本土紙が扱わない、つぎの琉球新報の記事を一人でも多くの方にお読みいただきたいと思いました。
辺野古最善は「侮辱」 米識者70人、
ケネディ氏発言に抗議声明
2015年12月24日 05:04 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】 映画監督オリバー・ストーン氏や言語学者ノーム・チョムスキー氏ら米国の文化人や識者ら70人は22日、ケネディ駐日米大使が17日の日本記者クラブでの記者会見で米軍普天間飛行場移設に関して、名護市辺野古への移設が最善だとの考えを示したことに抗議する緊急声明を発表した。
<ケネディ駐日米大使発言への抗議声明全文>
12月17日、東京の日本記者クラブでの記者会見で、キャロライン・ケネディ駐日米大使は辺野古が米海兵隊の新基地の場所として最善であるとのオバマ政権の主張を忠実に繰り返した。
米国は「良き隣人」であろうと努力しており、また沖縄本島の約20%を占める何十もの米軍基地を抱える地域社会への影響については「気を配る」という丁寧なコメントをした後、ケネディ大使は沖縄の人々が容赦ない実力行使と威嚇にもかかわらず何百日も抗議活動をしている基地に対しての支持を表明した。
(記者会見で)「基地建設に対する沖縄の人々の反対についてどう思うか。また米国は代替案を検討するのか」との質問に対し、ケネディ大使は「この計画(現在人口の密集する宜野湾に位置する米海兵隊基地を閉鎖し移設する)は人々が大変懸命に努力し、多くの選択肢を検討し、練り上げてきたものだ。だから私は今まで検討された計画でこれが最善のものと思っている」と答えた。
米国が普天間飛行場を閉鎖し、辺野古に基地建設を一刻も早くすることを求めているというケネディ大使の発言は、この計画に激しく反対してきた沖縄の圧倒的多数の人々に対する脅威、侮辱、挑戦であり、同時に法律、環境、選挙結果を恥ずかしげもなく軽視する行為である。
普天間飛行場は閉鎖されなければならないが、辺野古に移設することは解決策とはならない。この計画はより人目につかない場所に問題を移すだけであり、島の別の場所に新たな環境・安全の脅威を導入し、沖縄の米軍拠点としての役割を強化するものだ。
ケネディ大使は日本記者クラブのゲストブックに、ジョン・F・ケネディ大統領による報道の自由についての発言を引用しながら署名した。しかし大使が引用するべきはむしろ、ケネディ大統領が世界平和について力強く、説得力のある主張を行った1963年のアメリカン大学卒業式での演説だったのではないか。
ケネディ大統領は言った。
「戦争に絶望し、平和をもたらすことを望む思慮深い市民は誰でも、まず内面を見ることから始めるべきだ―平和の可能性への自らの態度を調べることを…」
ケネディ大使は沖縄の人々の懸念に対し、誠実に尊厳を持って取り組む勇気も度胸も持たないような米国の選挙で選ばれた公職者、政策立案者、軍の指導者たちの代弁者としての役割を果たしている。大使は父親が「アメリカの軍事力によって世界に強制的にもたらされるパックス・アメリカーナ(米国による平和)」を拒絶した演説をもう一度読むべきだ。
もし再読したならば、ケネディ大使は父親が「平和とはつまり基本的に、荒廃の恐怖を感じることなく生活できる権利、自然の空気をそのまま呼吸する権利、将来の世代まで健全に存続する権利といった人権に関する問題ではないか」と問うたことを思い起こすことになるだろう。
これらの言葉はわれわれにとってまだ意味があるために、われわれは米国市民として、米政府が自己決定権、健全で安全な環境で暮らす権利を含む沖縄の市民の基本的人権を否定することを止めるよう強く要求する。