100年前の1919年に日本の植民地であった朝鮮で3‣1独立運動が起きている。その記事に指摘されて、高校時代にテストのために暗記した記憶がよみがえった。約200万人が参加したと言われるが当時の朝鮮半島の人口が約1700万人だとされるので、どれほど多くのひとが参加したかが分かる。その4月に上海に大韓民国臨時政府が作られる。たしかに3‣1運動によって独立が実現することはなかった。
「三・一運動」は世界史的に見れば、第1次大戦後の民族運動の先駆けだった。この年の4月にはインドでガンディーの非暴力不服従運動が開始され、5月には中国で反帝・抗日・軍閥打倒の愛国民族運動である「五・四運動」が起きている。朝鮮独立運動100周年に際して日本各地でもさまざまなイベントが予定されているようだ。「主権者は国民」という精神は2017年の朴槿恵大統領弾劾の「ろうそく革命」に受け継がれたと言えようか。
姜尚中の発言には関心がある。2009年発行の岩波ブックレットの中から取り上げてみた。「私たちの尺度では測り知れないような独裁、あの仰々しさ、あの貧困、あの強権的な政治、あの前近代的な世襲制、そしてあのような軍隊がのさばっている国。しかし、北朝鮮とは、ドイツ、イギリス、オーストラリアも国交を結んでいます。160か国以上と国交があるのです。世界的視野でみれば、北朝鮮との外交では日本とアメリカだけが特異な立場に立っており、小泉政権での日朝平壌宣言は、それを打開しようとしたが、その後の進展が見られない」
「現状において北朝鮮を完全に地上から消すという選択肢はありません。それでは、北朝鮮を完全に封じ込めてギブアップさせられるか。これも難しいと思います。やはり話し合うしかないのです。交渉を通じて、とにかく風穴を開けていくしかありません。残念ながら東京大学のなかにすら、北朝鮮をまともな研究テーマにしている機関はおろか、研究者すら一人もおりません。相手と敵対関係にあり、相手を許しがたいと思っているにしても、相手が何なのかを知らなければなりません。相手と交渉するためにも相手を知らなければなりません」