日本の100歳以上の人口は、1963年では153人で、54年後の2017年は6万7824人だった。驚くべきことに2050年には50万人と予測されているという。1963年生まれで東京大学・分子細胞学研究所教授の小林武彦氏へのインタビュー記事の見出し「ヒトの寿命は本来55歳?」は新鮮だった。そしてなぜか安堵した。
「私は遺伝的に定められた人間の寿命は55歳程度ではないかと考えています。この年齢あたりから、癌で死ぬ人の数が急増するからです。55歳以降の人生は、公衆衛生や栄養状態の劇的改善、医学の発展という文明がもたらした生と言えます」とある。先ごろ私の友人は電話口で「71まで生きたからマァ、イイカ」と言い残して死んだ。(日枝神社にて)
名のある人が何歳で逝去したか少し調べてみた。森鴎外は「鴎外としてではなく林太郎として死にたい」と遺言して60歳、夏目漱石は「明暗」を執筆中に胃潰瘍で49歳、長く病に伏した正岡子規は34歳、幸薄い人生を送った石川啄木は26歳、芥川龍之介は35歳で「ぼんやりとした不安」と睡眠薬で自殺した。
生存中は無名の作家だった宮沢賢治は37歳、プロレタリア作家小林多喜二は特高警察により29歳で拷問死、太宰治は38歳の時に妻とは違う女性、山崎富栄と玉川上水で入水自殺を遂げる。1970年に自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺した三島由紀夫は45歳だった。