冷たい雨降る深夜に、二年ばかり寝たきりだったK婆さんが亡くなった。享年91歳。寝たきりと言っても賑やかな人で小さな体から大きな声を出して自分の倍もある娘を右往左往させていたのだが、この十日ほどは火が消えたように静かになり、食も進まなくなっていた。
久しぶりに午前二時過ぎの街を走ったのだが、真っ暗というわけではなく数百メートルごとにコンビニの光が道に溢れ、牛丼もMとYが開いていた。こんな深夜にと思ったが、Yの方には二三人の客が居た。コンビニも数台車が止まっている店舗があった。
一台も車の通らない赤信号で止まっていると一体何者と聞きたくなる自転車の男性が交差点をふらふらと渡って行った。まともなお仕事なのだろうが、ひょっとして泥さんかなと申し訳ない想像をした。
多少お客が居るとしても軒並み二十四時間営業をする必要があるのだろうかと、深夜に働く人のご苦労を思いやったことだ。