駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

そば屋の風景

2011年02月09日 | 旨い物

 十年ほど前から蕎麦屋に行く回数が増えた。週に一回は寄っている。元々は麺喰いでなく米飯党だったのだが、四十を過ぎた頃からちょくちょく蕎麦屋に行くようになり、最近は毎週のように行くので、T店などは暫く行かないと「この頃お出でになりませんねえ」。とか「久しぶりですねえ」。などと注文を取りに来るお姉さんに話しかけられるようになった。実はよく行く蕎麦屋が三軒(T,H,K)あって、別口に廻っていたのだ。

 なぜ蕎麦屋によく行くようになったか、それは蕎麦やうどんがが旨いと思うようになったからなのだが、あるいは旨い蕎麦屋を見付けたからと云う方が正確かもしれない。それと麺類は腹にもたれないので、食後動きやすく中高年には有り難いのだ。ラーメンはさほど好きでなく、これからも好きになりそうにないので旨い店を探す努力を怠っている。スパゲッティは旨いと思うこともあり、良い店はないかなと物色中だ。

 外食では、味だけではなく店の佇まいと客あしらいの感じ良さも店を選ぶ大切な要素だ。行きつけの蕎麦屋は三軒ともかなり広く、客の間隔がある程度あって立て込まず、座敷と椅子席があり、非常に落ち着く。二軒では飲む客も多く、酒の銘柄が揃えてあり肴も豊富だ。私自身は蕎麦屋で飲むことはないが、蕎麦屋の飲み客は酒を嗜む感じで酔っぱらいが居ないので嫌な思いをせず、むしろほろ酔いで気持ちよさそうに話している人達が居るのを心地よく感じる。

 一番新しく十年ほど前に出来たK、これはHの一番弟子が出した店なのだが、ここは店に中庭があり、中々洒落ている。中庭越しに恋人か若い夫婦か楽しそうに話ながら、揚げ出しの天ぷらなぞを食べているのを見ていると声が聞こえないので、映画のシーンのようで待っている間の手持ちぶさたが解消される。こうした佇まいは蕎麦屋のもので、うどん圏で育った私には馴染みがなかったのだが、今は贔屓にするようになり、こうした店がなくならないで欲しいと思うようになった。

コメント
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