駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

円い部屋の住人

2017年11月13日 | 世の中

        

 日本家屋にも円い部屋があると言うと驚ろかれるかもしれない。さほど珍しくはなく、時々お目にかかる。要するに四畳半の周りに汚れた古着やゴミが片付けられないまま置かれ、真ん中に丸く開けられたスペースに婆さんが寝ていたりするのだ。往診に行くようになってそういう世界があるのを知った。中には靴を脱がないで上がりたくなるお宅もある。多くは女手のない貧しい?所帯で、女性が居ても高齢で片付けができない状態なのだ。

 母子家庭と言っても母親が八十過ぎで独身の息子という組み合わせが多い。人に歴史ありというか家庭に歴史ありで、どうしたボタンのかけ間違いか嫁に来る人が見つからず、いつの間にか三十年というのではないかと推定する。

 気の良い息子のことが多く、母に優しく(優しすぎる?)五十過ぎて親離れ子離れができていないような印象を受ける。看護師たちは良い人みたいですがと、まあ何か女性としての感想もあるらしいが、言葉を濁す。どうも世の中は不条理?に満ちており、善人というだけでは人も金も集まらないのかもしれない。

 こういうのを貧乏くじと言っては、語弊があるが、たいてい兄弟姉妹が居るのだが、残った一人(男でも女でも)が親の面倒を見るパターンは多い。こうした息子さんには、生活力はもう一つかもしれないが本当に善い人が多い。

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