ハーモニカ教室を終えて帰宅すると玄関に来訪者の靴があり、聞きなれない声が聞こえた。ハテ?来訪者の予定はなかったはず?と思いつつ部屋に入った。なんと我が家のPCから振り返り「お母さん お久しぶりです」と言ったのは帰国後初来日したJackだった。
あれから20数年。彼は18才で国費(日本)の留学生としてフィリッピンからやって来た。府中にある日本語学校で日本語を学んでいた時から、私は「来日留学生の日本での母親」役をしていた。府中時代には何度か来宅し、小学生と中学生だった子供達は何度も親しんだ。翌年京都大学から大学院に進み10年滞日後に帰国した。帰国当初に電話は時々あったがその後音信不通になっていた。
日比に関わるマネージメント業を起こし、今回通訳として再来日した彼は45才になっていた。かっての青年は壮年になっており、子供(かってのわが子)の事を目を細めて消息を尋ねた。そして格差が激しく、インフラ整備が遅れている母国を憂えたりした。そしていずれ”フィリッピンに畳のある家を建て、子供達は日本に留学させたい。少しずつ日本語教育も始めている”と言った。赤ワインをよく飲んでの帰り際に”ここは日本の私の家”と宣言していた。本当に彼の子供が我家を訪れる日も遠い先の事ではないかも知れない。