駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

景気が良いという実感はない

2017年06月30日 | 小考

       

 今朝は梅雨らしくシトシト雨が降っている。温度湿度とも高そうで、気分はあまりよろしくないのだが、記憶にある天候なのでさほど不快ではない。

 今年になって患者数が数%減っている。月によって差はあるので揺らぎかと思っていたがそうでもなく、明らかに減っているようだ。社会全体で受診抑制傾向があるかどうかはっきりしないが、増加していないことは確かだと思う。個々の医療費が高騰して、全体の医療費は増加していても、鼻かぜで医者に掛かるのは減っているようだ。唯、減ったといっても、高々1%程度だろう。どんなにアベノミクスは順調と声高に言われても庶民に景気が良い収入が増えたという実感はない。これは庶民を診ている私が言うのだから間違いない。尤も、特区や大都市圏では例外があるかもしれない。

 減少した原因は明らかで500mばかりの所に新規参入の内科医院が出来た影響と思う。半年ばかりは全く影響を感じなかったが、一年を過ぎた頃から多少影響を感じるようになった。だから昔は医師会で新規参入をブロックするようなことがあったのだと思う。近隣の患者さんには便利だし選択肢が増えて良いことだろう。私は大歓迎ではないが、仲良くやってゆくしかないと思っている。近くの総合病院に五年ばかりいた若い先生で顔は知っており、機動力のある人(どんどん往診する)なので、大変な往診の患者さんを二人ばかりお願いした。二つ返事で気持ちよく引き受けてくれた。

 税理士にはもう少し影響が出てくるかもしれませんと言われているが、縮小を考えているくらいなので、困りはしない。問題があるとすれば職員数だろう。給与を減らすのは難しいので、退職者が出たら補充しない体制の変更を考えなければならないかもしれない。人間は一度余裕のある体制に慣れると負担が増えるのを嫌うから、問題が出るかもしれない。患者さんにお忙しいですかと聞いて忙しいと言う人の殆どが、人が減って大変と説明する。つまり退職者の補充なしで同じ仕事量をこなさなければならないので忙しいというわけだ。

 こうして景気が良いと言われても実感はなく先行きは不透明なので、なんとなく守りの体制というか、不具合は他人他国のせいという雰囲気が出てくるのかもしれない。内向き志向、日本が一番良いとの感覚には多少の危惧を覚える。どの国にも良いところ悪いところはある。日本が良い国だというのに異論はないが、こうした方がそれはちょっと違うのではと言うと非国民と袋叩き、合えば神様扱いには違和感を覚える。とにかく比較する前に外国を旅し可能なら住んでみると良いと思う。可愛い子には旅をさせろと言う。できれば言葉をある程度理解し話せるようになると良い。言葉ができれば異国への理解は確実に深まる。そう書きながら自分のドイツ語会話は一向に進んでいない。

コメント
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