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2024年見たい天体現象「月と惑星の接近(1月~4月編)」

2023年12月01日 | 「見たい天体現象」
2024年見たい天体現象の第3弾は「月と惑星の接近」です。

 来年の「月と惑星の接近」をリストアップしたところ、見たいイベントが多かったので、
今年は「1月~4月編」「5月~8月編」「9月~12月編」の3回に分けてお送りしま~す。

 ではさっそく始めましょう! ヒアウイゴ~

1月9日「有明の月と水星、金星、アンタレスの競演」

 2024年の水星は東方最大離角が3回、西方最大離角が4回あるが、観望に適しているのは、1月初め(朝).春分の頃(夕).7月半ば(夕).9月初め(朝).12月末(朝)の5回と少ない。その最初の観望好機に有明の月、金星、アンタレスと近づくにぎやかな競演が見られる。月と水星の離角は13°なので接近と言えるほどではないがこの豪華な競演は見ておきたいイベントだ。→撮影記録 photo


1月10日「新月前日の月と水星、火星の接近」

 1月10日は新月前日の月と水星、火星が薄明の空でトライアングルを描く。新月前日だが輝面比が0.04あるので見つけるのは思ったほど難しくない。水星もマイナス等級なので問題ないが火星を眼視で見つけるのはほぼムリだろう。双眼鏡または撮影画像で検出できればラッキーと言ったところだ。2024年の火星は2025年1月の小接近(-1.4等)に向けて明るくなっていくのでその変化を楽しみたい。
→撮影記録 photo photo


1月14日「四日月と土星の接近」

 夕空の低い位置に見えている土星は徐々に高度を下げていき、3月1日の合を境に明け方の東の空で見えるようになる。夕方見える月と土星の接近は2月11日にもあるが、1月14日は薄明終了後の暗い空で見ることができるので四日月の地球照と土星が並んだ状態で撮影できるという意味では千載一遇のチャンスだ。→撮影記録 photo


2月8日「有明の月と金星、火星の接近」

 一見すると1月10日のトライアングルのデジャブだが、よく見ると頂点にあるのが水星ではなく金星であることに気付く。1月10日と同じ画角・露出で撮影すると水星と金星の明るさの違いが分かって面白い写真になるだろう。月の輝面比は0.06なので1月10日とそれほど変わらないが2月8日は新月前日ではなく2日前の月である。→撮影記録 曇りphoto 翌日撮影した金星・火星photo


2月9日「新月前日の月と水星の接近」

 月と水星の離角は4°(満月8個分、腕を伸ばしてサムアップした親指2本分)なのでなかなかの接近だが、この日の月は「2024年新月前日の月・撮影条件良い順ランキング」の第13位(ワースト1)なので撮影することはほぼムリだろう。なので撮影に成功した人はもれなく自己満足という悦に浸れるイベントではある。→撮影記録 確認できず photo photo


2月11日「二日月と土星の接近」

 夕空で見る機会としてはいよいよラストとなる土星が薄明中の空で二日月と接近する。月の輝面比は0.03だが薄明中なので数値以上に細く感じる。離角4°は接近距離としても絶妙なので星景写真としてはフォトジェニックな写真を撮影することができるだろう。土星は光度が1.0等なので派手さはないが薄明の空で並ぶ月と土星の接近は見ておきたいイベントだ。→撮影記録 photo photo


2月12日「三日月と海王星の接近」

 こちらは眼視で楽しむことはできないイベントだが、撮影することが難しい惑星・海王星を写真に収めると言う意味では大チャンスなのでぜひカメラを向けてみたいイベントだ。海王星の光度は7.9等だがデジカメ望遠レンズでも十分写る明るさである。離角は約50′(満月1.5個分)で近くには目印となるうお座の恒星もある。今後の会合を調べると三日月と海王星の接近は2050年4月23日まで見ることができない。しかもその時の離角は3°34′もあるので今回の接近は超レアな現象といえるだろう。
→撮影記録 photo


3月8日「有明の月と金星、火星の接近」

 図を見て分かるように月と金星・火星はかなり離れており、月と火星の離角が7°、金星との離角は13°もあるので接近とは言い難いイベントだが、高度が高くなって見やすくなった火星と低空で輝く金星のスリーショットを楽しみたい。光度1.2等級の火星はまだ小さいが低層の大気を通して見えるその姿は赤さを増してより火星らしく見えるだろう。その色も楽しみたい。


3月9日「新月前日の月と金星の接近」

 月と惑星の接近は数あれどやはり金星と月の接近は別格である。この日の離角は約4°、月が昇ってきたときにはすでに市民薄明になっているので輝面比0.04の月を探すのは容易ではない。金星のほぼ真下にあるので金星を目印にして月の出を待ちたいところだ。新月前日だが輝面比は0.04なので日出時刻までは眼視で見ることができるだろう。


3月11日「月齢1.0の月と水星の接近」

 3月11日の月齢1.0は「2024年新月の翌日に見える細い月ランキング」の第4位、「新月翌日の月・撮影条件良い順」では第2位にランキングされている2024年では大注目の月である。その月が西の夕空で高度を上げてきた水星(3月25日が東方最大離角)と接近する。この時の水星の光度は-1.3等もあるので月齢1.0を探す上での絶好の目印となる。晴れスター的には今年イチオシの見逃せないイベントである。
→撮影記録 photo photo

3月12日「究極に細い三日月と水星、木星の競演」

 水星との離角が15°で木星とは23°も離れているのでやや間延びした感はあるが、三日月としては究極に細い月(輝面比0.06)が水星と木星の間に位置する様子はフォトジェニックでこちらも見逃せないイベントである。


3月14日「五日月と天王星の接近」

 2022年の皆既月食中の天王星食が記憶に新しいので月と天王星の離角が3°もある今回の接近は有り難みを感じないイベントではあるが、天王星を見る機会として五日月のそばで輝く天王星をぜひ眺めてみたい。


4月6日「有明の月と火星、土星の接近」

 4月6日は東の空に回ってきた土星と火星、二十八夜月の接近が見られる。月と火星の離角は6°(サムアップ親指3本分)、月と土星の離角が9°(サムアップ親指4本分)とやや離れているが6日と7日の二日連続で見られる土星、火星との競演を楽しみたい。高度が低いので望遠鏡で土星・火星を見るのは難しいが、見ることができれば土星は細くなった環が、火星は輝面比0.95のやや欠けた形で南半球を地球に向けている様子が確認できる。


4月7日「新月2日前の月と火星、土星の競演」

 月が昇ってきたときには薄明が進んでいるので眼視で火星を見ることは難しい。カメラでは捉えることができるので細月と火星、土星の競演をぜひ写真に収めたいところだ。4時40分を過ぎると金星も昇ってくるので条件が良ければ金星-月-土星のスリーショットを撮影することができるだろう。


4月8日「新月前日の月と金星の接近」

 こちらはかなりチャレンジングなイベントである。この日の月は「2024年細い有明の月ランキング」の第3位(輝面比1.25%)で「撮影条件ランキング」が第11位なので眼視での観望は不可だが金星の位置を目印にするとおよその月の位置が分かる。画像処理をすれば輝面比0.01の月と金星は抽出できるので天気が良ければチャレンジしたいイベントである。


4月9日 番外編 「新月(月齢0.64)」

 こちらは月と惑星の接近ではないが番外編として見ていただきたい。4月9日は新月であるが日没時の月高度が6.5°で、日没30分後でも地平線に沈むことなく高度は1°である。これまでの経験で月齢1前後の月は日没30分後にカメラが捉えているので新月ではあるがひょっとしたらという感がある。もっとも輝面比が0.6%なので月の輝いている部分をカメラが捉える可能性は限りなく少ないが、月がそこに存在していることは確かなのでぜひチャレンジしたいイベントだ。


4月10日「二日月と木星、天王星、12Pポン・ブルックス彗星の接近」

 こちらは2024年の注目イベントのひとつだ。肉眼彗星になると予報されている12P/ポン・ブルックス彗星が月齢1.7の二日月と木星の間に入る。薄明が終了して空が暗くなった時の彗星高度が4°もあるので条件良く見られると期待したいところだが、12Pの位置が太陽をはさんだムコウガワなので残念ながら尾が長く見えることはない。それでも月と惑星の接近と肉眼彗星のコラボは超レアな現象なので大いに期待したい。→撮影記録 photo photo


4月11日「三日月とプレアデス星団、木星、12Pポン・ブルックス彗星の競演」

 4月11日は三日月とプレアデス星団が接近する。下方では木星と12Pが昨日に引き続いて接近しているのでこの豪華な天文ショーをぜひ楽しみたい。肉眼では見えないが木星の上では天王星も輝いているのでとても贅沢なイベントである。ぜひ春霞のないクリアな空で見たいところだ。

 *上記のシミュレーション画像はステラナビゲーター11で作成しています。