昨日前々から気になっていた映画2本を見に行った。「それでも」ともう1本は「硫黄島からの手紙」である。混雑を避けて平日に行くのが習慣になっている。シニア1000円は有難い。観客動員に拍車がかかろう。私達の世代は若いときは映画代に不足し、不足しなくなったら時間が不足していた。
周防監督は「Shall We Dance?」でファンになった。以来数年沈黙し今回久々の作品だという。「痴漢行為」を働いたとされた主人公が捕らえられ、取調べを受けながら警察が作った供述書に基づいて有罪とされそうになる。
身に覚えのないことゆえ、早々に認めた方が手っ取り早いという警察、当番弁護士の助言に従えず、「あるべき無罪」を弁護士と共に闘う裁判闘争の物語である。冤罪を作らないことが第一という裁判官から交代した次の裁判官は、有罪判決を突きつけた。「冤罪」の発生である。裁判所は必ずしも良民の味方と信じ込んではいけないと雄弁に物語っている。最後は主人公が「真実を知っているのは私だけ。私が裁判官を裁く」と独白し「上告する!」と終わった。
夕刻TVを見ていたらニュースが「番組改変訴訟 NHKに賠償命令」と報じていた。「そうだアレだ」とピンと来た。’00年国際戦犯法廷を取材したNHKは、放映に先立ち政治家(安倍、中川)の発言によって番組内容を改変したと、取材された側の女性の市民団体が訴えを起こしていたのである。東京高裁は「番組改編は政治家に過剰反応したものであり、取材を受けた市民団体に200万円の支払いせよ」と命じた。だがNHKは即日上告した。こちらは多様な問題(政府の予算案チェックや発言など)を孕んでいる。’01年以来の闘争はあと何年を要するのだろうか。色文字をクリックで関連記事に飛ぶ。(写真は船長)