玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*素適な道楽

2012年07月10日 | 玉川上水の四季

 ゴーヤが実りつつある。一番大きいものは15センチぐらいだが収穫にはあと少し時間が必要だ。他にも紡錘形の小さな実がところどころにぶら下がっている。小さい実を見ていると私は小さな男の子を連想してしまい不思議にいとおしい気分になる。キュウリの収穫の勢いはぴたりと止んだ。その横でまず「おいらん草」が咲き、少し遅れて「たいまつ草」も咲きはじめた。玉川上水では前節気から咲き続いているアジサイ、ネムノキのほか、新たにムクゲが咲きはじめた。人はその律儀さにいつも感動させられる。

 8日の日曜日の午前中はときどき雨のお天気で、小暑のミニ観察会の開催が危ぶまれた。集合時刻に小雨が落ちていたが私は出かけた。開催されれば今日こそ「蝶のスタジオ」を見ることができると期待したからだ。なぜなら鈴木さんは羽化の瞬間を皆さんに見せたいものだと前回の観察会で語っていた。ましてや今回の小暑の写真展は「蜜源植物に集まる蝶」がテーマである。傘をさして集合場所のオープンギャラリーに出向くと、この日の参加者は私を含めてわずか3人だった。私の期待は裏切られなかった。いつもの写真の販売のための留守番のスタッフを一人残して総勢6人で歩きはじめると雨は上がっていた。

 見学に小人数は好都合だった。蝶のスタジオの場所は鈴木さんの自宅からは少し離れた同じ町内だった。それは広い道路から一戸建て住宅の間の狭い道路を入って突きあたりの右側に在った。四方が住宅に囲まれた100㎡ほどのやわらかな印象の緑の空間である。ほぼ中央にある一番高い細い木はリンゴの木だという。かつては鈴木さんが家庭菜園として利用していた土地を5年かけて蝶の楽園に作り変えた。退職金をはたいて30㎡の現在のギャラリーの土地を購入した時期と重なる。いずれも鈴木さんは奥さんの弱い反対を押し切って今この時しかできない道楽を貫いた。

 スタジオには人の背丈よりは低い大小の立方体のケージが配置されている。画材のキャンパスの木枠を再利用してそれに網を張っているのがある。ケージの中にはかんきつ類などの幼虫が好む食草食樹が植え込まれている。ウマノスズクサ、カラタチ、キンカン、サンショ、ユズなどに産みつけられた卵が成長すると、幼虫は枝葉ごとすばやくこのケージに移されて保護される。ケージにはすでに羽化したさなぎのぬけがらも見える。成虫のための蜜源としてはヤブガラシ、ブットレアなどが用意されている。この日は複数のジャコウアゲハが上空を自由に飛び交い、アオスジアゲハも確認できた。さらにジャコウアゲハがウマノスズクサに産卵する場面に出会った。卵は透き通ったオレンジ色をした爪楊枝の頭よりも小さな1個の球形だった。その翌日である、わが家で一匹のジャコウアゲハが庭のおいらん草をかすめて飛ぶのを目撃した。

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