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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

本物の汗を掻く

2017年06月06日 | 人生

  

 高血圧症で十年ばかり通院しているM氏、大柄でごつい人で警察関係あるいはそのご厄介になる筋の人と言われても全く違和感はないのだが、意外に?銀行にお勤めなのだ。支店長とやりあったから今日は血圧高いでしょうとかいうことが時々あり、やはり向いていないのではと思っていた。概ね血圧は安定しており、昼間のお仕事なので六十日処方している。先日受診されたのだが、日に焼けて体が締まった感じがした。80kgの体重が75kgと5kgも減っている。あれ、どうされましたと聞くと転職しましたと言われる。肉体労働ですよ、今までの冷や汗脂汗じゃない、ほんとの汗をかいていますよと破顔一笑された。六十歳だから、定年としてもまだ数年は働けるはずだが、心機一転、身体を使う仕事に変わられたのだ。自分の意見をはっきり言われる方なので、あんまり合わない仕事だったのかもしれない。

 医者もほとんど汗を掻かない仕事だ。税務署では優等生なので脂汗を掻くことはないが、診療では時々冷や汗を描いている。それに、世の中には妙な人もいらっしゃるので、稀には嫌になる捨て台詞を吐いていかれる患者さんも居て、汗は出ないけれども胆汁が出るのか、口が苦くなる。

 M氏にどにんな肉体労働とまでは聞かなかったが、破顔一笑を見て、身体を動かして掻く汗は心身の老廃物を流してくれるのかもしれないと思った。

コメント
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