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駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

難問の丸投げは問題

2009年10月07日 | 医療
 医師会肺疾患勉強会のあと、親しい医師達と談笑。
 口髭がトレードマークのA先生、
「新型インフルエンザワクチンは保健所でまとめて打ってくれないかな」。
「えっなんで」。
「百本二百本貰っても、うちじゃ打つ患者を選べないよ。うちは喘息の患者が多いんだ。あっちの患者には打ってこっちの患者には打たないなんて無理だ。患者はみんな自分だけは打って貰えると思っているんだよ」。
「なるほど、じゃあうちはクジにしようかな。ガラガラポン、はい当たりって」。
 厚労省がどんなに優先順位を決めても、その医院に必要な数だけ(それを割り出すのはほとんど不可能)配達してくれるわけではなく、前年実績で適当に割り振って寄越すか、あるいはどこも100本と一律で配るだろう。それは医師に選択の苦渋を強いることになる。それはかなわん、医院は優先該当証明書だけ発行するので、ワクチンを打つのは保健所が一括してやって欲しいという医師が出てくるわけだ。保健所は打って貰えなかった患者の非難の声に包まれるが、それも保健所の仕事だろうと云うわけだ。
 厳密に優先順位を守り、余った分は不公平になるからと打たずに廃棄する医院が出る可能性もある。
 勿論、これは医師会長など一部の医師の意見で多くの医師は自分達の責任で選択するつもりでいる。それは当然かかりつけ医の仕事だろうという心意気だ。
 
 日本にはどうもこの決めかねるから一律あるいは決めかねるから杓子定規でという図式が多い。特に官製の措置にそうした傾向が強いように思う。そこに切り込むのは難事だが、大量の無駄が潜んでいる場所ではある。
 
コメント
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