駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

「いまも君を想う」を読む

2010年06月04日 | 
 川本三郎さんが二年ほど前、奥様を亡くされた。先頃、追想記が出た。私生活に立ち入った記録を読むかどうか迷ったが、長年の町歩きの愛読者なので、読むことにした。
 午前中に届いたので、包みを開けると可憐な小さな本だ。月初めは患者さんが少ないので、診察の合間にぱらぱらと目を通す。中程を数ページ読んで不覚にも胸が熱くなった。「おはようございます」。と患者さんが入ってきても声がかすれて返事が上手く出来ない。ちょっと、咳払いをしてごまかす。
 家に帰ってゆっくり読んだ。自分が川本三郎ファンだったのが、どうしてかが分かったような気がした。お二人にお会いしたことはないのだけれど、隣人だったような気がした。
 勝手に川本さんの奥さんは小太りの手際の良い人のように想像していたのだが、華奢で可憐な人だったのだ(手際は良かったのだろう)。
 もうあの洒脱軽妙で少年の目をした町歩きは読めないだろう。それでもそれに変わって、これから出る本を読み続けて行きたい。
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事実は何処に

2010年06月04日 | 人物、男
 鳩山首相が辞めた。一昨日の新聞では続投に意欲とあったし、親指を立てていたのだから急転直下の心変わりか?。宇宙人は理解しがたい。果たしてこれが身を捨てて浮かぶ瀬になるだろうか。
 辞任までの経緯はもう一つはっきりしないし、その理由も釈然としない。小沢幹事長を道連れにしたことにどのような深謀遠慮が働いているのだろうか、単純な差し違えのようにも受け取れる。
 鳩山さんは沖縄問題と政治と金の問題の二つを、引責辞任の理由に挙げているが、ここまで内閣支持率が下がったのは、沖縄米軍基地普天間移設問題での言行不一致の不手際が主因であって、政治と金の問題はさほどではないと思う。「政治と金」はマスコミと野党が民主党けしからんというムードを醸し出すために掲げるお題目で、個々の事実を吟味すれば、十分に反撃することが可能だった。
 ムードに流される大衆に抗しきれず、全面撤退の形を取ることが得策と考えたとしても、既得権擁護の勢力に屈した形になった。尤も、叩く相手がいなくなってそれしか能がない既得権擁護のマスコミや評論家は困っているようだが。
 鳩山首相が既得権擁護勢力によって作られた構図を見破れなかったとも思えない。それがどうしたと中央突破を図る胆力と知謀に欠けていたように見える。残念だが、リーダーの器ではなかった。単に小沢幹事長と差し違えたとしたら政治家としての資質にも疑問符が付く。そうとすれば、陰ながら支持した私は誠に遺憾と申し上げる他はない。
 政治が生存競争のせめぎ合いの側面を持つ以上、どのような形であれ力がなければ何も実現できない。
 次期民主党首相には作られた構図に反撃して欲しい。張り子の虎を恐れることはない。
 
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