駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

本当に一割不足なのだろうか

2017年11月07日 | 診療

 

 どんなサービス業(医療はサービス業に分類される)でもそうだろうと思うが、困った人達(患者)は果てしない。図々しい人はそう多くはないのだが、そういう人達に使う神経はかなりのものだ。

 今年はインフルエンザワクチンが不足しており、受付は説明に追われて苦労しているようだ。テレビでは一割不足で、困っている医療機関は六割程度と報道されているが、薬の卸はあれは嘘です、少なくとも二割は不足していますと、例年の八割しか持ってこない言い訳をする。当院は一日十五人までの予約制なので、受付はお断りする説明に追われている。私は八十の年寄りで弱っているから打ってくれと粘る人、今じゃあ八十歳は超高齢じゃあないし大声で粘れる人が弱っているようには見えない。中には近くの内科医院に通院しているのに、しれっと予防注射はこちらでと紛れ込む人も居る。今はお薬手帳というものがあるので、どこに通院しているかわかるのだ。「あれ、**先生の所で打たないの」。「会社でこちらが良いと聞きました」。ほんとかなあ、それなら血圧の薬もこちらで、とは言わなかったが、後で受付に確かめると、ここに通院しているように言われましたと言う。確かに診察券を持っているから昔掛かかったことはあるようだ。

 薬屋としては作り過ぎて売れ残るのも困るのだろうが、どうも需要と供給のバランスが崩れるといろいろな歪が出てくる。

コメント (2)
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