駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

布川事件を身近に

2011年05月26日 | 町医者診言

 布川事件に再審で無罪の判決との報道がある。疑われた二人(桜井さんと杉山さん)は、自白(強要された)と目撃証言(不確かな記憶と意図的選別)によって無期懲役の判決を受け、29年の獄中生活と世間の白い目という耐え難い苦しみを受けた。漸く44年目に再審が認められ無罪の判決を得たというのが概要である。事件を詳しく追ってきたわけではないが、要点を読めば冤罪の可能性が99%以上なのは明らかだ。

 新聞では一応、一面トップ扱いが多かったようだが、すぐ消えてしまいそうで、マスコミの取り扱いは不十分だと思う。検察のやって来たことやっていることに対する追求がまだ甘い。これは原発事故と同根で、自分の身にも降りかかる災難だという意識が足りないから起きてくることなのをもっともっと強く押し出す必要がある。正義よりも明日は我が身の方が、多くの人は切実に感じるものだ。

 法律は視野狭窄身内論理の検察や利潤優先に目が眩んだ東京電力幹部を守るためだけにあるのではない。法的手続きが、身を守る手立てのない市民よりも権力を持つ官と財力を持つ大企業を守る楯になっている。唯一、市民の側のはずのマスコミが、強きを助け弱きを挫いていては、平等だから鉄面皮という実質偏重に押し切られてしまう。権力と財力のバイアスを軽減するように動くのがジャーナリストの本能だと思っていたのだが、違うかK君。

コメント
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