川本三郎さんが二年ほど前、奥様を亡くされた。先頃、追想記が出た。私生活に立ち入った記録を読むかどうか迷ったが、長年の町歩きの愛読者なので、読むことにした。
午前中に届いたので、包みを開けると可憐な小さな本だ。月初めは患者さんが少ないので、診察の合間にぱらぱらと目を通す。中程を数ページ読んで不覚にも胸が熱くなった。「おはようございます」。と患者さんが入ってきても声がかすれて返事が上手く出来ない。ちょっと、咳払いをしてごまかす。
家に帰ってゆっくり読んだ。自分が川本三郎ファンだったのが、どうしてかが分かったような気がした。お二人にお会いしたことはないのだけれど、隣人だったような気がした。
勝手に川本さんの奥さんは小太りの手際の良い人のように想像していたのだが、華奢で可憐な人だったのだ(手際は良かったのだろう)。
もうあの洒脱軽妙で少年の目をした町歩きは読めないだろう。それでもそれに変わって、これから出る本を読み続けて行きたい。
午前中に届いたので、包みを開けると可憐な小さな本だ。月初めは患者さんが少ないので、診察の合間にぱらぱらと目を通す。中程を数ページ読んで不覚にも胸が熱くなった。「おはようございます」。と患者さんが入ってきても声がかすれて返事が上手く出来ない。ちょっと、咳払いをしてごまかす。
家に帰ってゆっくり読んだ。自分が川本三郎ファンだったのが、どうしてかが分かったような気がした。お二人にお会いしたことはないのだけれど、隣人だったような気がした。
勝手に川本さんの奥さんは小太りの手際の良い人のように想像していたのだが、華奢で可憐な人だったのだ(手際は良かったのだろう)。
もうあの洒脱軽妙で少年の目をした町歩きは読めないだろう。それでもそれに変わって、これから出る本を読み続けて行きたい。