12月13日。昼はブルーデッキで「洋上の主張-想い!伝えたい!聞きたい!」が催された。発表者の多くは若者達で洋上での体験や学び将来の夢などだったが、中には同性愛の告白であろうかと思えるような「~さ~ん、あなたが好きで~す。いいですか~」の絶叫に、同性の女性がどこからか「いいで~す」と応えていた。先程学んだことがそこに出現していた。(104日一緒だった海と空)
発表者の最高齢は80過ぎと思しき老婦人で老人ホームから2人参加されていた。司会者の若者に演台のヤグラに引っ張り上げてもらい、正座して長~いメモを読み出した。主張は「チリで、船医に離脱を勧められ相方は降りたけれど私は頑張り通しました」だった。 確かに周りがヤキモキした事もあったけれど、この年齢での参加には感服する。中年のGETクラス「パンダック」は全員で演台に上がり、「私達の英語より先生の日本語が上達しました」と皆を笑わせた。(立っていた司会者も御婦人を真似て正座。聞き入る聴衆)
夜には船会社主催の最後のフェアウェルディナーとパーティ、ライブがあった。正装した乗客と正装したウェイター、ウェイトレス、初めてお会いしたコックさん達。彼らの手に持つ小さな灯りが彼らの移動に従って列を成し、合唱の際は歌声と共に揺れて美しい光景を醸し出していた。「快適な時間を過ごさせてくれたあなた方こそありがとう」と私は呟いた。
改めて船内新聞を繰り出してみると、PeaceBoatの船旅のコンセプトは「人と出会う旅」「持続可能な社会へ向けて」となっていた。乗客、職員、講師、寄港先でどれだけ多くの人々出合った事だろう。講師の話を聞きながら、今日的なテーマの前では佇むことも多かったけれど、何がしかのサジェッションを得られたことも確かであった。多数派が必ずしも正義でないことも知ったし、少数派になってしまった先住民の意見や立場にも思いが向くようにもなった。私の出来る事はささやかだけどやれることからやろうという気にもなった。
昨年は旅自体を大いに楽しんだ。今年は1年かけて記録しながら記憶の整理と少しばかりの自省を試みた。この作業を通してヤット私の旅が終わったと実感している。こんな個人的な作業に断りもなく写真を多用させてもらった事を、多くの方に先ずお詫びしなければならない。幸運にも丁度時を同じくしてこの年末に個人で作製された3本目のDVD「洋上のファンタジー」がお仲間から届いた。その美しい映像とその映像に被せた歌唱(サラ・ブライトマン)を感激しながら拝見した。それに比べて私の紀行文のなんと饒舌であることかと恥じ入るばかりだ。そんな紀行文に長らくお付き合い下さいました皆様には心から感謝申し上げます。本当に有難うございました。 (完)