土曜の午後に何気なくつけたテレビに、東日本大震災の被災地の子供達に囲まれてギターを抱えている長淵の映像が写し出されていた。長淵は歌うというよりも語りかけることに専念している。小学校低学年の十数名の子供達の中には涙をぬぐっている子もいた。荒っぽいが心のこもった長淵の励ます言葉に感極まったようだ。それはSONGSプレミアムという番組の再放送だった。シンガーソングライターの長淵は1956年の生まれの鹿児島市育ちである。
番組では場面は変わり「お家へ帰ろう」が熱唱されたのだが、その歌詞に私は衝撃を受けた。久しく忘れていたものが甦る思いがした。「ああ明日の朝、ああ国会議事堂へ行こう、ああしょんべんひっかけて、ああ口笛吹いて、お家へ帰ろう」と繰り返して歌われる。私はこれを契機にネット検索に向かい、これまでの長淵の復興支援の積極的な活動を初めて知ることになった。
これができるのは長淵しかいないだろうと思われるこたが実現していた。自衛隊の松島基地における隊員激励ライブでは、「会いたかった、皆さんに会いたくてたまらなかった。皆さんは僕の大きな誇りです」という長淵の叫びで始まる。終了後の隊員達は「心が震えました」「最初からヤバかった」などの感想を述べている。つぎに公式サイトでラジオプログラム「長淵剛 RUN FOR TOMORROW」について知った。
これは4月にスタートして全23回で終了している。主に東北地方のFM局で週一回の55分番組として放送された。全23回と「長淵剛の伝えたかったこと」という追加の3回を公式サイトにアクセスすると聞くことができる。「なぜ怒らない!いつから怒らなくなったんだよ!」と長淵は挑発してくる。この番組を今後ていねいに少しずつ聞いてみようと考えている。過去も未来もない、現在の長淵の思いを私も共有したい。思うことが大切なのだ。自分には何もできないと卑下することもあるまい。