駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

香山リカを読む

2009年11月06日 | 人物、女
 香山リカの本、しがみつかない生き方、を斜め読みしてみた。逐語を追って読まなくても概ね日頃考えている範囲内なので理解できたと思う。和代かリカかといわれればどちらかといえばリカを取りたい。問題発言かもしれないが、これは私の趣味だから仕方がない。勿論、どちらとお食事をしても話は弾むと思う。
 町医者をしていると、多種多様の病態とさまざまな人間に相対するので広く浅い知識と経験が必要とされる。30年もやっていると、それが習い性となり、何かを突き詰めたり、何かにしがみついたりする思考をしなくなる。
 勿論、しがみついて何かを成し遂げることは素晴らしく凄い事だと思うが、それは成し遂げる世界の出来事で、生きてゆく日常とはまた別の世界だ。
 香山リカのお勧めと逆のようで実は同じ趣向と考えられるのが、しがみつく生き方だ。これはしがみつかない生き方とは異なるようで、悩まない生き方という点では通底している。単純と云えば反発があるだろうが、具体的な一つの目標に邁進する生活態度は、悩みを排除しやすい生き方だと思う。
 ただ目標に到達できない自分や脇道に逸れる自分を卑下したりして、しがみつき損なうと悩みが出てくる。そういう人達がしがみつかない生き方をすると悩みから解放されるかといえば、今度はとらえどころのない不安定さにこれでよいのかと悩み始めるのではないかと思う。つまり、しがみつかない生き方はさほどの効果がないと予想する。門前の小僧が口幅ったい事を言えば、自力本願と他力本願はいずれも縁がない衆の願いは叶えない、あるいは悩みの解決軽減をもたらさないのではないかと思う。
 町医者は自らを客観視できる能力が悩みを解消軽減すると診ている。しかしではどうすればと云われると、匙を投げそうに難しく一般的な処方を書くことは私の手に余る。
コメント
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