玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*転院

2011年05月30日 | 捨て猫の独り言

 眼圧を下げる目薬を手に入れるために、私は二か月に一度は眼科に通う。遠くの大病院で両目に白内障の手術を受けたあと、右の目に別の障害が見つかり治療を受けていた。目薬を手に入れるだけなら近くの町の医院でも十分である。自転車で50分と徒歩5分の違いは大きい。とにかくまずは診察してもらうことにした。開業したばかりの医院だから器具なども最新式のはずだ。

 まず大病院で告知された気にしていた私の2つの治療結果について聞いてみた。この日の診察の結果、初対面の医師はそれらは何の問題もなくいずれも妥当な処置だったと結論付けた。つぎに現在の私の問題は左右の視力のアンバランスからくる眼の疲れである。できれば独眼竜正宗のような眼帯があれば楽になると訴えてみた。それに対しては左右の目で人は目の前のものを立体的に把握しているから、たとえ弱い視力でも貴重なのだとして私の申し出を却下した。

 私はその場で決断した。病院を変えてこれからここに通院するが、どんな手続きが必要か聞いた。医師同士が連絡をとれば、一月ほどで前の病院からカルテが届くはずだという。そのように取り計らってもらうように頼んだ。これまで通っていた大病院の医者名一覧が私の目の前のパソコンに表示されていた。

 版画家の棟方志功は57歳で左目を失明し、右目は極度の近眼だった。版木に顔をすり寄せながら作業している写真に強烈な印象を受けた人は多いだろう。特に私にはこれからも忘れられぬ写真となりそうだ。棟方は67歳で文化勲章を受けた時、「片目は完全に見えませんが、まだ片目が残っています。これが見えなくなるまで精一杯仕事します」と答えている。

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ま~たやられちゃった!

2011年05月28日 | ねったぼのつぶやき

 この時期大小2つの川を従えた緑道はのびやかで、鼻歌混じりで私はルンルン歩く。日毎に新芽が伸びて、若葉の勢いは増したちまちにトンネルと化す。緑道から程ない所に位置する小さな我家。数本の木立なれど伸ばし放題にすれば藪となる。ゴミ量を抑える為には新芽が出揃う頃を見計らって剪定しなければならない。

076  梅雨の合間をぬって年中行事になった庭仕事。日焼けせぬようスッポリ覆う農婦帽を被り、タオルを首に巻いて肌を覆い、飲料水を備えラジオをポッケに入れる。ヒモ・ハサミ・ごみ袋・ゴム手・軍手・マスク。満を持して作業を始めた筈だった。脚立の上で足首の痒さを覚えたがそのまま作業を続け掻きもした。終わって両足首を確かめると何かに刺されたらしい・・・跡? 防虫スプレー噴霧をスッカリ忘れていたのに気付く。この3年毎年毎年虫さされに苦労させられたいたのに・・・。シマッタ! ま~た治るのに一週間以上かかる!!。

 今日の日は本来なら二つの用事(昼食会)が予定されていた! やむなく一つは事前にキャンセルせざるを得なかったものの、今朝になってもう一方も中止した。私の両の足首は赤く脹れ上り靴をはくのも難儀となっていた。それに冷やし詰に冷やさないと快方に向かわないと経験から学んでいる。3年前グアム島でオコゼに咬まれhttp://blog.goo.ne.jp/aratagami/d/20081023車いすで帰国して以来、毒が私の体の中に潜み、他の毒が体中に侵入すると激しく攻撃を仕掛けるようになったらしい・・・?         (散歩の途中出会った山本有三邸跡の木立)

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*緑道散策10キロ

2011年05月23日 | 捨て猫の独り言

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 一か月前から予定していた玉川上水散策が男女数人が参加して行われた。ひと汗かいた後の会食の方が気分もよいのではという提案が通ったのである。天気予報では午後から弱い雨になるという。玉川上水はJR中央線の北側を流れ、三鷹駅の真下を暗渠となって南側に抜ける。三鷹駅に10時に集合して小金井公園まで5キロ歩き、昼食の後にさらに上流へ5キロ歩く行程である。5キロをそれぞれ2時間かけて歩いた。

 三鷹駅から下流の万助橋までは、玉川上水沿いに「風の散歩道」というレンガ敷きの歩道になっている。その歩道を駅から300mほど行くと太宰治が入水したと考えられるあたりに青森県金木町の石で造られた「玉鹿石の碑」がある。さらに300mほど行くと山本有三が戦前に住んでいた邸宅が記念館として公開されている。そこで引き返して駅に戻り、いよいよ上流を目指して歩き出した。境浄水場を過ぎて桜橋のたもとには国木田独歩の碑がある。

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 小金井公園は都立公園で最大の広さをもつ。日比谷公園のほぼ5倍である。東京府は昭和14年の愛国ムードが高まる中で、紀元2600年記念事業の名を借り、時局に備え防空緑地とするために、短時日に買収を執行した。この日たまたま公園の裏道を通り、その一部に民有地と表示した土地が存在しているのに出会った。当時の買収に抵抗した人達がいたのかと想像したりする。紀元2600年の式典で使われた光華殿が皇居前から移築されたのが昭和16年である。戦後にも幾多の変遷を重ねた光華殿が現在は「江戸東京たてもの園」の正面出入り口の建物として存在している。

 この日の緑道でひときわ目立っていたのはエゴの木の花である。どのエゴの木の下も、あたり一面が白い落花で敷きつめられている。他にはヤマボウシとノイバラに出会う。木々の緑は日増しに濃くなってきているようだ。午前中高かった気温も午後になって下がり始め、歩くのには都合がよい。しかし明るかった空も雲に覆われだした。そのうち強い風が吹き、木の葉が大きく揺れ動いてざわめきだした。ぽつりと雨も落ち始める。青葉のトンネルの中を急ぎ足になって我家にたどり着いてまもなく、かなりまとまった雨が落ちてきた。雨の降りだしが早かったものの、予報通りの恵みの雨となった。

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*碁は占星術から

2011年05月16日 | 捨て猫の独り言

 日に日に若葉が繁り、通い慣れた道がふと見知らぬ場所に見えてきたりして途惑うことがある。とくに雨の日のあとは、すべての植物が一夜明けてぐんぐん伸びているように感じる。この時期は緑道を歩いていると突然目の前に糸でぶら下がった虫が揺れるように降りてくることがある。これらは蝶や蛾の幼虫になるイモムシだ。このイモムシが大量発生する初夏に合わせてヤマガラやシジュウカラが子育てをする。

 なんじゃもんじゃの木の花が見られるということを聞いて東京都薬用植物園に出かけた。西武拝島線の東大和市駅から徒歩2分のところにあり入園は無料である。我家からは玉川上水を上流に向かえば自転車で15分の近さだ。なんじゃもんじゃの木の場所を尋ねるとボランティアの婦人がその下まで案内してくれた。そこはあたり一面先日の雨で落ちたという白い花で敷きつめられていた。プロペラ型に四裂した白い花である。遠く離れて振り返ると、まるで木が雪を被ったように見える。人だかりがしている一角に近づくと、そこには厳重な柵で囲われて赤や白のケシの花が陽の光を浴びて咲き乱れていた。

 通い始めた公民館の囲碁会は気持ちよい運営がなされているせいか楽しく参加させてもらっている。置碁の時に置き石を置くにも順序があることを教わった。いつも適度の緊張感が保たれて対局が行われているのもよい。運営を支えている方々に感謝である。棋力向上のため、最近いよいよ私は囲碁の基本事項の学習に時間を裂くようになった。またこのようなゲームを考え出した人の知恵に深く驚いている。碁の起源は中国であり占星術の一法が変化洗練されて今の形になったのではないかと言われている。なるほど星とか天元とか広いとか碁ではよく使う言葉である。

 まもなく5月29日から世界アマ囲碁選手権が島根県で始まる。日本代表は84歳の平田博則さんである。体調さえよければ活躍が期待できそうだ。注目していきたい。プロの世界では上り調子の若手を応援したくなる。21歳の井山祐太名人が4月29日に張栩棋聖から十段のタイトルを奪取して2冠となった。これは棋聖戦でも張栩棋聖に挑戦して惜しくも敗れた直後の井山名人にとっては意義ある勝ちになった。5月10日には本因坊戦七番勝負の第1局が松江市で始まった。山下本因坊に羽根九段が挑戦している。第2局は5月24日に鹿児島市で打たれる。プロの構想力は私には計り知れない。下世話な話だがタイトルの優勝賞金は棋聖(読売新聞)が四千五百万円で名人(朝日新聞)が三千七百万円である。

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「薬も何もいりません」

2011年05月12日 | ねったぼのつぶやき

 眼底検査を終えた色白の眼科医は、メガネの奥の優しい眼差しをコチラに向けて「お薬も何も必要ありません。加齢現象ですから」と言う。「私もその言葉を期待していたんです。安心しました」と返事して2750円を支払い医院を後にした。前日の夕刻、突然右目に面積のある物体(大きめの水すまし様)が水中を泳ぐ様に浮遊し始め、「タチの悪い疾患の前触れだったら放置は危険」 と初受診したのだった。

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 以前から軽い飛蚊症の気はあった。線状(たまには小さいな五線譜様)の紋様がチラツクこともあったが、休憩すれば消失していたので放置していた。数年前眼科受信したことがある。不具合があっての事だった筈だがその結果は大したことなかったのかスッカリ忘れてしまった。「眼鏡が合ってないから作り直した方がいい」とかなり強く勧められたのは覚えている。視力に全く不都合は感じていなかったし、そのことが本来の受信目的ではなかったので従わなかった。その証拠に未だに同じ眼鏡で通せている。そして白内障用の点眼薬が処方された。

 病院という現場を離れて久しい。幸いにも定期的に通わなければならない身ではなく、自治体が実施する検診だけで済んでいる。しかし今後のことを考えると、その後のフォローを含め長いつきあいになるから、医院選びは大切だ。小さな街ゆえ歯科・内科以外は選択の余地は少ないので、せめて身近な医院が良心的であることを望むのみだ。その意味において今回の眼科医院は大ヒットであり大いに嬉しかった。

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*連休のある日

2011年05月09日 | 捨て猫の独り言

 連休など関係ない身分になっても、大型連休の声を聞くと何となく落ち着かない。柔らかな陽の光と若葉が私たちに外出をうながす。このところ私の行動範囲は極めて狭く、自宅から自転車で出かけるぐらいが関の山である。一年を通して休む間もなく日本各地を旅してみたいという望みを持っているけれど、想うところあって今は封印している。もっとも囲碁の学習に専念するためにはその方が好都合ではある。この時期の住宅街の庭先には淡黄色の「木香バラ」が目立っている。

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 連休のある日、東京都水道局が管理する狭山湖(山口貯水池)に出かけた。狭山丘陵の浸食谷を活用してつくられた人造湖である。すでに隣りの多摩湖(村山貯水池)はサイクリングロードをぐるり一周した経験がある。狭山湖は多摩湖に先立って堤体の耐震強化工事が完成した。同時に公園整備も行われ、そこには東京都知事の筆による「五風十雨の味わい」の石碑があった。あとでその意味を調べると、世の中が平穏無事である譬えだという。残念ながら多摩湖と違い、狭山湖の周回道路は半周だけで、あとは一般道路だった。

 連休のある日、久しぶりに映画を見るために立川に出かけた。上映の前に、近くの国立昭和記念公園の入口広場の草の上でデパ地下弁当をいただく。そこでは幼い子供を連れた数多くの家族を観察することができる。類似の場面が他にもあったことに思いが至る。たとえば緑道でシジュウカラの親鳥が子育てのために巣箱を出入りするのを人は飽きずに眺めるというようなことだ。映画は「英国王のスピーチ」だった。それほど劇的でない題材を映画に仕立てたことにまず感心した。ヒトラーの演説の実写を見ている劇中の英国王が「ドイツ語は解らないがうまい演説」だと感心するシーンが記憶に残った。

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 連休のある日、鹿児島から「あくまき」が届いた。もち米を竹の皮で包んで灰汁(あく)で煮込んだ、ちまきの一種である。童謡「背くらべ」に5月5日にちまきを食べたと出てくる。以前はあまり気にしなかった童謡や小学唱歌が最近は親しいものになってきている。この童謡にある、柱のきずがなぜ「おととし」なのか。「やっと、羽織の紐のたけ」もよくわからない。ネットを検索してひとまず疑問が解けた。平均身長を調べると小学生は一年ごとに約6cm伸びる。2年間では12cmだ。また唱歌「夏は来ぬ」に「卯の花の 匂う垣根に」とあるように、玉川上水ではマルバウツギ、ガクウツギナなどの白い花がまさしく咲き始めている。(堤の上の遊歩道、上が狭山湖、下が多摩湖) 

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容易でないマッチング

2011年05月04日 | ねったぼのつぶやき

 月が変わり薫風香る季節となった。アレから50日余。塞ぎがちな日々を過ごす内、追っかけてきた萌え出る若葉の息吹に驚かされている。守り抜くべ吾子はとうに人の親になり、御身だけの心配をすれば事足りる我が身なれど、漠たる放射能不安に穏やかな心は保てない。関係者の苦労を偲びな乍も、これからの数年・いや数十年懸るという報道に呆然となる。

002  共働き中とても貴重だったGW。この時期を待ちかねてたボランテアの申し出に、担当者は苦慮しているらしい。母もGWになると、九州の果てから新幹線を乗り継いで上京して来ていた。「折りたたみ式鉄道路線図」は、車中何度も繰り返し繰っていたせいで、擦り切れてテープで繕われ草臥れていた。又、緑道をくぐる度に新緑の勢いに圧倒されていた。

 私も「今私に出来る事を何か?」と思い悩んだ。この界隈は地方からの大学生が多い。被災地域内外出身者で苦労してる新入(含む予備校)生・在学生が居るかも・・と思い「一年間部屋と食費をボランテアします」とさる大学の守衛室に申し出た。電話口に出た学生課の職員は捗々しくない問答の末・・「寮もありますし・・奨学金制度もありますから・・」と言下に給う。已む無く口コミと市役所・PC上で3~4ケ所登録したのだが未だ問い合わせはない。私の前のめりの気分も幾分あせて来た。PC上で見る限り、その種の申し出は多々あるが成約組は意外に少なく、マッチングの困難さを改めて知らされている。

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*遠きこと近きこと

2011年05月02日 | 捨て猫の独り言

 最近のテレビでコスミックフロントという番組を見た。果てしなく広がる宇宙の、果てしない謎に迫ろうとする科学番組だ。そこで登場するのがハッブル宇宙望遠鏡である。この望遠鏡は1990年にスペースシャトルで打ち上げられた。バスほどの大きさのもので高度600キロメートルを90分で地球を一周している。2009年には長期にわたる準備訓練の後に望遠鏡の性能向上の作業が宇宙空間で無事終了した。

 なんと広大な宇宙には1000億個の銀河が分布している。人類の住む太陽系を含むこの銀河はそのうちの一つでしかない。この私たちの一つの銀河の中だけを、相対的なスケールで考えてみよう。私たちの銀河系を直径130キロメートルに縮めた場合、その中の太陽系はなんと約2ミリメートルほどの大きさでしかない。

 越冬のため飛来していた冬鳥のツグミがシベリアに帰るのが決まって立夏の前の頃である。小金井公園の「桜の園」には、まだまだサトザクラが咲き残り、その桜の木の下ではタンポポが満開になり、その中をツグミがミミズを捜している姿が見られる。小金井公園はツグミが帰郷するための集合場所になっている。冬の間は一羽で孤独に暮らしていたのが帰りには団体で行動する。前の日まで、一面に群れていたツグミが一夜明けると一羽もいなくなる。そして目につくのはムクドリの姿だけになる。

 私はこの話を鈴木忠司さんに聞いた。鈴木さんはツグミとタンポポの組み合わせの撮影を狙って、毎年この頃になると小金井公園に足を運ぶのだという。鈴木さんの散歩暦には5月1日つつじの花、2日茶の木、3日ツグミの帰郷、4日キビタキ、5日桐の花とある。

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