今朝は暖かいのだが、昨日は涼しいを通り越して寒いくらいだった。おまけに悪天候で患者さんの出足が悪く、待合室も閑散として余計に寒々しく感じた。この時期に患者さんに身体を冷やさないようになどと注意した記憶はないような気がする。往診に行けば婆さんが怪しげなどてら様なものを羽織って寝床に坐り、なんだか変な物を引っ張り出してと面目なさそうにしていた。
確か、つい一週間前には座っているだけで汗が滲み、今日はやけに暑いなと思っている内に、一転俄にかき曇り夕立が来て雷が鳴っていたはずだが、一体どうなっているのだろう。
認知症の簡易試験で今日は何月何日ですかなどと聞く、どうもはっきりした答えが返ってこないと今の季節はいつですかと、ちょっと易しくして聞き直す。「寒いから冬かなあ」。と答えられても、「暑いから夏だ」と答えられてもハズレとは言えない陽気だ。むしろ感覚は正常として点数を付けなければならないかもしれん。
夜、医師会の会議の前に蕎麦屋に寄ったのだが、今日は何にしますと聞かれ、ざる蕎麦でなくおかめうどんを注文してしまった。おかみさん妙な顔もせず、さっと出てきた。蕎麦屋の親父も前日の天気予報を睨んで、ちゃんとしこたま仕込んでいたらしい?。
帰りの電車は超過勤務か、くたびれたサラリーマンウーマンとおぼしき乗客が一杯で、帰路を急ぐ感じが溢れていた。素足も数本見かけたが、スーツ姿が多く三月四月の装いが主流であった。
医院ではこの奇妙な陽気のせいか五月末にしては風邪で受診される患者さんが多い。なんだか治りが悪く、二度も三度も受診される方がおられ、陽気が悪いからねえと、慰めとも言い訳ともつかぬことを、つぶやいている。