駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

連休明けにもたつく

2020年05月08日 | 小験

                

 

 昨日は高々五日ぶりなのに、診療のペースが乱れさほど多くない患者さんだったのだが、手間取ってしまった。電子カルテが変わって二ヶ月経つので、操作方法はほぼ完璧に憶えたのだが、指が以前の電子カルテの所に行ってしまう。僅か四日の内にネジが捲き戻ってしまったらしい。例えば処方のキイボードは指が憶えており、いつの間にか以前のF2キーを押してしまい、全く違う画面に飛んでしまう。そうした時、機械ではないので焦ったり腹が立ったりするので、余計に手間取ってしまう。

 これには老いも影響しており二十代なら数日、三十代なら十日で上手く切り替えることが出来ただろうと思う。個人差はあると思うが五十の声を聞くと数週間掛かり、七十過ぎれば数ヶ月経っても変化の対応に苦労するというのが厳しい現実と思う。なにせ指が憶えており、其処じゃないと思っても既に以前のキーを押してしまっている。何日かの休みを挟むと折角新調の上塗りが剥げてしまうらしい。

 そうした老化の他に、情動による乱れもある。人間は焦り緊張などの情動で動揺する動物なので、連休明けで患者さんが混み合うと予想し、早く診なければと焦ったのがいけなかった。

 白衣性高血圧と言って、医者の前で血圧を測定すると普段より高くなってしまう人がいる。これも焦りや緊張という情動で血圧が高くなってしまう現象で、珍しいものではなくかなりの割合で認められる。どうも人間は機械と違い仕事の遂行に焦り緊張怒りなどの精神的な要素が絡んでくるので厄介だ。

コメント
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