駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

秘かな楽しみ

2011年02月12日 | 診療

 賭け事はやらないが賭け事の面白さはわかる。同じ数字が連続するのをゾロ目という。例えば丁半博打でサイコロの目が22とか55とか並んだり、競馬で同枠の二頭が一位二位に入った場合など、ゾロ目が出たとかゾロ目が来たとか言う。競馬のゾロ目は確率が低く配当が高めなので、それを当てる快感のようなものがあるらしくゾロ目狙いというか、ゾロ目愛好家がいるらしい。

 何を馬鹿なことを考えているとお叱りもありそうだが、診察室にもゾロ目がある。血圧を測定すると収縮期、拡張期と脈拍数の三つの数字が出る。最初の二つが同じことはあり得ないのだが、最初と最後、あるいは後ろ二つは同じ数字のことがある。最初と最後が同じ時は、急病や重病が多く、余計なことを考えている余裕はないのだが。あと二つが同じことは健康診断や高血圧症の人で時々ある。130/72/72など、今日の血圧は上等ですねえと言いながら、ゾロ目が出たと思ったりしている。128/68/69か、惜しかったなどとまさか医者が思っているなどとはご存じあるまい。

 今朝も珍しいことがあった。八十五歳の患者さんが婆爺婆と三人続いたのだ。これは珍しいと一人で面白がっていた。滅多にないことだが同姓同名の患者さんが同じ時間帯に二人来たりすることがある。残念ながら連続と言うことはまだ一度もないが、地方なので当地特有の名字があるせいか意外に多く、十二、三組ある。男性は三組で、女性の方が名前のバライエティが少ないせいか多く十組ほどおられる。尤も同姓同名は間違えると大変なので、受付でリストを作って間違えないように注意して貰っている。

 どうせゾロ目なら年齢もゾロ目で七十七歳とか八十八歳の患者さんの連続がないだろうかと思っている。年内ならあるかも知れない。その三連ちゃんとなると惑星直列並に難しそうで、リタイアするまでにあるかどうか。実は診察番号千番と一万番の方には切りがよいので、来院記念にスプーンセットを差し上げた。十万番は絶対に現役中に実現できないので、三連ちゃんゾロ目用に賞品を用意しておくのも面白そうだ。患者さんが眼を白黒させるだろう。尤もゾロ目狙いの患者が来ても困るが。

コメント (4)
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