玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*明生が関脇を守る

2021年09月30日 | 捨て猫の独り言

 大相撲9月場所は新横綱の照ノ富士の優勝で幕を閉じた。「いつなにが起こるか分からない」と膝の古傷を抱えて土俵に上がる姿から私たちは強烈なメッセージを受け取る。30歳前後が力士として脂が乗る時期だという。29歳の一人横綱には、しばらくは頑張ってもらおう。

 鹿児島県大島郡瀬戸内町出身の明生の動向を注目している。明生は初土俵が2011年、新入幕が2018年、2020年は左上腕二頭筋部分断裂で1月場所を休場、2021年5月場所8勝7敗で小結、続く7月場所も8勝7敗で関脇に昇進した。三役昇進は幸運が続いた。

 この9月場所は11日目終了時点で4勝7敗だった。実力以上の地位に上がり、成績がよろしくないことを相撲界では「家賃が高い」と言う。この12日目の照ノ富士戦は明生という力士にとっては分水嶺になった土俵だった。初の金星のあと連勝して8勝7敗と勝ち越した。

 

 あの照ノ富士戦に敗れて負け越しとなればその後の土俵人生は大きく変わったであろう。明生は立田川親方(豊真将)に似て深々とした礼などその所作に好感をもつ人は多い。私がハラハラするのは立ち合いが相手に先に手をつかせてから自分が手をつく。相手が横綱でもそれは変わらない。

 

 

 

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*柿と梅

2021年09月27日 | 捨て猫の独り言

 しきりに柿の木が葉を落としている。見上げると収穫できる柿の実の数がはっきりしてきた。かなり心配していたが、少ないながら数は例年並みの収穫量のようだ。種があり、しかも虫が入りとても商品にはならないが店頭の柿を買わずに済んでいる。(またしてもハチの巣が)

 

 庭の樹木はすべて庭師さんが選んだものだ。この柿の木は高木すぎて毎年収穫に苦労する。手を伸ばすと、もぎることができる高さのものがあることを知り、悔やんでみたところで後の祭りだ。高いところの実をつかみ取る道具も市販されているようだがそれを手に入れようとは思わない。

 木の高さを低く抑えようとして、上にのびる枝はできるだけ切り捨てる。また柿の木は隣との境界に在るので隣りへのびる枝も切り落とす。したがって公道に沿って自宅の方へ、木の幹から非対称に横になびく枝ぶりになっている。

 

 早世した庭師さんが配置した梅の木は、痛みが激しく幹の空洞化が進行している。ここ数年は毎年のようにアブラムシが発生し、梅の実を収穫しなくなって久しい。ひと思いに切り倒すことも考えたが、早春に咲く梅の花が惜しまれた。先日アブラムシの洗礼を受けながらほぼ半分ぐらいの樹形になるまで剪定を行った。梅の木には棘がある。

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*身体の使用期限

2021年09月23日 | 捨て猫の独り言

 大相撲の「翔猿」はとても個性的な力士だ。しこ名にしてからがそうである。同じ幕内に兄の「英乃海」がいるが、甘えが出ないようにと兄弟別々の部屋に入門したという。美容液で肌の手入れをして、土俵上では美しい肉体を見てもらおうというサービス精神のもち主である。

 肌の手入れというものを考えたことがなかった。ここ数年、手首から肘までの左右の前腕が固いものに接触すると、かならずといっていいほど内出血する。私の肌はまるで乾燥したタマネギの薄皮のようなのである。だから、肌の手入れに長年努力されている女性の皆さまと翔猿には敬意を表するものです。

 家の中で肩のあたりを柱にぶつけることが多くなった。意識と体の動きにズレが生じているらしい。私の場合60歳前後から右の眼、70歳頃に右の耳が機能不全になっている。偶然なのかどうかいずれも右半身に生じている。それに右利きだからなのか、ぶつけるのも右半身が多い。

 つい最近、家の中で右に曲がろうとして柱に右足の小指をしこたまぶつけた。ところが数時間後に小指は緋色に染まっている。動くのでどうやら骨折はしてない、内出血だけですんだようだ。これもまた右半身をやられている。そしてスリッパは保温ばかりでなく事故防止にもなるのだと気づいた。

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*秋の庭

2021年09月20日 | 捨て猫の独り言

 どこからか金木犀の甘い香りが漂ってきて、吹き渡る風が心地よい。柿の木がさかんに葉を落とし始めるころに、曼殊沙華がいつもと同じ、突然姿をみせて驚かせてくれる。彼岸花は庭の茂みの中であちこちにゲリラ的に現れて片寄せ合って咲いている。

 

 柿の木は葉を落とし始める前に、心配するほど未熟な実を落とし続けていた。その葉は春の新芽のころの萌黄色の柔らかい葉と異なり、分厚く固く大きな葉となって落ちる。半分は通路側に落ちるので、それを拾い集めるのがこの頃の日課の一つだ。

 それほど広くもない庭の芝生がのび放題にのびて手を焼く。以前は電動式のバリカンで刈っていた。配線を切断したり、はずれ落ちた刃をもとに戻すのに手間取ったり悪戦苦闘した。それで今は刃こぼれ覚悟で小ぶりの剪定ばさみで人の力のみで芝を刈る。

 家人は重たげに繁った松の葉をむしり始めた。新芽の切り取りは今年初めてやってみたが、葉のむしりはまだやったことがない。来年あたりむしりに挑戦してみよう。なるほど身軽になった松の木は枝ぶりもあらわに美しくなった。毎年芝も松も散髪が必要なのだ。

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*スズメバチの巣

2021年09月16日 | 捨て猫の独り言

 クヌギの木には樹液を求めてクワガタや蝶やスズメバチなどの昆虫が集まる。無粋なことに樹液が出ている部分をブルーシートで覆ってしまったクヌギの木もある。これはスズメバチ対策であることはまちがいない。

 梅雨明けの頃に多いが、玉川上水緑道ではクヌギの木の根元をカラーコーンで囲み「スズメバチ注意」と書かれたものが貼りだされることがある。高いところにスズメバチの巣でもあるのだろうか。状況不明は不安がますばかりだ。

 しかし蜂はケムシなどの害虫を捕食したり、花粉を受粉したり大変有益な昆虫のはずである。人が不用意に巣に近づいたり、刺激しなければ、積極的に刺すことはないという。しかし都市部では人とハチの距離が近く、巣を身近に発見したらただちに駆除となる。

 

 巣の駆除については各自治体の対応はまちまちである。駆除用具一式の無料貸し出しのところもある。私有地内の駆除は各自が費用負担して業者に頼むしかないところが多いようだ。スズメバチ9900円、アシナガバチ4400円が相場だという。

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*大谷の挑戦

2021年09月13日 | 捨て猫の独り言

 大谷翔平は二刀流の選手としてエンゼに入団した2018年にリーグの新人王に輝いた。投手として4勝2敗、打者として本塁打22、打点61、盗塁10の成績だった。シーズン終了後にトミー・ジョン手術を受け、2年目は打者に専念5月に復帰するも9月に膝の週術を受けシーズンを終わる。3年目はコロナでリーグ開幕は7月だった。

 3年間の通算で4勝3敗、本塁打47、打点147、盗塁29の結果を残した。順調だった1年目にくらべてその後は我慢の2年だったといえる。大谷の父親は社会人野球の選手、母親はバトミントンの選手というスポーツ一家に生まれた。身長193㎝、体重95㎏の恵まれた体格は努力の天才のイチローならずとも祝福せざるを得ない。

 入団発表の際、背番号が17に決まった経緯について記者が質問した。この質問に大谷が「本当は27にしたいなという気持ちがあったんですけども、埋まっていたので17にしました」と答えると会場の米国人たちは爆笑しながら拍手を送った。背番号27はエンゼルスの現役看板選手マイク・トラウトがつけているものだからだ。

 4年目を迎えた今年の大谷を見て目を見張った。一回り大きくがっちりした体になっていた。そしてあれよあれよというまにホームランを量産し始めた。驚いたのは8月31日のヤンキース戦での「本盗」だ。本盗なんてめったにお目にかかれない。マドン監督もひやりとしたかもしれない。二刀流に否定的な意見もある中、けがをしないかという周囲の心配をよそに我が道をゆく27歳だ。

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*時間とは

2021年09月09日 | 捨て猫の独り言

 ウィキペディアの「時間」の項目は「人類にとって、もともとは太陽や月の動きが時間そのものであった」で始まっている。しかしその後の記述にはそれほど心が動くものがなかった。数少ない自分の読書の中からこれまでに書き止めていたものを記してみる。

 「昨日の私」と「今日の私」は「別ものだけど同一である」というつじつま合わせができるものだけが「時間」という概念を持つことができる←レヴィナス(内田樹の師匠)

 視覚というのは時間を表現するものを捉えられません。写真を考えたらそこに時間はない。逆に聴覚は時間を捉えられても空間は捉えられない。視覚と聴覚のズレを埋めるために時空という概念を発生させざるを得ないのです←養老孟子

 仏教では時間を重要視しないようです。「すべては生成消滅し続ける」という共通理念がありますので基本的には常に現在のこの一瞬だけが唯一存在する〈時〉です←釈徹宗(内田樹の友人)

 唯識仏教では時間とは物でも心でもないもので意識の流れの上にある法(ことがら)として仮に立てられたものと定義しています。つまり実体のない仮法という位置づけですが、それだけにすぐれて私たちの感じ方の問題なのだと思います←多川俊映(興福寺住職)

 未来には希望をもつことができる。しかし不安も感じざるを得ない。そういう未来が突如として現在に変わり、さらに記憶に変わって過去になる。その記憶もだんだん遠ざかっていく。時あるがゆえに生きるという言葉の内容を説明することができる。時間というものは、強いてそれが何であるかといえば情緒の一種だというのが一番近いと思います←岡潔

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*吉本隆明著「遺書」

2021年09月06日 | 捨て猫の独り言

 七月末からチラホラと咲きだした百日紅が八月になると、どの枝も重たそうに赤い花穂をつけていた。ところが九月に入ると一時期の燃え上がる姿はなく緑が目立つようになった。今年は花期が短いような気がする。以前は車の屋根にへばりついた花穂を、洗い流すのに手を焼いていた。その車は今はない。

 

 吉本隆明が87歳で死去して10年近くになる。1996年伊豆の海岸で遊泳中に溺れるという事故から回復した2年後に、角川春樹事務所から出版された「遺書」を読んだ。編集者のねらい通り、死、国家、教育、家族、文学についての吉本隆明の考えがうまく引き出されている。なにより会話体だからわかりやすい。

 また「僕の考え方は、いわゆる大衆主義とは違います。自分の場所から、自分の場所の課題に大衆的な課題を繰りこんで、追求していきたいわけです。それによって、現在の閉塞した雰囲気の突破口が開けてくるという考え方です」あるいは「能力という考え方が嫌いです。自分を無能と規定しています。有能な奴と闘える無能がさしあたっての理想です」まれに見る有言実行の人でした。

 「いいことを照れもせずいう奴はみんな疑ったほうがいいぞ」とけしかけたりしました。私はこう考えると時期を逃さず開陳するサービス精神の持ち主でした。「労働組合は市民に対するボランティア活動に徹すべきだ」「親鸞は現在の認識からいっても胡散臭いと思うことは何も言っていない」国家にも死があるという視点は新鮮でした。「先進国の課題は近代以降命脈を保ってきた民族国家をいつどうやって死なせたらいいのかということです」云々。 

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*この夏の甲子園

2021年09月02日 | 捨て猫の独り言

 高校野球の魅力は、負けたらつぎはないトーナメント戦のもつ緊迫感にあると思う。どんな組み合わせの試合であっても、とくに初回の攻防を見るのが好きだ。郷土のチームでない時は、その後の試合展開を予想しながらテレビの前を離れることが多い。

 水色のユニフォームの滋賀の近江は優勝候補の大阪桐蔭を破ってベスト4に進出した。近江の副校長でもある多賀監督(61歳)を以前から注目していた。なぜならオープンギャラリーの鈴木忠司さんにそっくりの容貌だからだ。鈴木さんに電話してそのことを伝えようかと迷ったほどだ。

 福井の敦賀気比に「吉崎空」という名の選手がいた。「空」からは「色即是空・空即是色」を、「吉崎」からは浄土真宗中興の祖・蓮如上人の「吉崎御坊」(福井と石川の県境にある)を連想した。「空」はおそらく「そら」と呼ぶのだろう。新聞の出場選手名鑑を調べてみると「空」という名を持つ選手がほかに3名いた。

 全チームの選手名を眺めていると漢和辞典が必要だ。派手で読みのむずかしい「キラキラネーム」もある。某生命保険会社が発表する「生まれ年別の名前調査」はなかなか興味深い。コロナ感染で宮崎商と東北学院が開催中に辞退した。宮崎商に不戦勝したのが優勝した智弁和歌山だった。不戦勝、不戦敗は史上初のことだ。

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