駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

立場で変わる感覚

2020年05月18日 | 人生

               

 

 医師というのは比較的独立性の高い仕事のように思うが、多くの仕事と同じで一人では殆ど何も出来ない。無理に一人でやれば効率も落ちるし診療の質も落ちる。大小の違いはあっても九分九厘、組織で働いている。自由そうに見える開業医も数人から十数人のスタッフと働いている。開業医は医師一人が多いので、院長業も兼ねることが多い。

 私は経営的なことは苦手で家内と会計事務所に経理は任せていたが、人事、給与、働き方、診療方針などを考えねばならず院長という立場を忘れることはなかった。そのためスタッフとは親しく話をしても、同じ立ち位置になることはなかったように思う。それが院長を辞し勤務医になってから、壁が殆どなくなりごく普通に世間話をするようになった。振り返って、今更ながら院長業の大変さを感じ(自分が向いていなかっただけかも知れないが)、患者さんを診るだけの仕事は楽だと感じている。

 何だか看護婦や事務と距離が近くなったようで、若い刺激を受けて緊張が緩んで進む老化を防げそうな気もする。

コメント (2)
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