この二三日は冬の寒さで朝は手袋が欲しくなる。山から小僧が飛んできたらしい。市街地に住んでいても四季の移ろいは感じられるが、身に染みる程ではない。人間は明かりや冷暖房を手に入れて、人力を凌駕する大いなる自然の力を忘れがちだが、人知も実は自然の一部で人間は自然に抱かれて生きていることを、身にしむ寒さは思い出させる。
何ともやりきれない今回の新生児取り違えの報道から連想したことなのだが、微妙な問題で一般的な事実として指摘したいことは氏より育ちはちょっと違うのではないかということだ。頑固おやじにに育てられたから頑固というよりは、世話好きの母親に育てられたから世話好きというよりは頑固遺伝子を持った父親、世話好き遺伝子を持った母親からその遺伝子を貰ったからそういう気質があるという要素の方が大きいように思う。実はこれにはかなり科学的な裏付けがあるのだが、社会の知恵として前面に出さない方が良いのかもしれない。努力しても報われないというのでは社会構造にひびが入りかねない。暗黙の了解がよいようだ。人間はそうして間違いなく自然の一部で、自然と折り合いをつけて生き延びていく知恵を編み出したのも事実だからだ。