広辞苑の第七版が出る。我が家では辞書と言えば広辞苑で初版の時から置いてあった。母がとにかく本を読む人だったので、出版の経緯などを読んで感激して購入したと朧気ながら記憶する。縁もゆかりもないがとにかく新村出先生は偉い学者だと尊敬していた様子だった。いつも分からない時は広辞苑を引きなさいと言われた。子供にしては広辞苑を使ってきた方だろうと思う。今は第五版を使っているが、置いてあると言った方が正確で、この頃は分からないとキイを叩いてしまうことの方が多い。しかし第七版は買わねばなるまい。ゲームばかりやっている孫どもにも一応世の中にはこういう本があると送ってやろうかと思う。
新村出先生を、広辞苑を愛用してきたから先生と呼ばせて頂く、母の影響で秘かに尊敬していたのだが、数年前、高峯秀子のファンだったと知って象牙の塔の碩学がと嬉しくなってしまった。母が先生のそうした側面を知っていたかどうか知らないが、辞書はこれに限ると選んだ母も凄いと思う。おかげで幾許か広辞苑の恩恵に預かることが出来た。