ご趣味はと実際に聞かれることはさほど多くはないが、最近はブログを書くのも趣味(実際には習慣化)のように思えてきたので、ブログ書きを入れれば十指に余る。しかし魚釣りには今年は一度も行ってないし、国外旅行も連休に休日当直が当たり行けなかった。囲碁将棋も観戦するばかりで駒や碁石を手に取ることはなくなった。遺憾ながら趣味の原動力の好奇心と言うか興味心というか、端的に言えば欲が減ってきたように感ずる。
孔子は格好よく七十にして心の欲する所に従って矩(のり)を踰(こ)えずなどとおっしゃったようだが、どうもそれは単に高齢化して心身が弱り欲が減ったということではないかと思ったりする。論語読みには碌に勉強もせず、何を筋違いなことをと言われそうだが、その辺りは確かもう七十を過ぎて久しいはずの呉智英氏にお聞きしたい。
欲というのは一歩間違えば犯罪の大元になる。煩悩の源泉のようであまり良いものではないように言われることも多いのだが、実はこれがないと生きてゆけない。いわば生の原動力で、問題はそれをどう制御昇華できるかにその人の力や質が問われるものだろう。
おそらく欲の中では食欲が最後まで残るように観察する。人生最後に何が食べたいという企画があった。ビフテキから鮭茶漬けまでいろいろ所望されているが、残念ながらお戯れの叶わぬ夢と現場からはご報告しなければならない。しかし絶無かといえばそうでもなく、どのような功徳を積まれたか昨夜は好きな鰻を一切れ口にしましたと大往生の爺様も居られた。
しばらく前、品性や品格を説くベストセラーがあった。説くのは口幅ったい気もしたのだが、品は欲を生かして乗りこなす能力のことのようにも思う。欲は誰にもある何が悪いと自分の身勝手を棚に上げる人にはちょっとチーガーウーダーローと申し上げたい。
正直、個人差はあるだろうが、七十に手が届くと欲は大切に感ずる、若い時と違って持て余すのではなく残ってほしいものになる。