駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

じっくりと夏がやってきた

2015年07月22日 | 診療

                      

 冬はきっぱりと来る。夏はじっくりと顔を出すのだろうか。何と言っても青空と日射しに夏を感じる。残念ながら私にはもう夏休みはない。短いお盆休みがあるので、北陸方面に小旅行を考えているが、子供の時のようなワクワク感は望めない。

 近くの医院が通りに面した一等地に移転される。引っ越しのため二週間ばかり休院された。当然慢性疾患で通院される患者さんには投薬日数を配慮されたはずなのだが、ノー天気な患者さんがおられいつもの薬がなくなったから十日分出してくれと私の所にやって来る。お困りでしょう,いいですよとお出しするのだが、処方内容を見ると大きなお世話だがちょっと首を傾げるものもある。今は依存性や副作用の問題から、エチゾラム(デパス)という睡眠剤は出来るだけ出さないのが原則になっている。患者の強い希望でやむを得ず出されているのかも知れない。私も二十年前はたくさん出していた。抗不安作用もあり、切れ味が良いので好まれる患者さんが多かったのだ。今でも状況に依っては頓用あるいは短期間出すことはあるが、使う量は十分の一に減っている。

 睡眠剤と安定剤は濫用してはならないが、欠かせない薬で上手に使うことで慰藉を得られる患者さんも多い。直接の恩師ではないが、研修医の頃外来で補佐をさせて貰ったY先生は三分診療ながら患者さんの心を掴み、ああいう顔つきで手に汗を握っている患者にはこれが効くんだよとしばしば弱い安定剤を使われた。私も門前の小僧でいつの間にか、患者さんを見てそうした薬を処方するようになった。有効なことが多い。

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