駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

町医者は知っている

2008年12月14日 | 診療
 この十年、患者数は横ばいでほとんど変わらない。今年は僅かに落ち込み-2%くらいだ。後期高齢者医療など奇妙な国民に誤解を与える制度の導入の影響と思う。
 今まで大体毎月十枚程度だった医療券(生活保護者の診療券)が、この一年ほどで十三、四枚と明らかに増加してきた。多くは一人住まいの高齢者、脳血管障害などで就労不可能な人達そして子供が幼い母子家庭だ。高齢者の中には直ぐ近くに子供が一家を構えている人も居るが、生活保護の判断基準はよく知らないので、家庭の事情があるのだろうと思う。この増加の原因を単純に不景気のせいとは言えないだろうが、急な変化なので高齢化や家族観の変化が原因とは考えにくい。まさか役所が当医院を推奨するはずもない。やはり何か景気が関係しているような気がする。
 数年前から、繁華街の飲み屋の親父さんは世の中変わったと毎回浮かない顔をして受診する。風俗店が近くに出来てねえ、ボージョレヌーボーの企画も空振りで困りましたと嘆く。
 年齢の割に若作りで小綺麗だった雇われマダム?、ある日急にさっぱりとおばさん風になってきた。どうしたのかと思ったら店を辞めて昼間の仕事に変わったと言う。
 配管の技術者が珍しく忙しいと言うので、怪訝な顔をしたら「いやあ、自動車関係は全然駄目だけど、医療の特殊カテの工場が忙しいんですよ」。と言う。そうか確かに重病は景気お構いなしだからなと納得。
 一地方という偏りはあるが、世論調査と似たようなサンプル数だからかなり信頼できるデータだと思う。
 なんだかこれぞ糸脈の極意のようで、何を診断しているんだか、町医者はいつの間にか専門外の世の中まで診るようになった?。
コメント
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