駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

マニュアル間に合っています

2013年03月31日 | 診療

         

  この十年ほどの間に病診連携(病院と診療所とで共同診療)が盛んになった。当地でも総合病院と医院との間で患者さんの行き来が頻繁にある。連携パスと称して各疾患ごとに患者さんをやりとりするためのマニュアルに従った定式の紹介状が作成されている。そうした事務仕事を医療クラークに指示できればいいのだが、殆どの診療所には医療クラークは居ない。兼業院長が書き込むことになる。

 病院の医師はご自分の専門領域の疾患多くても二、三のマニュアルに精通すれば良いのだが、間口の広い総合診療の開業医は少なくとも七、八疾患、多ければ十を超える疾患の連携マニュアルを使いこなさねばならない。これはなかなかの仕事量で、建前は賛成なのだが本音では大変との声が上がり、病院毎に違っていた形式は統一してもらい、記入量が減るように簡素化してもらった。

 というのは何でもそうだが、最初は力が入り、学問的にも遺漏のないマニュアルをと立派なもの作成してしまうために、紹介状が詳細で複雑な形式になっていたからだ。

 各病院統一の簡素化された患者紹介マニュアルでも、正直に言えばまだ負担だ。毎月定期的に通ってくる慢性疾患の患者さんは三、四分で診療できる。しかし当然ではあるが定期報告紹介状を書くと七分八分そして十分と時間が掛かってしまう。午後であればさほど問題ないのだが、午前中だとこれが他の患者さんの診療時間を圧迫してしまうのだ。

 そうしたわけで、心苦しいが走り書きの紹介状を発行している。

 * どうすれば良いかというと書き写す作業をなくせばよいのだ。どこでもドアでないがどこでもカルテにして、全国どこでも共通のカルテが利用できれば一番なのだが、もう少しでまだできていない。

 

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