玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

老いの自覚

2005年05月30日 | 捨て猫の独り言
30歳前半にサッカーチームに所属していた。むろんJリーグはまだ発足していない。写真が残っていて自弁でユニフォームを作ったことを思い出した。しかし30歳台で初めてやるスポ-ツにしては難しくてボールが足に馴染んでくれない。なにより走れない、息切れしてすぐ立ち止まる。サッカーの楽しさを感じることなく、チームも自然消滅した。その後ソフトボールに流れて、中年のスポーツを細々と続けた。試合後に飲むのも楽しみだったが、ユニフォームに身を包む緊張感もいいものだった。馬子にも衣装の喜びがあった。

60歳すぎて運動らしきものはサイクリングぐらいである。ゴルフは未経験だから、あとは温水プールとか山歩きぐらいか。自動車通勤を復活して半年の間に、ひやりとしてはっとすることが2回あった。

1回目は日差しの強い日に交差点で右折のとき、フロントガラスのフレームが死角となり、横断中の自転車と危うく接触しそうになる。突然目の前に現れた若い女性に睨まれた。視野が狭くなっている。これは、最近たまたま眼科で受けた右目の視野検査結果と見事に一致している。2回目は黄昏どき、直進中に老婆の顔が夢か幻のごとく右の窓ガラスすれすれに近づいてきた。横断歩道に気ずかなかったのである。とても穏やかな老婆のお顔であった。視力が減退している。

つい最近のことだ。夕闇に包まれてきたので、ブラインドを引こうと、照明のついてない部屋の窓辺に近づいたときである。いきなり顔面を強打した。何事が起きたのか一瞬理解することができない。前歯が3本折れたと思った。抜歯したときのような鈍痛が広がる。いつもそこにある蓋つきコタツに向こう脛をぶつけて転倒したのだった。鼻の横あたりに少し出血がある。食事中であったが中止して、焼酎お湯割り残り3分の2はただちに捨てる。心細いことに「ねったぼ」さんは一泊旅行中で留守である。幸い出血もとまり、痛みも引いて土曜の夜の病院の門を叩かずにすんだ。

自分が家の中で転倒するなんて考えもしなかった。なんの予感もなく、それは突然起きた。老いの自覚とは、わが身に起こりうるであろう事故を、常日頃からいろいろ想像してみることだ。想像したことが、その通り起きてしまえば、それはそれで受容するしかない。まだ食事のときに歯が痛む。折れてないことを願うばかりだ。

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オラが町の運動会は?

2005年05月27日 | ねったぼのつぶやき
  初孫の小学校の運動会見に明日でかける。子供の親と一緒でなければ、校門内には入れないとのことで、息子か彼の奥さんのいずれかと門前で待ち合わせることになった。

 運動会というイヴェントで多くの出入りがあり混雑が予想される。混雑に乗じて不審者の侵入を許すことになるかもしれない。そう考えると、守ってもらっている安心感と引き換えに、身内といえどもしっかりチェックされるのは止むを得ないことと理解しなければならない。

 約半年前、私立小学受験をした当の孫から「合格したよ」の喜びの電話があった。その後ほどなくして全く同じ下車駅までの用事があったので、駅からの距離や学校の全容を見たくて学校まで足をのばした。丁度放課後の時間で門から出てくる小学生は殆んどいなくて、校庭は学舎で殆んど見えず、通用門のみ開き、守衛室から守衛さんが出てきて「何か用事ですか?」と聞く。「今度孫が入学することになったので見に着たんですが、校庭をすこし覗かしていただけませんか?」と申し出たが、言下に断られてしまった。

 防犯上関係者以外入れてはならない、といった決まりに従ってのことだろうとは思ったけれど、第一印象はよくない。その時期、孫を持っていそうな婦人が学校見に訪れる事は、常識的に考えて充分にあり得る事だろう。防犯上心配なら校庭の見える場所まで20~30メートル同行してもいいではないか。本当にヤヤコシイ時代になったものだ。

 私たちにとって生活道路である玉川上水路を、小学生から大学生まで8校の児童、生徒、学生が往来している。特に下校時の小学生は毎度、行きつ、戻りつ、走りつ、止まりつして賑やかしい。そんな学童達に危なかったり、可愛かったりしてツイ声をかけるのだが、黙りこくって逃げ帰るような子には、未だお目にかからないだけでも救いがあるとしなければならないのだろうか?

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歌集・凪ぐ日しぶく日

2005年05月25日 | 捨て猫の独り言
NHKラジオ毎週土曜21時「土曜の夜はケータイ短歌」という視聴者参加番組は、若い人たちの投稿が多く、短歌がぐんと身近になっていることを示している。皆様も一度お聞きいただきたい。短歌は日本人の「詩のこころ」を表現するのにぴったりの形式なのだろう。

さて標題の歌集の著者本田藤さんは、戦争直後、まだ40歳にならないうちに夫を亡くし、それまでしたことのない農業をして5人の子供を育てあげた。子供の巣立った50歳台になってから短歌に手を染めた。そして80歳近くになって子供、友人の強い勧めで、350首を収めた歌集が誕生した。長い老後を充実して生きたこと、とりわけ短歌への精進ぶりを、私たちは見習いたいと思う。この歌集からいくつか再録してみたい。(著者はすでに故人)

〈親ごころ〉
遺されし五人の子も世立ちして
我も安らぎの日々が来たれり

「お父さん」よびしことなく嫁ぐ娘は
はじめて呼ばん君の父の名

老いの身のたしなみとして髪を染め
鏡に立てば娘らと逢いたし

〈日記〉
誰がためというにはあらねど秋野菜
蒔きし品種を日記に誌す

我が死ねば子らが焼くらむ日記ぞと
みる人なけれど友の訃を書く

〈鹿児島県日置明信寺の歎異抄会と短歌会と〉
スタンドを引きよせ歎異抄読む夜更け
庭の木犀部屋に匂いくる

神を説き本を買えよと強うる男
仏教語れば笑みて帰りゆく

〈陶芸など〉
つげの木に白百合活けて子らを待つ
黒薩摩の壷我が焼きしもの

機織れば織る間は雑念忘れおり
あやなす糸にすくわれながら

〈他者へのまなざし〉
軍服を軒端につるす狂人も
勤めたる日を思いしのぶか

年老いし門弾きなれば声かけて
車はげしき道に見送る

越中に明日帰れると薬屋は
顔をほてらす妻待ちおらん

ねぎらいの言葉互みにかわしつつ
失対労務者辻に別るる

車中にて手話をかわす二人若々し
ときおり屈託のなき笑いして

《私の一番好きな歌》
信じたる人に意外の虚勢あり
みがく流木すなおに立たず

薩摩半島の東シナ海に面した吹上浜には潮に乗って南島から流木などが漂着する。持ち帰った流木はオブジェとして部屋に飾られるのであろう。流木はたてにされたりよこにされたりして紙やすりかなにかで丹念にみがかれるのである。

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横浜港で大型客船下見

2005年05月22日 | ねったぼのつぶやき
 20日招待状を片手に、約2時間かけて横浜港大桟橋に出かけた。以前、横浜や川崎までは何度か行ったことはあるが、大桟橋は始めてであった。関内から大桟橋迄歩いていったのだが建物、道路、街路樹、町並みは整然としており、手入れが行き届いていて気持ちがいい。

 海岸線方向に歩くと、次第にそれらしい桟橋と船舶が目には入ってくる。それらは近づくほどに大きさを増し、桟橋自体が巨大で立体的に造られていて、しかもヒレをひろげた魚のような、あるいは船のような形状であることに気づかされる。客船自体もイメージしていた以上に巨大で、桟橋から船に接続された通路をぬけて船に入ると、更にその巨大さに圧倒される。

 昨年末、最初の説明会を聞きに行ったとき、客船自体は日本一とか、世界一とか聞かされていたけれどなるほどであった。9階建て、エレベーター3基、乗客900人の予定、乗客定員1487人とパンフには記載されているが、これは乗組員を含む数字なのか?ともかくデカい。4,5,6階の客室は幾筋もの通路があり、まるで迷路同然なのだ。

 設備面ではレストランが3~4箇所、休憩所数箇所、診療所、美容院、図書室、売店、喫茶室、居酒屋、スポーツジム、プール、板張りの運動場、シャワー、ジャグジー、パソコンコーナーがあり、生バンドまであるらしい。映画も楽しめるようになっていたと記憶している。3時間ぐらいでの自主見学だったので、右往左往が多く効率的に回れない。自分と同じタイプの船室と、船全体のおおよその構造と設備、配置を6ヶ月たって目にして船内生活がイメージしやすくなった。

 船内から望める桜木町方向も又すばらしく、目前には大桟橋屋上の芝生、かなたには駅周辺に拡大している現代的なビル群。帰路は浜風を受けながら、散策を兼ねて桜木町まで歩く。駅までの道すがら埋め立てた結果できたと思われるような空き地も多く目にした。もしそうだとしたら災害時、場合によったら液状化現象に見舞われることがありはしないか?と一抹の不安もよぎる。
 
 9月3日から始まる104日の船旅。自由の身になったら一番にと数年前から企画していたせいもあり、自分の中でさほどテンションは高まらないでいたので、船内見学をキッカケにすこしづつ書き留めて、テンションを上げていきたいと思う。

















 

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造語の力

2005年05月17日 | 捨て猫の独り言
プロ野球の実況中継のなかで、「勝利の方程式」というのを耳にすることがある。リードしているチームが押さえの投手(クローザー)を起用する場面で使う。この勝利の方程式というフレーズに微妙な違和を感じている。

方程式を解くことは代数学の重要な任務の一つである。方程式といえば小学校の、なかなか難しいツルカメ算も未知数Xと書くことによって苦もなく解けたという経験をした人は多いだろう。方程式は解かれることを待っている。未知数の追求のために方程式は存在する。恒等式が平叙文としたら、方程式は疑問文だ。

勝利と方程式の二つの言葉が衝突している。勝利を確実にする投手起用なのに勝利の疑問文と私には聞こえる。

ところで、勝利の方程式を初めて造語した人物は、方程式は特定の値がすでに決定したものという感受が濃厚であったと想像される。すでに解かれてしまった方程式だ。これは静的な発想だ。解のない方程式だってあるかもしれない。勝利の方程式とは「必勝パターン」のことだ。

放送で、勝利の方程式を発言するとき、その人の声が、少し低くなったと感じるのは私の偏見なのか。しかし、今では広く伝播してしまっている。私の記憶によれば勝利の方程式の造語者は、あのミスターこと長島茂雄氏である。私のささやかな抵抗はまさにごまめの歯ぎしりだ。国民はミスターをこそ受け入れる。長いリハビリを経て、近々元気な姿を見せてくれるということだ。新しい日本語の誕生を期待してもよいかもしれない。

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カルチャー事始め

2005年05月13日 | ねったぼのつぶやき
 過日、上原まりさんの琵琶の弾きがたりで平家物語を聞きに行き、一昨日は白石和子さんの源氏物語の朗読を聞きに行きました。節々に学生の頃聞き覚えた音節が流れ、音曲や振りも加わって、静かで雅な時間をもつことができました。

 いずれの物語も、かっては義務的にしかも沢山の学科のなかで、忙しく学ばなければならなかったもの。人生の後半にさしかかかった今、自分の興味に沿ってユックリ学びなおすのもイイカナと思い、その手の講座を探していたら、やっと手頃な講座の募集が始まり、1ヶ月も前に申し込んでいた返信が来たのでした。「雑学と日本文学で女を美がく」 お役所もキャッチコピーに頭をひねるんですね。今の時代。

 さて、その第1日目が昨日。参加者約70名。保育付きなので若いママさんも10人前後。比較的若いママさんから多くは中,高年がズラ~~リ。毎木。2時間。計11講座。講座内容は源氏物語に見る愛、結婚、家族、出産、女の経済生活、文化、老後。その他鎌倉、江戸、近代文学の中にみる男と女といった類など。

 講師もほぼ同年代。地道にこういった23区以外の公民館に出かけてくれる教授は,女性学もやっていて面白い。キャッチコピーを見て「女を美がく」女ネー、と形ばかり口を塞ぎながら言ったり、男性は参加させないのですかネー聞いたりして、定年上がりの職員と思わせるような係員に汗をかかせていました。彼女もまた私たちと同じような時代状況を生きてきており、パワフルで自著のコマーシャルも欠かさないところなどは逞しさを感じさせました。

 退職して早6ヶ月になろうとしています。急にヒマになって、時間をもてあますだろう、いつまで耐えられるかナと、懸念していたのですが、今のところそんな心配はまるでナシといったところです。世をあげて健康志向、生涯学習花盛り。私も味をしめてしばし、あるいはズッート身を浸すことになるのかナーと恐れたりしています。
 

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新緑の球場へ

2005年05月08日 | 捨て猫の独り言
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我が家から西武球場まで自転車で1時間である。東京都の多摩湖と埼玉県の狭山湖の湖畔にある。丘の斜面を利用して観客席ができているから、試合の途中ふと目をそらすと、風にそよぐ木の葉の輝きを見ることができる。なかなか緑豊かな球場だ。

年に一度は、新緑の季節に多摩湖自転車道を通って球場に出かけていた。途中の急な坂道を息切れしながらいつまでこの坂道を登れるかなどと考える。風を切って走る木漏れ日のアップダウンのコースは心地よい。途中で紙パックの日本酒一合を3箱と、つまみ、弁当を仕入れる。試合開始の2時間ほど前に内野自由席に陣取り、両チームの練習を見ながら昼間から飲み食いすると少し贅沢な気分になる。途中7回終了ぐらいにひきあげる。

ファンクラブは入会金3000円である。1999年からの会員である。この年にはドームが完成し、松坂大輔投手(背番号18)、赤田将吾外野手(背番号9)が入団した。赤田は鹿児島出身のイケメンで、2人ともいまは25歳だ。ファンクラブの特典は、ウェストポーチなどの年度替りの記念品とA4判170頁のファンブックとそれに内野自由席招待券2枚さらに平日ナイター指定席券2枚である。記念品はなかなか丈夫で利用しやすく日常的に愛用しているものが多い。

今年は我が家の自転車が1台になったことが原因で2人で電車で出かけた。5月4日のことだ。引換券で試合開催日に球場前で記念品を手に入れるために西武球場に出かける。年に一度の西武球場参りである。なんと安上がりなゴールデンウィークの過ごし方であろうか。プロ野球界も大きな変化の兆しがある。西武も2軍名称がインボイスに変更され西武ドームがインボイス西武ドームと改称された。来年もファンクラブに入るかどうかは思案中である。しかし何かやり残したような気がする多摩湖自転車道のサイクリングは近いうちに実現したい。本文内の写真はクリックで拡大します。

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図書館のたのしみ

2005年05月05日 | ねったぼのつぶやき
 図書カードを再発行してもらいました。 2~3年前、図書カードを紛失して以来しばらく図書館とはご無沙汰していましたが、今秋予定している旅行のための参考図書を旅行社から紹介され、本探しのためにどうしても図書カードが必要になったのです。再発行してもらったカードは、今までと外見は殆ど変わらないのですが、機能的には雲泥の差があり驚きの一言につきます。PCで検索が出来るので、本の在庫を、書名から、作家名から、出版社名から検索可能です。そこの図書館にある場合にはどのコーナーにあるのか指定され,無い場合には、市内に10近くあるどの図書館に在庫があるか分かります。またどの図書館に取り寄せるか、取り寄せ後申込者に連絡する手段まで全て指定できる方式になっていたのです。未だやったことはありませんが、自宅のPCを使って全ての作業も出来るようです。

 老眼鏡を使用するなってからというもの、余程の必要がなければ夜は活字を目にしたくない。そんな事情もあって図書館としばらく疎遠になっていた間に、ほんの数台のPCが導入され、それだけでこんなにも便利になっていたとは!今までPCは、業務上便利に、能率的に使ってはいましたが、こうやって実生活の中で、気軽に便利に使えるようになってくると、あらためてパソコンの凄さに驚かされます。パソコンは本当に偉い!かって母が電話が瞬時に繋がることを、「どうしても勘にこん」といって感心していたことがありましたが、私も母同様に「勘にこんけどこんなに便利なものはない」と思ってしまいます。

 一方では、確かに読みたい本探しにはPCはいたって便利なのですが、 図書館を利用する楽しみは、他にも色々あります。各種の新聞や雑誌を自由に閲覧できる。図書館によってはビデオも楽しめる。疲れたら書架の前を行きつ戻りつしながら,「さて今日はどの本を借りようか」と書名や著者名を見ながら彷徨う。この彷徨いがなんとも言えず楽しい。一回に5冊迄、2週間で返却という条件ですから、軽い雑誌や、軽い本も入れないと読みきれません。そんなバランスを考えながら本選びをする作業も楽しいものです。図書館の雰囲気もいい。静かでページをめくる以外たまに聞こえるのは咳払い程度。煙草も臭わない。誰にも干渉されず、何時間でも居れる。

 そんな理由で手近かな3つの図書館を利用しています。自宅に一番近いのは(徒歩7~8分)公民館に併設されています。散歩路である玉川上水沿いには(徒歩17~8分)中規模の図書館があり中休みや、近くにあるレストランで昼食を摂る前に立ち寄り、食事と読書を楽しむことができます。中央図書館は(自転車で約10分)大きくて何でもあり、健康センター、福祉会館、中央公民館、市役所に隣接していますので序の利用に便利です。以前、何かで見た市民税序列の記事で、当市はかなり高い所に位置していたと記憶していますが、こういう使われ方なら大いに結構と納得出来ます。

 

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