同じ場所でたくさんの「ひっかき傷?」が写っています。写っている高度は5°~10°の間といった感じです。

 ここ最近、SNS上で「日没後の北西の空と日出前の北東の空に、流れ星のような光跡が同じ場所でたくさん写っている」という書き込みが話題になっていますが、それはスターリンク衛星のフレアによるものだろう…ということが言われています。

 詳しいメカニズムはよく分かりませんが、軌道上のスターリンク衛星の太陽電池パネルは「日没後の北西の空」と「日出前の北東の空」の特定の位置でフレアを起こす現象があるようです。

 上記5コマの撮影時間は128秒ですが、その間に少なくとも10個のフレアが写っています。月明かりがあるにも関わらず…です。これはいかがなものでしょう?

 現在軌道上にあるスターリンク衛星は約4600機で、最終的には2020年代中頃までに総数約12,000基の人工衛星を展開する計画なので、この「空のひっかき傷」が今後さらに増えることは確実です。

 もはや、銀河鉄道が見えた~と喜んでいる場合ではないような気がしますが、数年後の夜空はどのようになっているのでしょう。気軽にスターウオッチングを楽しめる夜空であってほしいですよね。