駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

秘かな喜び

2010年06月18日 | 診療
 一昨日、講演会で古巣の総合病院外科部長M氏に会った。ニコニコしながら先日の症例ありがとうございましたと、お礼を言われた。
 なんだか嬉しそうなので、「ああ、あのお婆さんね、どうでしたか」。と水を向けると、ちょうど良い手術適応の症例で郭清にも力が入り、腕の振るいがいがあったということだった。「この頃、胃癌は早期か進行癌が多くて、手術しがいのあるのが少ないんですよ」。と笑っていた。Ⅱ期で五年生存の可能性も高いとのことで、もう少し悪いのではないかと思いながら紹介した私も嬉しくなった。
 外科医魂はやはり力を尽くした手術をするところにあるようで、腕の振るえる症例を紹介できて良かった。
 症例はお婆さんと言っても七十代前半で、数日前から腹部不快があると受診した患者さんだ。どうも訴えに脚色がありそうだと聞き質すと、本当は二ヶ月くらい前から調子が悪く2kgばかり痩せたのがわかった。これは何かあると翌日胃の透視をして、胃の前庭部に隆起を伴う悪性を疑わせる潰瘍を見つけ早速紹介したのだった。内科医としても最短距離で役割を果たせたことに加え、結果も良さそうだとなれば、ビールの味も旨くなろうというものだ。
 (設定は変えてあります。)
 
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付ける薬を捜す

2010年06月18日 | 政治経済
 切実感は距離の二乗?に反比例するという法則を、立ち止まって物を考える大人であれば、誰しも感じているだろう。
 それは端的に、例えば南米で航空機着陸に失敗、死者百数十人の大惨事の報道に続く、邦人は含まれていない模様ですという安堵の言葉や、血圧の薬はいくつも飲まない方がよいという隣のおばさんのアドバイスで勝手に薬を減らしてしまう患者さんの行動に見て取れる。
 だから、けしからんと言いたいわけではなく、人間の心理はそういう風に反応することを勘案する思慮を持ちたいと思う。
 民主党が支持率の高いうちに選挙をやろうとするのはけしからんという報道があるが、けしかるもけしからんもそれが権力というものなのだ。だからこそ5-10年で権力の交代が可能な構造を仕組んだのではないか。それがようやく端緒についた千載一遇の機会を潰すのでなく生かすようにしたい。
 権力交代によって改善した事、今だしの事を正確客観的に値踏みできるような報道をするのがジャーナリストの仕事だと思ったが、旧態依然の安手のメロディを流すジャーナリストが多く、この人達に付ける薬が欲しいと感じる。
 思っていても実現は難しい。文科省は中学からメディアリテラシーを正規の授業として取り入れるべきた。この薬は時間は掛かるがやがて効いてくる。
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