玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*100分de名著

2020年01月30日 | 捨て猫の独り言

 昨年の12月にNHKテレビが「100分de名著」で「カラマーゾフの兄弟」を取り上げた。25分×4で100分になる。毎週月曜の夜10:25は寝ている時間帯である。事前に放映を察知して4回すべて録画することができた。私は米川正夫訳のそれを手元において読み返すことを日課のようにしていたので、このうえなく興味深い番組だった。旅から帰って録画を一時停止させながら見ている。

 解説者はロシヤ文学者の亀山郁夫だ。米川訳と亀山訳を読みくらべるのも一興だろうがそんな時間はなさそうだ。最初に小説全体を通して四つの層が絡み合うダイナミックな構造になっているという提示がなされる。象徴層(思想の根幹を巡る問い)、歴史層(作者の歴史観)、物語層(プロット・筋)、自伝層(作者の人生との関わり)の四つだ。

 放送の初回は「過剰なる家族」、2回は「神は存在するか」、3回は「魂の救いはあるのか」、最終回は「父殺しの深層」というタイトルだった。物語層で殺されるのはカラマーゾフ家の父フョードルだが、それぞれの層でもある「父」的な存在が殺害されるという。象徴層の議論ではイワンの無神論は神殺し、皇帝批判は歴史層における皇帝殺しという説だ。

 今回の番組では映画の一場面の映像なども取り入れられていた。この先はこの番組に私が深く共感したことや、新鮮に感じたことなどをいくつか書きとめておきたい。長男ドミートリー(28)は通称ミーチャ、次男イワン(24)、三男アレクセイ(20)は通称アリョーシャだ。●イワンを愛称で呼ばないのは作者が距離感を保ちたいからである。(続く)

 

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*叱咤激励

2020年01月27日 | 捨て猫の独り言

 預かってもらっていた郵便物を23日に目を通した。数少ない賀状の中に今年も「回顧拙句でご機嫌伺い申し上げます。軟茶亭」があった。相変わらずのよい出来栄えだ。一枚の葉書にぎっしりと印刷された39句の中からいくつかを紹介させていただく。

四月【天邪気所感】🔶令和とは巧言令色・付和雷同 七月【毛沢東困惑?】🔶香港で「造反有理」よみがえり 八月【伝統?】「別姓は何故いけませんの?」と日野富子(足利義政の妻は日野富子、源頼朝の妻は北条政子、富子の父・日野重政の妻は北小路苗子・・・)

十月【原発魔界】🔶助役でも原発絡めばドンになり 【文科相】🔶身の丈に合わせあんたが辞めりゃいい 十一月【ヤング】🔶「雅子さまヤバーイ」と旗振る令和ギャル(最近「ヤバイ」は感動の叫びに使います) 【カジノ】🔶「開帳」の前にもう札束が飛び交って

 末尾に「筆記も電話交信も困難ですが、キイを指で叩けるので、メールアドレスをご通知賜れば、Eメール交信は可能です」と印刷されていて、余白には自筆で〈とうとうねたきりに、トホホ・・・〉〈本年もますます お元気で!〉と書かれていた。公民館囲碁の世話役からの賀状には「囲碁という魔物と取り組もう」と激励の言葉が記されていた。

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*27日間の不在

2020年01月23日 | 捨て猫の独り言

 ほとんど娘の自宅で生活する日々だから、移動の連続である旅という範疇には入らないかもしれない。爺と婆が留守番を頼まれて出かけたという趣である。留守番をする家が遠く離れたアトランタだったというにすぎない。定点観測であっても、異国ゆえに見るもの聞くものすべて新鮮だった。元日に大西洋を望むビーチを散策したのは特別だった。

 車社会ということが強く印象に残った。広い国土ゆえに、網の目のように張り巡らされたインターステートと呼ばれる高速道路が各州の主要都市を結んでいる。ガードレールや防音壁や料金所などのない道路が、なだらかな丘を越えて続いていた。もちろん日常の食料品などの買い出しも車だ。それもまとめ買いが多い。

 子供たちは黄色のスクールバスに乗って学校へ行く。運転しているのはパートタイマーの主婦だという。時間に遅れても走ってくれば待ってもらえる。小学生は親が送り迎えするケースが多いようだ。娘によるとアジア系の親は一般に教育熱心だという。公表される学校のランク付けを見て引っ越しをしたりするそうだ。

 

 滞在中は濃霧の朝や、夕刻の豪雨に見舞われたこともあったが暖かい日の方がはるかに多かった。ジョージア州のニックネームはピーチステートで、車のナンバープレートにはその「桃」が描かれている。帰国の翌日からアトランタも東京も急激に寒くなった。成田空港から帰る途中に、これまで見慣れていたはずの女子高校生の短いスカートになぜか違和感を覚えた。  

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*異国の空

2020年01月16日 | 捨て猫の独り言

 アトランタの空は広い。年末の快晴のある日、四方八方から集まる飛行機雲を頭上に見た。環境問題を訴えるグレタさんのことが頭をかすめる。同時にアトランタ国際空港は巨大空港であることを実感した。しかし真昼の打ち上げ花火のような飛行機雲をその後は見ていない。気象条件にもよると思われる。年末年始は好天が続いたが、中旬にかけて雨や霧の朝を迎えることが多くなった。

 大西洋を望むサウスカロライナ州のマートルビーチのコンドミニアムに1月1日から3泊した。果てしもなく続く浜辺の散歩、屋内の温水プールや、屋外の温水風呂で遊んで暮らした。孫たちは1000ピースのジグゾーパズルで、私が用意したのは折り紙だった。「鶴」と「ユリ」の2つを私は日本で練習を繰り返しやって来た。折り紙の代表である「鶴」は同じ操作を2回繰り返してゆくが、「ユリ」は4回だから難しくなる。孫が友人に折り紙を教える時があればいいと思う。

 生活情報誌「アクシスアトランタ」の11月号には、夏時間終了は11月3日の午前2時であることや11月28日の感謝祭の由来などが掲載されている。発行人はレストラン経営者で週に100本以上出る空き瓶は近くのリサイクルセンターに持ち込み、ストローは金属製のものに変えたと編集後記に書いていた。娘のところのゴミはリサイクル用(段ボール、缶、プラスチック)とそれ以外の2種類に分別して週に1度だけ回収される。悩みつつ瓶はリサイクルでないボックスに放り込む。

 TOYOTAとMAZDAが折半で出資してジョージア州の隣のアラバマ州ハンツビル市に新工場を建設することが2018年に発表された。それぞれ年間15万台生産し、4000人近くの従業員を雇用する。2021年に稼働する予定。日本企業に勤める娘が教えてくれた。私は車に興味がある方ではないが、今回娘が購入した車について調べてみた。メーカーは日産でパスファインダーといい、7人乗り5ドアのSUVである。SUVとはスポーツ用多目的車ということのようだ。

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*アトランタの印象

2020年01月14日 | 捨て猫の独り言

 アトランタはこれといって見るところはない。観光するとこもない。アトランタの魅力は場所でなくてライフスタイルと人々の態度という旅行前の伝聞に戸惑ったものだ。娘は私がアトランタで訪れたいと考えた3か所を訪れたことはないという。ただ郊外のストーンマウンテン・パークの巨大な花崗岩の上から眺めるアトランタはダウンタウンの高層ビル以外は緑しか見えなかったと話した。娘の数少ない見学場所のマーガレット・ミッチェル・ハウスには何だこれという印象だったという。

 旅行前の伝聞はおおよそ当たっていたと言えるのかもしれない。私には観光地を巡るよりも娘がやっとめぐり会った男性を通じてアトランタに住む人の生活を見られたことが一番の収穫だった。感謝祭などではファミリーが集まって食事をする習慣がある。前のファミリーの食事はとても貧弱だったと仕草を交えて娘が話す。今の彼は私たちを歓待して、評判のステーキハウスの食事などにいく度も招待してくれた。娘の自宅で食事がすんだ時は洗い物を手際よく片付けることもした。

 彼の世慣れてユーモアたっぷりの話に高笑いをしている娘をよく見る。その明るさが娘のとりえでもある。よくおいしいお店に二人で食事に行くという。彼は共和党支持である。CNNは民主党FOXは共和党というのは本当か。スターバックスの最高責任者は民主党だが娘に付き合ってスタバに行くと娘が笑って話した。12月の30日にCNNセンターの入り口まで孫と私たちの4人を二人は送迎してくれた。年越し前の雰囲気などまるでない。近くのオリンピック記念公園の大観覧車に4人で乗った。

 日本のメーカーによる車の多さに驚かされる。右側通行だが2車線で左折したり、右折車は前方の信号が赤でも右側から前方の右の流れに侵入したりするのが新鮮だった。娘が韓国の人たちに感謝だという。よく利用するという韓国のスーパー、パン屋、レストランに案内してくれた。学制は5、3、4制である。孫が通うミドルスクールはインド人が6割を占めるという。1月11日の土曜日に娘と私たち3人はジミーカーター博物館を訪れた。あいにくの小雨だったが娘は訪ねて良かったと言った。私が希望していた3か所のうち公民権&人権センターは都合で取りやめた。

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通学事情とお稽古事

2020年01月10日 | アトランタ便り

 2学期が始まって以来、3人が出かけた後私達夫婦には東京と変わらぬ2人だけの日常が戻った。夜明け、日没は東京都より丁度1時間くらい遅い。8時には職場に向かう娘は起き抜けにシャワーを浴び飲物片手に出かける。夏ならプールで一泳ぎが入る。中学生の2人も前後して起き出し、それぞれ自分のランチを作り、シリアルかフルーツ等食してスクールバスで一緒に登校する。一昨年までは訪米中の私がランチを用意していた。ランチを残して帰宅すると私は悩んだ。「せめてランチ位作ってやれば?」という私に「自分で作ったほうが残さなくていいの」と娘は事も無げにいう。成程、双方ともそのほうが良いし教育的かもしれないと思う。成長するにつれ学業面では大変な事も多々あるようだが、生活面では楽になったようだ。

 学校は自転車なら10分もかからない距離だが先ず,近隣でも自転姿は見かけない。スクールバスは彼女らの住まうタウンハウスから15~6人、同じタウンで同業者が建てた個別住宅から粗同数の通学生と、更に近隣の住まいからの生徒を乗せ約60数名が中学校へ向かう。料金は無料で学校には20台余のスクールバスが常駐している。勿論家族が送迎している生徒もいる。運転手は時間で雇われていると思える主婦のようだ。朝夕各一便づつで、走ってバスに向かってくれば待つがそうでなければ置いてゆかれるらしい。職場に向かっている娘は、その為に近隣の専業主婦に頼んでおかざるを得ない。生徒らの服装やカバン等様々で楽器やランチボックス、水などかなりの重量で、私も詰め込んだカバンを背負ってみたらひっくり返りそうになった。10キロ余はあろうか?前傾姿勢とらないとバランスがとれない。走るなどとても出来そうもない。

 4時半頃にはスクールバスで帰宅しているから、部活というのはない?。楽器は学校でほぼ毎日1時間やる。お稽古事や学校でやる運動以外は、下校後夫々の家で何らかの手段で送迎しなければならない。運動も楽器もやらせたい娘と孫娘らは、母親が帰宅するまでに宿題(結構量)を終わらせ、曜日を順繰りでほぼ連日楽器かサッカー練習に通っている。そして週末には対外試合で、その都度変わる会場まで各自の親が送迎するのだという。私達が帰日する頃サッカーが再開されるという事で、その繁忙を極める生活を見せられないと娘は嘆く。日本から週一回程度はSkypeしているのだが、移動中である事が多いのも頷ける。学校区も良く成績も悪くないと自慢気味に話す娘は、一人で頑張っている所を余程父親に見せたいらしい。私は娘が話す英語は幾らか解るが、全く解らない夫は、娘が英語で生活できてるだけで充分と思っている様だ。日米事情を比較すると、日本の教師はあまりにも多くの雑用を背負わされていると思う。

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*暮らしぶり拝見

2020年01月09日 | 捨て猫の独り言

 46歳の娘は、日本で年下の米国青年と結婚し2人の女の子の親となり、その後ジョージア州のアトランタメトロに住んで、まもなくしてシングルマザーとなる。2年半前にアトランタの中の比較的安全とされる北の方の町に住宅を購入して親子3人で生活している。私には2度目のアメリカになる。アトランタを目指して夫婦で日本を出たのはクリスマスイブの日だった。

 シングルマザーの娘にもようやく協力出来て一緒に生活したい男性が現れたようである。互いに離婚歴あり、子供ありで私の観察ではいい組み合わせだと感じられた。彼はニューヨークの近くで育ち、アトランタに住んで30年近くになるという白人男性だ。娘はチビ、デブ、ハゲというが人は見てくれではない。世慣れて、誠実で、思いやりがあり何かにつけて手際が良い。 

 冬の便器の冷たさはこたえる。私が便器カバーが欲しいといえば直ちに注文して数日後には中国製の便器カバーが届いた。CNNに行きたいと言うと、ただちに電話して手頃の時間帯のスタジオツアーを予約してくれた。さらにツアーの映像をつぎつぎにパソコンで見せてくれる。会話のできない私に、彼は一つの単語を手掛かりにパソコンの地図や映像を介して交流してくれる。

 娘の住む地域は緑に囲まれたスモールタウンだ。散歩途中で見る家々はすべて新しい。宅地造成業者が広大な敷地を囲い込んで、そこに3階建ての独立と棟続きの2種類の家屋が立ち並ぶ。この地域では、そのようなコミュニティーがいくつか隣接している。そして幹線道路を挟んで向かい側には商店が軒を並べる。娘の家の裏には木造ベランダの向こう側に細くて驚くほど背の高い松の木がまばらにそびえている。その間に見る朝焼けがいい。

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