駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

視点の異なる複数の評論家を

2017年06月04日 | 町医者診言

       

 沖縄は梅雨入りしたようだが、本州が梅雨入りするには未だ暫く間があるようで,今朝は風もなく穏やかな好天になりそうだ。

 世の中には何百もの仕組み何千もの職種がある。それに加え地域や人種といった違いもあり、とても一人の人間が全てを理解することはできない。そのために多くの人が関係したり、興味を持つ分野には評論家が居る。昔は医事評論家という人が居たがこの頃は医師会の力が弱くなった?せいか、殆ど見かけなくなった。本当は医療が進歩して複雑になった今の方が医事評論が必要とされていると思う。政党や業界の思惑利害から自由な評論解説があった方が良い。そうした存在がないと、政党やメーカーの利害に配慮した解説や、目を引けばいいと極論や出鱈目な意見がマスメディアに流れ、知識のない人は惑わされてしまう。

 ついこのあいだも高血圧や脂質異常症の薬が具体名を挙げて飲まない方が良い薬として週刊誌に書かれていた。数は少ないが、患者さんの中にはコピーを持ってきてこれは大丈夫かと聞く人も居た。週刊誌に書かれていることにも数%の妥当性はあるので、頭ごなしに否定はせず納得されるように説明した。

 世の中には100%確かなことは、人は誰でもいずれは死ぬことぐらいで、あとは大体五分五分せいぜい七分三分程度だろう。但し、科学的な物事になるとうんと確度が上がり物理現象などは100%に近いものが多い。医学は勿論科学なのだが、相手が複雑な生身の人間のため、概ね95%程度の確かさと言った所だろう。しかも個別になると当たっている確率は下がってしまうし、病気や治療によっては不確かな部分も出てくる。そこにつけ込んでというと表現は悪いが、物凄い数と額の健康産業が存在する所以だ。

 そうしたわけで医学の分野には限らないのだが、政党や利害から出来るだけ自由な解説が必要とされる。現実には中立の解説者は少ないので出来るだけ公平に複数の解説者の情報を参考にするのが良いと思われる。タレントや隣のおばさんの意見には怪しげなものも多いのだが中々手強い、時々当たっていたりして、私の手柄?を取られてしまうこともある。

コメント
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