以前、自分の中の父由来遺伝と母由来遺伝とが絡んで困ると書いたことがあった。最近、ますますそれを実感する。似た者夫婦の子供の方にはこうした悩みと言うか困り事はないのかもしれないが、水と油夫婦だった両親の子供である私は、なかなかマヨラーとはいかないのだ。力一杯振れば中々の味にはなるのだが、オイルアンドビネガーは放置しておくと二層に分かれてしまう。
そうした遺伝的相克に加え、過ぎ越し方も左翼が重いのに右旋回をして不安定なのだ。若い時は純情で正義感に溢れ、学生運動の最末席に坐していた時もあった。今も心情的には革新的なような気がするが、妻子を持ち思わぬ高収入に恵まれると身体的には保守的な兆候が出てきてしまう。
若い時の思いなど忘れてしまう人や内に潜む相克など気付かない人も居るだろうが、前期高齢者になっても私のようにキメラ的存在の己を噛みしめる人も多かろう。
年を取ると億劫怠惰になり、身体の節々が痛くなる。まあそれはやむを得ないとしても、心のまとまりが付きにくいのは困る。それを楽しめる心境になりたい。