玉川上水の辺りでハナミズキと共に

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえてすずしかりけり (道元)

*別れ

2014年07月30日 | 捨て猫の独り言

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 28日の夜の10時半に羽田空港国際線ターミナルでアトランタに向かう三人と別れた。まだフライトの時間までは1時間半ほどあったが、こちらは帰宅の終電車が気になる。座席の二人の手を取って「二人がいつも仲よくすることはむずかしいね」と笑って声をかけて、私は出口へ歩き出した。「じじ、バイバイ」とうしろから声がする。ちらりとふり向くと座席に乗り出した二人が手を振っているのが見えた。私はそまま前を向いてふたたび歩きはじめる。テレビ電話のおかげで別れも淡白になった。

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 翌日は快晴で三回も洗濯機を稼働させた。衣類もかなり残っている。おなじ物干しに三交代で干す。そしてシーツとタオルケットもその日のうちに取りこむことができた。学校の体育着、プール着、うわばき、水筒、雨傘、ゴム長靴、帽子が残された。「こくご」の教科書は持ち帰った。それ以外の教科書、折り紙を使った作品群、使い古しのノート、裏白の紙にクレヨンで描いたものなどは処分することになる。別々におさがりでもらった自転車も、さらにボロボロになって二台とも残っている。

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 二人はすり傷、打撲と小さなケガが絶えなかった。ハラハラするほど動きが唐突ですばやい。打撲のたびに氷で冷やさなければならない。ハンカチで氷を包んで巻きつける。この暑さの中を押し入れに水筒や懐中電灯をもちこんで閉じこもり、ぬりえをしていることもあった。私はそれを「胎内あそび」と呼んだ。「お手紙ごっこ」の時は静かだった。ドアを閉めた別々の部屋で手紙を書き、ドアの隙間から投げ入れていた。友だち、遊び道具、ものごとの順序の取り合いで、二人はよく喧嘩をした。

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 妹は姉を「おねえちゃん」と呼ぶことはない。おたがいに名前のよびすてである。これが私にはとても新鮮に聞こえる。日本のトイレの使い方も上手になった。トイレットペーパーの巻き取りが逆だというが本当だろうか。言われるとおりにセットして使ったが不都合はない。二人は多くの人たちに親切にしてもらった。大阪のおじちゃん、沖縄のおばちゃんが今回も会いに来てくださった。終業式のあとは、近所の友だちと庭でプールをしたり、花火をしたりした。そのママたちにもよくしてもらった。先日「私が帰ったらジジは何をするの」と聞かれて私はうろたえた。

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*終業式

2014年07月21日 | 捨て猫の独り言

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 大地の恵みの収穫は小学生を楽しませてくれた。何事にも終わりが来る。キュウリの根に近い部分の葉が立ち枯れして収穫は終りですよと宣言している。トマトの実も残り少なくなった。その横でユリが開花した。ヤマユリのようなあでやかさはない。今年はゴーヤの発育がさっぱりだ。四本のゴーヤの蔓は二階まで伸びているが葉の繁りはまばらで二個の小さな実が見えるだけだ。小学校は16日に給食が終り、18日の終業式で一学期を終えた。

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 我家の二人の小さな留学生はそれぞれ5月27日と28日に登校してから終業式まで一日も休むことなく通学した。私は元気に登校できたことだけでも十分と何者かに感謝したい気持ちでいる。今年も地域の多くの皆さんに親切にしていただいた。終業式の翌日に小学校の校庭で行われた納涼祭には二人ともゆかたで参加し、ともだちから声をかけてもらった。納涼祭の後半には、会場を黒い雲が襲い大粒の雨がふりだした。昨年も同じように納涼祭で雨に逃げまどったことを思い出した。

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 二人とも記念にクラス全員の寄せ書き集と、「あゆみ(通知表)」をいただいた。これらを母親の待つアトランタに持ち帰る前に、「あゆみ」に書かれた担任所見を記録しておこう。「昨年度よりも心身ともに大きく成長したすみれさん。休み時間は雨天でも外に行きたがるほど、元気いっぱいでした。図工の『土って気持ちいい』では、他の班が活動する時間も、楽しみに見に来るほど、興味をもっていました。国語の作文も頑張って書き上げました。帰りの会では、挙手をして発言していました」

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 もう一つは「絵や粘土が大好きなりりさん。図工のひっかき絵では、お庭で虫が楽しく飛び回っている様子を竹串で丁寧に描きました。お昼の校内放送に出るのをとても楽しみにしていて、自分の出番が来ると、『すきな給食のメニュー』をはっきりと言うことができました」二人は祖母の付き添いで28日の深夜に羽田から帰国する。昨日は秩父の長瀞へ出かけて船下りを楽しんだ。帰国まで映画、ゆうえんち、花火大会、線香花火会などハードなスケジュールが組まれている。

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*しゃぼんだまひろば

2014年07月15日 | 捨て猫の独り言

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 医者は患者を簡単には手放さないものらしい。昨日は3カ月に一度の眼科に出かけた。視力検査に眼圧検査である。とくに異変はない。つぎは視野検査をしますときた。内科は半年に一度の腹部エコーと血液検査が9月にある。おそらく大きな変化はないだろう。どちらも自転車で片道60分かけて行く。近くの耳鼻科は「変わりありませんか?また4週間分お薬を出しておきましょう」である。どれもこれも、こちらで見切りをつける必要がありそうだ。

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 わが家に最も近い大学である白梅学園大学は特色ある大学だ。学部は「こども学部」の一つで、「こども」「発達臨床」「家族・地域支援」の三つの学科がある。白梅短期大学には「保育科」がある。学園には小学校はなく、幼稚園と中学と高校がある。中学高校は女子だけで、大学にはきわめて少数の男子が在籍する。幼稚園は地域で人気が高く近隣の市から通園する子もいる。幼稚園と中学はモダンで解放的な校舎に建て替えられ、建設中の高校の校舎はまもなく完成する。

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 5日の土曜と13日の日曜の午後は小さな留学生と「白梅子育て広場」に出かけた。「GP学生委員会」が主体となって運営する広場である。GPの意味は説明されぬままなので、あとで調べてみるとGPはGood Practice の略だ。文科省が大学の優れた教育プログラムを選定し支援するものだという。白梅は06年と07年に連続で認定されている。大学と地域、学生と市民が「子育て広場」を通して交流を深め互いに学習し成長することが目標だという。

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 未就園児や小学生や世代間交流や子育てサポートや気になる子などを対象に七つの広場が想定されていて、それぞれの広場は月に一度か三カ月に一度と開かれる。5日の「あそぼうかい」では紙コップと輪ゴムでロケットを作ったり、七夕にまつわる学生の寸劇を見て楽しんだ。13日の「しゃぼんだまひろば」は芝生の中庭に無数の’しゃぼんだまが一斉に舞い上がった。しゃぼん液は洗剤:洗濯糊:グリセリン:水:ガムシロップ=10:20:1:50:1で作る。骨だけの団扇で簡単に大量のしゃぼんだまが飛んだ。針金のハンガーに毛糸をまいて鯉のぼりのような大きく細長いしゃぼんだまができた。円柱形のしゃぼんだまの中に人が包まれた。

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*七夕の頃

2014年07月07日 | 捨て猫の独り言

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 今年もまた家の近くの玉川上水の土手にヤマユリが咲いた。ヤマユリが咲いて梅雨が明けるというが、その気配はまるでない。今朝もこまかい雨が降り続いているそのうち冷夏の話題でもちきりになるのではないかと心配される。キュウリとトマトの収穫はあるがゴーヤは花も少なく心配だ。

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 「すみれ」と「りり」という名の小さな留学生の学校生活も6週を終えて、残りは2週となった。これまで学校のプールが始まって3週になるが水温が低くて中止になることが多かった。二人とも国民健康保険に加入しているが、まだ通院するような事態は起きていない。

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 昨年の姉はツバキの木の毛虫にかぶれて皮膚科に通院した。そして一日だけ学校を休んだ。これまで二人とも学校を休んでいない。宿題をしようという意欲があるのは救いだ。昨年の姉に続いて妹もこの夏に日本で自転車乗りをマスターした。二人は自転車をバイクと呼んでいる。

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 妹の方は両足に、まるで虐待をうけた子のように無数のすり傷、打撲のあとが残っている。その妹の方が学校から帰宅するとき、「ただいま~」と甲高い声を出して玄関に飛び込んでくる。そしてその声を聞きながら、これがいつまでも続くはずはないぞと私は感傷的になる。(土手のヤマユリ、薬用植物園と庭のタイマツバナ)

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